株価指数デイリー・レポート

株価指数の市況や分析・展望を配信。

2018/01/12 15:36先物主導の上昇は短期的な日経平均の調整要因か

(レビュー)

12日の日経平均は前日終値比-56.61円と、3営業日続落し、23653.82円で取引を終えました。外国為替市場で、米ドル安・円高が進んだことが日経平均の重石となりました。内閣府が発表した景気ウォッチャー調査で、現状判断DIは景気拡大・縮小の境目となる50を5か月連続で上回りました。ただ、12月の現状判断DIは53.9と、11月の54.1から5か月ぶりに低下し、日経平均は下げ幅を拡大する場面が見られました。

(今後の見通し)

独DAX®は年初から堅調に推移し、1月9日には一時2017年11月7日に記録した最高値13525.56p以来となる13425.02pまで上昇しました。ドイツをはじめとしたユーロ圏の経済指標は堅調を維持しています。ユーロ圏経済の底堅い成長が続けば、DAX®のサポート要因となりそうです。

一方で、独政治の不透明感はDAX®のリスク要因として注意しておく必要があります。メルケル首相率いる与党CDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)とSPD(社会民主党)の大連立に関する予備交渉が7日にスタートしました。両党は移民規制やEUに絡んだ政策方針などに相違があります。

交渉の行方次第では、(1)大連立政権で合意、(2)交渉決裂でCDU・CSUの少数派政権が誕生、(3)再び総選挙を実施、などのシナリオが考えられます。(1)の場合は、政治の安定が好感されDAX®の支援材料となりそうです。(2)や(3)の場合は、政治の不透明感を嫌気して、DAX®には下押し圧力が加わる可能性があります。

DAX®とユーロ/米ドルには逆相関の関係が見られます。そのため、交渉結果を受けたユーロ/米ドルの動向がDAX®に影響する可能性はあり、為替市場の動向にも目を向けておく必要がありそうです。

(※)ドイツ連立政権交渉に関して、1月12日リリースの「シナリオレポート」をご参照ください

米主要企業の2017年10-12月期の決算発表が本格化します。12日には、米大手金融機関のJPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴが発表を予定しています。今回の決算発表では、企業収益の他に、税制改革の影響に関する部分が注目点となりそうです。税制改革により利益が上振れるのかや、その上振れ分の使途(賃上げや増配の有無など)に関する企業の見解が株価に影響しそうです。

******************

先物主導の上昇は短期的な日経平均の調整要因か

「裁定買い残」とは、割高な先物を売って割安な現物を買う取引(裁定取引)に伴う現物株の残高のことをいいます。通常、先物が買われて現物に比べ割高になる局面では「先物売り・現物買い」の裁定取引が増加し、裁定買い残が積み上がるとされています。つまり、裁定買い残の増加は、先物主導で日経平均が上昇してきたことを示唆しているといえます。

一般的に投機筋(短期筋)はスピードを重視し、株価指数先物に資金を投入して日本株全体を買うことが多いとされています。そして、利益が生じれば素早く売り逃げるため、投機筋の先物主導による日経平均の上昇は、ちょっとしたきっかけで調整が入るリスクを持ち合わせていると考えられます。

裁定買い残が2017年9月に上昇に転じるのと同時期に、日経平均も上昇に転じています(下図、赤枠)。足元の日経平均の上昇は先物主導によるものとみることもできそうです。また、2015年以降でみると、裁定買い残が減少に転じた局面では日経平均も下落、あるいは上値の重い展開となっています(下図、赤矢印)。今後、裁定買い残が減少に転じれば、日経平均が調整する可能性はありそうです。

足元の裁定買い残は3兆4200億円と、2016年1月以来の水準まで上昇しています。2015年以降でみると、3兆5000憶円(上図、緑線)を上回ると裁定買い残は減少に転じました。裁定買い残は過去に4兆円を超える局面もあったことから、あくまで2015年以降でみた参考としてですが、裁定買い残が3兆5000憶円を上回ると、裁定買い残が減少に転じる(日経平均の調整)リスクが高まる可能性がありそうです。

日経平均は年始から堅調に推移しています。世界経済の成長や日本企業の高収益への期待を背景に、日経平均は2018年も堅調に推移すると考えられます。ただ、裁定買い残を参考にすれば、一時的に日経平均が調整局面を迎える可能性に注意しておく必要があるかもしれません。

(アナリスト 根岸慎太郎)

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

※当レポートは現物株を対象としています。

バックナンバー

  • 2018/07/23 16:43今週の相場材料:通商問題と企業決算(本日のレビュー)日経平均は前週末比-300.89円と3営業日続落し、22396.99円で取引を終えました。日銀が7/30-7/31の金融政策決定会合で、長期金…
  • 2018/07/20 15:46来週の相場材料:欧米の景気や米自動車輸入関税の行方【相場材料】 ユーロ圏や米国の景気【ポイント1】 ユーロ圏景気には鈍化の懸念。足元の景況感は悪化傾向【ポイント2】 米景気は引き続き堅調予想。ただし、自動車輸入…
  • 2018/07/19 15:33NYダウは堅調も、自動車関税の行方には注意が必要【相場材料】 米自動車輸入制限に関する公聴会【ポイント】 輸入自動車・関連部品に関税が課されれば、米経済には大きなダメージ(本日のレビュー)日経平均は前日比-2…
  • 2018/07/18 15:45英FTSE100:ブレグジットの不透明感に要注意【相場材料】 ブレグジット(英国のEU離脱)の行方【ポイント】 メイ首相の求心力低下に加え、一部で国民投票のやり直しを求める声も(本日のレビュー)日経平均は前日…
  • 2018/07/17 16:26貿易摩擦には引き続き注意が必要!?【相場材料】 貿易摩擦の行方と経済への影響【ポイント1】 IMF(国際通貨基金)は2018年の成長予想を据え置きも、貿易摩擦に警告を発する【ポイント2】 17日…

「株価指数デイリー・レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ