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2017/12/15 15:45NYダウと米長短金利差の関係

(レビュー)

15日の日経平均は4営業日続落。前日終値比-141.23円の22553.22円で取引を終えました。米税制改革の不透明感から、前日の米国市場で主要な3つの株価がそろって下落したことや、為替市場で米ドル安・円高が進んだことが嫌気されました。また、楽天が携帯キャリア事業へ新規参入を表明したことで、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクが下落したことも日経平均の重石となりました。

(今後の見通し)

15日に発表された日銀短観(12月調査)では、大企業・非製造業のDI(業況判断指数)は前回から横ばいでしたが、製造業のDIは5期連続で改善し、11年ぶりの高水準を記録しました。中堅・中小企業のDIは製造業、非製造業ともに前回から改善しました。

売上・収益計画では、全規模・全産業で前年比+5.2%と、9月調査のマイナスから増益に転じました。設備投資は大企業・製造業などで下方修正がありましたが、全規模・全産業では前年比+6.3%へ上方修正されました。世界経済の成長を背景にした企業業績の改善が業況感を押し上げたとみられます。業況感が幅広い業種で改善したことは、日経平均の支援材料となりそうです。

来週は、米税制改革法案と2018年度予算の審議が焦点となりそうです。税制改革法案は、上下両院協議会が13日に上院案と下院案の一本化で暫定合意しました。最終案は上院と下院の本会議で可決される必要があり、共和党は18日ごろの採決を目指しています。

ただ、共和党の上院議員2人は、子育て世代の所得控除の変更を求めており、法案を支持するか不透明な模様です。上院の定数100に対して、共和党は52議席を占めていますが、2人が反対した場合、法案の成立はぎりぎりになります(50対50の場合は上院議長(ペンス副大統領)の投票で可否が決まる)。依然として税制改革法案には不透明感があり、そのゆくえがNYダウの相場材料となりそうです。

2018年度の継続予算は22日に期限切れとなります。新たな予算が成立しなければ、23日にシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)が発生します。共和党は13日、新たな暫定予算案に軍事歳出法案を組み合わせた案を提出しました。軍事費以外でも歳出増を求める民主党との超党派合意は当面放棄されることになります。民主党が反対した場合、シャットダウンが発生します。その場合、一時的にせよNYダウのマイナス材料となる可能性があり、米議会の動向を注視しておく必要があります。

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NYダウと米長短金利差の関係

米長短金利差(10年債利回り-2年債利回り)は12月に入り、2007年10月以来となる0.5%台まで縮小(イールドカーブがフラットニング)しました。過去のデータを参考にすれば、逆イールド(米10年債利回り<米2年債利回り)になると、その1-2年後にリセッション(景気後退)局面が訪れており、2018年にイールドカーブのフラットニングが進むのか注目されます。

イエレン議長は13日、FOMC後の記者会見で「逆イールドとリセッションの間には歴史的に強い相関関係がある」と述べました。ただ、「相関関係は原因ではないことを強調させてほしい」とも述べ、現在のイールドカーブのフラットニングは「タームプレミアム」の不在が原因である可能性に言及しました。

通常、投資家はインフレリスクを考慮し、期間(ターム)の長い債券に上乗せ金利(プレミアム)を要求します。イエレン議長は「現在のタームプレミアムは(インフレリスクが低いため)非常に低く、ゼロに近いと推定される。構造的にイールドカーブは過去よりもフラットになる公算が大きく、これは今後についても言えることだ」と述べ、イールドカーブは以前より容易に逆転し得るとの見解を示しました。

一方で、ブラード・セントルイス連銀総裁は、FRBの金融政策次第で逆イールドが生じるリスクがあり、慎重な対応が必要との見解を示しています。同総裁によれば、FRBが利上げを続けた場合、1年以内に逆イールドが生じる可能性があるようです。FRBの利上げは通常、期間の長い国債利回りより、短い国債利回りに影響します。そのため、タームプレミアムが低い中でFRBの利上げペースが加速すれば、2年債利回りは10年債利回り以上に上昇し、イールドカーブのフラットニングが進むと考えられます。

長短金利差とNYダウを比較すると、逆イールドとNYダウの下落のタイミングは必ずしも一致しません。ただ、過去3回のリセッション前の局面では、逆イールドと同時期か約2年後までにNYダウは下落しました。通常、株価も景気に先行するとされますが、長短金利差はNYダウに対してもある程度先行性があるとみることもできそうです。

以上を参考にすれば、イールドカーブのフラットニングを背景にNYダウが下落するのはまだ先になると考えられ、NYダウは2018年も底堅く推移する可能性があります。ただ、ブラード総裁が言及したようにFRBの利上げペースは、イールドカーブに大きく影響すると考えられ、注意しておく必要があります。また、NYダウの現在の水準はPER(株価収益率)などで見た場合、割高が懸念される水準です。前述の米議会の結果などを受けて、一時的にNYダウが調整する可能性には注意しておく必要がありそうです。

(アナリスト 根岸慎太郎)

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