サラリーマンK太が行く日経225証拠金取引チャレンジ日記

投資経験のない50代サラリーマン"K太"が日経225証拠金取引に挑戦!

2017/12/21 09:19年末相場の動きを表す格言『掉尾の一振』とは?【第89回】

よろしくお願いします。いよいよ今年もあとわずかになりましたね。年末になると『年末は株価が上昇する傾向がある』などといった情報をよく耳にしますが、年末相場の傾向というのはあるのでしょうか。
よろしくお願いします。毎年このような動きになるというものは有りませんが、年末相場の動きを表した相場格言はあります。
格言があるのですか。どのような格言なのですか?
『掉尾の一振』という格言です。

挿絵1

『とんびのいっしん』ですか?
いえ、『とうびのいっしん』です。掉尾というのは『物事の終わり』とか『終わる頃』という意味です。ですので、年末になって株価が上昇していくことを表しているのです。
実際には年末の株高という傾向はあるのでしょうか。
『1月の株高』という言葉をお話したことがあると思いますが、毎年1月には株価が上昇する傾向があるというものです。アノマリー、つまり理論では説明できないけれどもそのような事実が生じる確率が多いというモノの代表例ですね。どうして1月に上昇しやすいかの理由は覚えていますか?
えっと教わったと記憶はあるのですが、すいません、理由は忘れました。
海外の機関投資家は、年末にかけて運用しているファンドの中身を整理し、年明けからスタートをすることが多いのです。もちろん、新しいファンドも年明けにスタートする傾向が強いです。ですから、1月は買い注文が入りやすいことが一つの要因であると言われています。
なるほど、日本だと3月決算や3月卒業式だと、4月スタートのイメージが強いのですが、海外のファンドは1月なのですね。ところで、それと掉尾の一振とはどのような関係があるのですか?
1月スタートという時期を控え、12月までにファンドを整理する必要がありますよね。ただ、年末ギリギリに慌てて整理するのではなく、このような整理というのは年末までには終わっていることが多いのです。しかも、年末にはクリスマスで休暇を取る人もいますからね。
なるほど、早目、早目の行動があるのですね。
そうです。早めの行動という点では、株式市場の信用残の動きも同じようなことが見てとれます。株式市場の信用取引の残高というのはマーケットを分析する上でヒントになるデータです。例えば、株式市場が好調だと信用取引で株を買う人が多くなるので買いの残高が増えます。高値付近の残高が一番大きくなります。そして、天井を付けて下落をすると買い残はどうなるでしょうか。
それは、慌てて損切りする人も出てきますから減少していきますよね。
たしかに減少していきます。ただ、通常、信用取引の期間は6ヶ月間です。6ヶ月あることで『戻るチャンスはある』と考えている人が多いのも事実です。しかし、天井を付けて3ヵ月が経ち、4ヶ月が経ち、6ヶ月目の期日が近づいてくると徐々に不安が大きくなりますよね。
そうだと思います。このままであればどうしようかと思うと思います。
K太さんの心理状態はまさしく信用取引をしている人の心理です。ということは『6ヶ月ギリギリまで辛抱したのは良いけれど、期日の6ヶ月目に多くの人が売却すれば株価水準は更に下がってしまい損失も大きくなるではないか』と考えるのです。
なるほど、そうなると投資家は早めに処分する行動に出るということなのですね。
その通りです。巷では、信用取引の買い残のピーク、すなわち天井から6ヶ月目に調整が終了し株価の安値をとなる傾向があると言われたりしますが、実際に調べてみると、1ヶ月早い5ヶ月目に株価は安値をつける傾向があるのです。
そうなのですか。信用取引で高値付近で株を購入した人たちは高値から5ヶ月目あたりで『あと1ヶ月しかない』という気持ちになり売却していく傾向がある、ということなのですね。
そうです。そして、こうした心理は機関投資家とて同じです。12月という時期を迎えるにあたって早目に行動に出るのです。
だから年末になると、買いやすい、つまり上昇しやすい環境が整うということなのですね。

挿絵2

ただ、もう一つ指摘しておきたいことがあります。掉尾の一振という格言は、僕が金融界で働くようになった1980年代には既にありました。
古くから言われていたのですね。
でも、東京証券取引所が再開されたのは1949年です。わずか30年前後の期間で出来上がった格言とも言えるのです。しかも、この期間の日本経済というのはどういう期間でしたか?
戦後からですよね。それはもう、高度成長時代の真っ只中で、日本経済が大きく成長した時代です。
そうですよね。つまり、株式市場の長期のトレンドも右肩上がりになっていた、ということです。つまり、そうした時代の中では12月も株価は上昇する傾向にあり、年末の株高を『掉尾の一振』という言葉で表したともいえるのです。サンプルが少ない中に確率的傾向を求めることを、行動経済学では『少数の法則』と言います。
そっか、サンプルが少なかったけれども、そのような傾向が多く見られたために出来上がった格言ということが言えるのですね。ちなみに2000年以降はどうなのですか?
2000年以降の12月の成績は11勝6敗となっています。やはり、高度成長時代よりは勝率は落ちていますね。
下落した年もありますが、12月の相場の傾向がわかりました。ありがとうございます。
お疲れ様でした。

感想

筆者プロフィール

プロフィール写真
川口 一晃 1960年北海道生まれ
1986年に銀行系証券会社(現・三菱UFJ証券)入社、その後、銀行系投資顧問会社(現・三菱UFJ投信)、国内投信会社(三洋投信)にて11年間ファンドマネージャーを務める。1996年にブルームバーグL.P、2000年外資系証券会社を経て、2004年にオフィスKAZ代表取締役に就任。
高知大学非常勤講師、日本FP協会社会教育委員会委員などを歴任。 テレビ・ラジオなどメディアでも活躍。投資教育の分野でも活躍。2009年投資教育を主体の劇団「コレモナニカノ円」を主宰。

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