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2016/10/31 16:47クリントン氏のメール問題、どう影響するか

「オクトーバー・サプライズ」

2016年の大統領選挙ほど「オクトーバー・サプライズ」が多い選挙は珍しい。毎週、次から次へと。共和党候補のドナルド・トランプ氏の「女性蔑視発言テープ」、トランプ氏の「わいせつ行為」の被害を訴える女性証言。先週末には、民主党候補のヒラリー・クリントン氏が国務長官在任中に個人メールで機密情報をやりとりしたとされる問題で、FBIが一旦終了した捜査を再開したとのサプライズが出ました。

「メール問題」の速報が流れるまでのニューヨーク株式相場は小幅高で推移していました。しかし、速報が流れた後の1時間で、ダウを含む主要株価指数が1%近く急落しました。終盤に下げ幅を縮めましたが、不安を抱えたまま取引を終えました。

ダウは週間ベースではほぼ横ばいでした。S&P500は0.69%安。ナスダックは、指数の計算方法により時価総額の大きい企業の株価が大きく影響します。先週は、時価総額が最大のアップルが弱い決算を嫌気され下落、ナスダック全体を押し下げました。週間ベースで1.28%安でした。

先週はまた、FRBが12月に利上げするとの観測が一段強まったことも株価に影響しました。米10年債利回りが大幅に上昇、株式市場の心理を冷やしました。金利上昇局面では、金融株などが買われる一方、株式市場全体ではネガティブに影響するとされています。

「材料豊富」

今週は材料が豊富です。引き続き材料になるのが企業決算。水曜日のフェイスブックとタイム・ワーナー、木曜日のスターバックスが特に注目です。

FRBが1-2日に金融政策を決めるFOMCを開きますが、利上げするなどの「ビッグ・サプライズ」がなければ、株式相場への影響は限定的だとみられます。

注目の経済指標は、金曜日に発表される10月の雇用統計。大統領選挙前の最後の雇用統計が強ければ、選挙で民主党が勝利する確率が上がり、株式相場にポジティブに影響するとみられます。

大統領選挙が近づくにつれ、ニューヨーク株式市場では、ヘルスケア株からテクノロジー株や工業株へ資金が移動しました。クリントン氏が高額な薬代を批判しているため、医薬品株やバイオ関連株の一部が敬遠されています。悪い意味での「クリントン銘柄」と言えます。

CNBCの人気コメンテーターのジム・クレイマー氏は、クリントン勝利を前提にしていた投資家が「メール問題」で動揺、週明けの月曜日は売りが膨らむ可能性があると見ています。

 今週は材料が多いのですが、大統領選挙をめぐるニュースが相場に最も影響しそうです。選挙まで1週間あまり。サプライズがまだあるかもしれない。そんな投資家の心理が相場に反映しそうです。

「メール問題はどうなるか」

28日のニューヨーク株式市場の取引時間中に出たクリントン氏のメール問題は異例のものでした。

FBIはこれまで、クリントン氏が国務長官時代にルールを破って使用した個人サーバーに残ったメールを捜査、分析しました。「機密漏洩はなかった」と判断、7月に捜査終了を宣言しました。

これとは別にFBIは、アンソニー・ウィーナー元下院議員による未成年少女とのわいせつな情報のやりとりを捜査していました。その中で、元議員のフーマ・アベディン夫人のコンピュータを押収しました。アベディン夫人はクリントン陣営の幹部で、コンピュータをクリントン氏と共有していました。そのコンピュータにあったクリントン氏のメールの捜査を新たに始めたというものです。

新たなに発見されたメールは1000通以上とされています。FBIはそれらを詳細に分析、今年7月に実施した捜査のミニ版を進める見通しです。メールに機密情報が含まれているかどうかは不明です。捜査が11月8日の大統領選までに終了する可能性は限りなくゼロに近いと見られています。つまり、クリントン氏が重大な罪を犯したか不明のまま、選挙に突入するということです。

これまでのところ、新たなメール問題が選挙に与える影響は軽微とされています。ただ、クリントン氏に新たな打撃になったことは間違いありません。クリントン氏には選挙後も「メール問題」が付き纏うことになりそうです。
 
[October 31, 2016 NY 022] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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