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2018/06/01 16:18米長期金利の行方は、引き続き米株式相場の注目ポイントか

【相場材料】米長期金利
【影響】米長期金利が上昇すれば米株価は下げやすい地合いか
【ポイント】米国債との相対比較で米株式の魅力は低下

(本日のレビュー)

25日の日経平均は、前日比-30.47円の22171.35円で取引を終えました。米国の保護主義に対する懸念や本日の米雇用統計を控えて上値の重い展開でした。イタリア政治の懸念が後退したことや米ドル/円が109円台へ上昇したことを材料に、日経平均は前日比プラス圏へ上昇する場面が見られました。

(今後の見通し)

イタリア政治の懸念は一旦後退か
イタリアでは、ポピュリスト政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が閣僚人事で合意しました。これにより、早ければ7月とされていた再選挙の可能性がほぼなくなったことで、イタリア政治に対する過度な懸念は後退しました。ただし、両党が財務相に押していたユーロ批判派のサボナ氏がユーロ問題担当相として政権入りするなど、イタリアが反ユーロ政策を推し進める可能性はあります。イタリア政局のゆくえには引き続き注意を向けておく必要があります。

「貿易戦争」懸念
トランプ政権は5月31日、EUとカナダ、メキシコに対して、鉄鋼とアルミニウム関税を発動すると発表しました。これに対し、3国は報復措置を取ると表明しました。5月31日‐6月2日のG7財務相・中央銀行総裁会議7日の日米首脳会談8-9日のG7サミットでの当局者の発言や、6月2-4日に再開される予定の米中通商交渉の行方が相場材料となるかもしれません。トランプ政権は自動車輸入への関税も検討しています。米国の保護主義的な通商政策により、リスクオフが生じる可能性には要注意です。

EUサミット
6月29-30日にEUサミット(首脳会議)が開催されます。EU関係者によれば、アイルランド国境問題などについて英国がより詳細な立場を示さない場合、今まで以上に強い警告を発する準備をしている模様です。将来の通商関係などについて合意がないまま英国が離脱するとの見方が強まれば、株式相場の波乱要因となりそうです。

英政府関係者によれば、英政府は6月のEUサミットに先立ち、EU離脱後の関税の枠組みや金融サービス、自動車、農業など特定分野に関する白書を公表するようです。英国のデービスEU離脱担当相は白書について、(EUとの関係を巡る文書として)離脱が決まった2016年の国民投票以降で最も重要になるとの見方を示しました。ブレグジット(英国のEU離脱)交渉の行方にも注意を向けておく必要があります。

各国中央銀行の金融政策
6月12-13日に米FOMC14日にECB理事会15日に日銀の金融政策決定会合21日にBOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)が開催されます。13日の米FOMCでは、政策金利の引き上げが予想されています。その他の中央銀行は、金融政策を据え置くとの予想が大勢です。ただし、各中銀から発せられるメッセージが相場材料となる可能性があり、注目でしょう。

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米長期金利の行方は、引き続き米株式相場の注目ポイントか

リスク要因を背景に長期金利は低下も、低下は一時的か
米長期金利(10年債利回り)は5月29日、一時4月11日以来となる2.7%台へ下落しました。長期金利の低下は通常、株価にとってプラス材料と考えられます。ただし、同日のNYダウは前日比-391.64ドルと大幅に下落しました。長期金利の下落が、イタリア政治や米国の保護主義に対する懸念を背景にしたリスク回避の流れによるものだったためです。

足元の米経済指標は、引き続き米景気の底堅さを示しています。また、5月30日に公表された米ベージュブックでは、景気は「緩やか」に拡大していると報告されました。景況感は、前回の「わずか、あるいは緩やか」から上方修正され、緩やかな利上げの継続をサポートする内容でした。

5月31日に発表された4月のPCE(個人消費支出)デフレーターは、FRBが重視するエネルギーと食料を除くコアが前年比+1.8%と、FRBのインフレ率目標である2%近辺に接近しました。底堅い景気やインフレ率の上昇基調を背景にFRBが利上げを継続すれば、長期金利の低下は一時的となり、上昇に転じる可能性があります。

国債との相対比較で株式の魅力は低下
2016年以降でみると、長期金利が上昇したことにより、国債との相対比較で株式の魅力は低下しました。両者を比較する際に用いられるイールドレシオ(長期金利÷株式益回り)は、2018年以降0.7を上回る場面が見られます。イールドレシオが0.7を明確に上回っていたのは2010年以前です。
※株式益回り:株式に利回りの概念を取り入れたもの。PERの逆数、あるいはEPS(1株当たり利益)÷株価で求められる

2018年以降のイールドレシオとS&P500を比較すると、イールドレシオが0.7を上回った局面(下図、赤枠)でS&P500が下落に転じる傾向があります。長期金利が上昇すれば、株価には下押し圧力が加わりやすい地合いであると意識しておく必要はあります。

(アナリスト 根岸慎太郎)

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

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※当レポートは現物株を対象としています。

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