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2018/03/23 16:19米中貿易摩擦の激化がNYダウを大きく押し下げる背景

(レビュー)

23日の日経平均は、前日比-974.13円と反落し、2017年10月3日以来となる20617.86円で取引を終えました。下げ幅は一時1000円を超える場面がありました。米中貿易摩擦への懸念やトランプ政治の不透明感を背景に前日の米国市場で、NYダウが前日比-724.42ドルと大幅に下落。米ドル/円が日本時間23日朝方に105円を割り込み、リスクオフの展開となりました。

トランプ大統領は22日、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が退任し、後任に元国連大使のボルトン氏が就くと発表しました。ボルトン氏はイランや北朝鮮に対する軍事力行使を支持するタカ派で、ロシアに対しても強硬的な姿勢を示しています。トランプ政権が強硬姿勢に傾くとの懸念が高まりました。

米上院は23日、9月末まで政府の支出をカバーする1.3兆ドルの歳出法案を可決しました。大統領の署名を経て法案が成立すれば、シャットダウン(米政府機関の一部閉鎖)は回避されます。

(今後の見通し)

トランプ大統領は22日、中国による知的財産権の侵害に対する制裁措置として、500億ドル相当の中国製品に関税を賦課する大統領令に署名しました。米USTR(通商代表部)によれば、米国は一部の中国製品に25%の関税を課す可能性があります。対象製品リストには、航空宇宙や情報・通信技術、機械が含まれる見通しで、USTRはリストを数日中に公表する予定です。

これを受けて、中国商務省は23日、米国からの豚肉輸入に対して25%、鋼鉄パイプと果物、ワインに15%の関税を賦課することを計画していると表明しました。中国は米国に対し、WTO(世界貿易機関)の枠組みで法的措置を取る計画だとし、米国に対話を通じた通商問題の解決を求めました。今後、米中間で協議が行われるのか、そこで両者がどの程度譲歩するのかが、株価に大きく影響しそうです。

22日の米国市場では、米中貿易摩擦への懸念やトランプ政権の不透明感を背景に、米株が下落。為替市場で円高が進んだことで、23日の日経平均は大幅安となりました。日経平均は日本独自の材料よりも、外的要因に影響を受けやすい地合いといえそうです。そのため、米中関係の行方やトランプ政権の動向、それを受けた米株や為替市場の動きに注意しておく必要があります。

米中貿易摩擦の激化がNYダウを大きく押し下げる背景

22日の米国市場では、中国向けの輸出が多いボーイングやキャタピラーが米中貿易摩擦への懸念を背景に大幅安。ボーイングは前日比-5.19%下落し、NYダウを120ドル押し下げました。ボーイングは2015年に中国から300機の航空機を受注しており、依然として受注残が多いとみられています。

2016年の米大統領選挙以降、ボーイングやキャタピラー、アップルなどの少数銘柄がNYダウの上昇に大きく寄与してきました。米大統領選後のNYダウは1月26日の最高値26616.71ドルまで約6500ドル上昇しました。その間のボーイングとキャタピラー、アップルの寄与度は約2300ドルと、3銘柄でNYダウ上昇分の約35%を占めています。特に、ボーイングは1銘柄で約1300ドルもNYダウを押し上げており、少数銘柄が指数を押し上げている構造が見て取れます。

少数銘柄に押し上げられたNYダウは、価格が崩れやすい地合いといえます。そして、NYダウを押し上げてきたボーイングやキャタピラーは、米中関係の悪化を背景に下落リスクが高まっています。両者の株価が下落すれば、NYダウの下落幅が大きくなる可能性があります。

米大手IT株(FAANG株など)の動向にも注目

フェイスブックは19日、前日比-6.77%と大幅に下落しました。2016年の米大統領選挙でトランプ陣営が契約していた調査会社ケンブリッジ・アナリティカが、フェイスブック利用者約5000万人の個人情報を不正収集していた疑惑が報じられたことがきっかけです。

個人情報の活用に規制が入るという見方から、米IT関連株は全面安となりました。規制の厳しいEUでは、5月に「GDPR(一般データ保護規則)」を導入し、情報問題の予防・取締りを強化する可能性があります。GDPRは、フェイスブックなどの収益源であるターゲティング広告(ユーザーやコンテンツの情報を分析し、ユーザーの関心が高いと思われる広告を配信するもの)を欧州ユーザーが非表示にできることを意味します。また、企業がGDPRに違反すれば、最大で年間売上の4%に相当する罰金を科されることになります。

米大統領選挙以降、FAANG株(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグル)などの上昇が顕著です。ハイテク株を中心に構成されるNASDAQは時価総額加重平均で算出され、時価総額が大きい米大手IT株の影響が大きく表れます。FAANGの22日時点の時価総額は合計2.95兆ドルで、NASDAQ全体(11.84兆ドル)の約25%を占めています。NASDAQにおいても時価総額の大きいFAANG株が指数の押し上げに寄与したことが見て取れます。

以上を参考にすれば、NYダウの値嵩株や、NASDAQの大手IT株に目を向けておく必要があります。ボーイングやキャタピラー、アップルなど、値嵩株の影響でNYダウが大きく下落した場合、比較的相関性の高い日経平均にも下押し圧力が加わりそうです。また、FAANG株は、東京エレクトロンやファナックなど日経平均の値嵩株に影響するため、その動向を注視しておく必要はあります。

(アナリスト 根岸慎太郎)

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

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