レポートやM2TVなどでときどき「ストレート通貨」とか「ストレート」といった単語を目にするのですが、いったい何のことですか?
ストレート通貨とは?
ひと言で言うと、米ドルと取引される通貨ペアのことです。
たとえば、米ドル/円、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドル、NZ/米ドル、など、すべてを総称してストレート通貨と呼びます。
単に「ストレート」と表現されることもあります。
でも、なんで「ストレート」って言うの?
外国為替取引で最も大きな取引量を誇るインターバンク市場(銀行間取引市場)で、直接取引される(間に何も介在していない)ことから「ストレート」と表現されています。
私たちは日本で生活していることから、円を中心に考えがちですが、為替市場は基軸通貨である「米ドル」が中心です(原油の取引・貿易の取引などは米ドルが一般的)。
基軸通貨をもう少し詳しく解説すると、「国際通貨の中で中心、支配的な役割を占め、為替や、国際金融取引で基準として採用されている通貨のこと」。時代によって基軸通貨は変化するものですが、経済的に主導的な立場にある国家の通貨であることが多いようです。なお、1920年代までの基軸通貨は英ポンドでした。
え!? 直接取引されない通貨ペアがあるの?
インターバンク市場では、豪ドル/円やNZドル/円、英ポンド/円、トルコリラ/円などはほとんど直接取引されません(例外としてユーロ/円は直接取引あり)。
そのため、たとえば「豪ドル/円を買いたい」という取引であれば、
�まず円を売って米ドルを買い、
�買った米ドルを売って豪ドルを買う、というお金の動きが発生しています。
このように、取引のために
いったん米ドルを仲介する通貨ペアを
クロス通貨 と呼びます。
単に「クロス」と表現されることもあります。
米ドル/円と、M2Jで取引が可能なそのほかのストレートを掛け算することで、クロス/円のレートを算出することができます。
※通貨ペアによっては割り算となる場合があります。
ユーロ/円の場合 2016.5.23(月)15:50ごろのレート(米ドル、ユーロ、円)
豪ドル/円の場合 2016.5.23(月)15:50ごろのレート(米ドル、豪ドル、円)
電卓などを使って、リアルタイムレートでクロス円を計算すると、 その仕組みを一層実感いただけると思います。ぜひお試しください。
「円相場に左右されず、ドル安で上昇しやすい」理由は?
前述の豪ドル/円が算出される計算式で考えてみましょう。
円高局面における各通貨ペアへの影響
ドル安局面における各通貨ペアへの影響
このような構造上の仕組みによって、M2Jで取扱いの(米ドル/円以外の)ストレート通貨は「円相場に左右されず、ドル安で上昇しやすい」と言えるのではないでしょうか。
もちろん、上記とは逆のドル高局面ではレートが下落しやすくなります。 くれぐれもご注意ください。
ストレート通貨のバックテスト結果
※バックテストとは ・・・ 「もしトラリピを仕掛けていれば、どのような結果となったのか」を、過去に遡って検証すること。
ユーロ/米ドル(日足)チャート 期間:2016/01/01〜2016/10/12
豪ドル/米ドル(日足)チャート 期間:2016/01/01〜2016/10/12
NZドル/米ドル(日足)チャート 期間:2016/01/01〜2016/10/12
実際のお取引では、決済の損益はドルではなく「円」で算出されます(決済したときの米ドル/円レートで自動両替)。
バックテストで仕掛けるレンジは、期間内の中央値から±300ポイントで設定しています。
検証結果には手数料、スプレッド、週初・メンテナンス明けの約定ルール、自動取消機能および再設定機能を考慮しておりますが、測定のレートは参考値のため、実際のレートとは異なるケースがあります。
上記掲載データ・情報については、当社はその正確性・安全性等を保証するものではなく、あくまでも参考情報の提供のみを目的としており、特定の通貨の購入・売却を勧誘するものではなく、また取引の安全性を保証するものではありません。投資・売買に関する最終決定はお客様ご自身のご判断でなさいますようお願い申し上げます。
ストレートはどうやって取引するの?
豪ドル/米ドル(AUD/USD)のレートの例にご説明しましょう。
この場合、1豪ドルは0.7249米ドルに交換できる、という意味を示しています(※取引手数料を除く)。
米ドルに対して、 これから豪ドルが上がると思えば「買い」、 これから豪ドルが下がると思えば「売り」、で取引します。
豪ドル/米ドルで1万豪ドル「買った」場合(豪ドルを買って、米ドルを売った場合)
証拠金必要額
総代金の4%が証拠金なので、
0.7249ドル×1万×4%=289.96ドル
289.96ドル×「そのときの米ドル/円のレート」で証拠金必要額が算出されます。
つまりこの時点では
289.96ドル×109.75円≒31,829円 が証拠金必要額となります。(小数点第1位はくり上げ)
そしてその後は、
米ドル円のレートが上がれば証拠金必要額も上がり、
米ドル円のレートが下がれば証拠金必要額も下がる、
というように、日本円換算での証拠金必要額は常に変動することになります。
0.01ドル上昇したので、利益を確定すべく1万豪ドル「売って決済」する場合
損益計算
買ったレートから0.01ドル上昇したので、利益は
0.01ドル×1万=100.00ドル ※手数料を除く
100.00ドル×「そのときの米ドル/円のレート」で損益が算出されます。
つまりこの時点では
100.00ドル×109.75円=10,975円 が利益となります。(小数点第1位は切り捨て)
損益はドルではなく、決済したそのときの米ドル/円のレートで自動両替されて、円で算出されます(両替手数料はかかりません)。
つまり、ストレート通貨を決済するときは、
米ドル/円のレートが高いほど利益も損失も大きくなり、
米ドル/円のレートが安いほど利益も損失も小さくなる、
というように、米ドル/円のレートが常に損益に関与することになります。
プロが考えるストレート通貨ペアの取引
個別なクセはあるものの、基本的にトレンドが出ていれば、対円であろうが、対ドルであろうが、そこは問題ではありません。
ただ、2016年は米国が利上げを志向しつつも、通貨安政策に動いており、相場は対円でみるより対ドルで見た方が解りやすいと言えそうです
(現役ファンドマネージャー 西山孝四郎氏)
ストレート通貨、そしてクロス通貨(クロス円)といった言葉の意味はご理解いただけましたでしょうか。
当ページでご説明差し上げた内容が皆様のお取引の一助となれば幸いです。 どうぞ今後ともマネースクウェア・ジャパンをよろしくお願いいたします。