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2017/12/27 17:10WTI原油先物は頭打ちの可能性も、米株価指数にとってはプラスか

(レビュー)

27日の日経平均は、エネルギーセクターの上昇を背景に前日終値比+18.52円の22911.21円で取引を終えました。リビアのパイプラインが武装勢力によって爆破され、原油供給が減少したとの報道を受けて、26日にWTI原油先物は一時2015年6月以来となる60ドル台まで上昇しました。

「今後の見通し:WTI原油先物のゆくえと株価への影響」

WTI原油先物は、OPEC(石油輸出国機構)の協調減産の効果もあり6月に底を打ち反発しましたが、60ドル台を前に上値の重い展開となり、足元では50ドル台後半で推移しています。2009年以降のWTI原油先物と石油掘削リグ(※)稼働数をみると、WTI原油先物が60ドルを超えると石油掘削リグ稼働数が増加する傾向があります(下図、緑枠)。逆に、WTI原油先物が60ドルを割り込んだ局面では石油掘削リグ稼働数が減少に転じています(オレンジ枠)。
(※)地中の石油や天然ガスを採りだすための井戸を掘る装置のこと

WTI原油先物が平均48ドル程度だった第2四半期の米シェール会社の純損益は、15社中9社が黒字でした。シェール会社の採算ラインに関しては様々な議論がみられ、明確な水準は示されていませんが、WTI原油先物が50ドル前後で採算が取れ始め、60ドル前後では多くのシェール企業の純損益が黒字に転換する可能性が高まるとみることができそうです。WTI原油先物が60ドルを超えると石油掘削リグ稼働数が増加する傾向にあることは、シェール企業の動向が関係しているとみることもできそうです。

以上を参考にすれば、WTI原油先物が60ドルを超えると、シェール企業の供給が増加すると考えられます。そのため、WTI原油先物が60ドルを大幅に上回って上昇する可能性は低いかもしれません。

2016年11月のトランプ・ラリー以降のS&P500をセクター別で比較すると、最も低パフォーマンスだったのはエネルギーセクターでしたが、WTI原油先物が6月に底を打ったのを確認する形で、エネルギーセクターは8月以降に反発しました。エネルギーセクターは2018年もWTI原油先物の動向に大きく左右されそうです。ただ、S&P500におけるエネルギーセクターの割合は6%程度(12月26日時点)で、株価指数への影響はトランプ・ラリー以降に最も上昇した金融(S&P500における割合:約14%)や情報技術セクター(同:約23%)に比べて限定的と考えられます。

WTI原油先物の動向は米消費者の行動に影響すると考えられます。WTI原油先物の価格低下により、ガソリン価格や石油関連商品などが低下すれば、家計は浮いたお金を他の消費に向けるなどして、消費関連株のプラスになる可能性があります。また、原油はプラスチックや衣類用の化学繊維などにも使用されており、それらを生産する企業のコスト低下にも寄与すると考えられます。

S&P500の一般消費財(消費関連株など)セクターの割合は約12%と、エネルギーセクターよりも高いウェイトを占めています。WTI原油先物の上値が限定的となれば、エネルギーセクターにとってはマイナス材料となりそうですが、他のセクターを押し上げる可能性があり、S&P500やNYダウなどの株価指数にとってはプラスとなるかもしれません。

なお、2018年2月に次期FRB議長に就任予定のパウエル現FRB理事は金融規制の緩和に積極的とみられています。金融規制緩和が進展し、金融機関の収益性が改善するとの見方が強まれば、金融セクターは2018年も堅調に推移する可能性があり、2017年に続き株価指数のけん引役となるかもしれません。

(アナリスト 根岸慎太郎)

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

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