週刊2分でわかるNYダウ

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2016/08/08 15:41大物は警戒、相場は高値更新


「最高値更新」

夏休み入りした投資家が多く、低調な売買高が続くニューヨーク株式市場。ダウは先週、週間ベースで0.6%上昇し1万8543で取引を終えました。S&P500は0.4%高の2182と、過去最高値を更新。ナスダックは1.1%高、こちらも高値を更新しました。

注目を集めたアメリカの7月の雇用統計は、農業部門を除いた就業者数が25万5000人増えました。ブルームバーグが調査した89人のエコノミストの誰もが予想しなかった大きさ。

1.2%増と予想を大幅に下回った第2四半期のGDPの発表後に広がったアメリカ経済への懸念を吹き飛ばす強さが雇用統計にはありました。

企業決算の8割以上が予想を上回ったことも投資家心理を改善させました。これまでの株式相場は、公共株や通信株が相場全体の上昇をけん引しました。高配当銘柄や景気に左右されないディフェンシブ銘柄も買われました。先週の相場上昇を引っ張ったのはテクノロジー株とヘルスケア株でした。買いが幅広い業種に広がっています。

「来週の注目は小売」

来週も薄商いが続くとみられます。注目は小売り各社の決算。11日にメイシーズ、ノードストローム、コールズなど大手デパートが決算発表を予定しています。JCペニーの決算は翌日。12日にはアメリカ商務省が7月の小売売上高を発表します。個人消費はアメリカのGDPの約3分の2を占めるだけに、市場全体に影響する可能性があります。

今週はまた、中国の経済指標の発表が集中します。欧米の株式相場の材料になりそうです。

「大物投資家は悲観」

Barron’s最新号の巻頭記事は、「いかに5%の利回りを確保するか」とする債券投資に焦点を当てたものでした。歴史的な低金利の中、米10年債の利回りは1.59%程度。社債発行ブームになっていますが、優良企業の社債利回りは5%を大幅に下回っています。低リスクの債券と高リスク債券のポートフォリオをいかに構成するかが重要だとする専門家の意見をラウンドテーブル形式で伝えました。

「債券王」と呼ばれるビル・グロス氏が先週、「債券も嫌いだが、株式も嫌いだ」と発言、話題を集めました。ジャナス・ファンドを率いるグロス氏は、中央銀行の政策が市場を歪めていて、債券投資と株式投資は好ましくない、金や金鉱株に投資するしかないと主張。

Barron’sは、グロス氏だけではなく、著名な投資家のジェフリー・ガンドラック氏も「株式をすべて売却したほうがいい」と主張していると伝えました。さらに、スタンレー・ドラッケンミラー氏、ジョージ・ソロス氏、そしてカール・アイカーン氏といったビリオネア投資家も株高に警鐘を鳴らしているとしています。

ビリオネアの懸念にもかかわらず、S&P500とナスダックは先週、最高値を更新。ダウも高値に近づいています。恐怖指数であるVIXは過去1年で最も低い水準で推移しています。

背景には、世界の中央銀行による流動性の拡大があるとBarron’sが解説しました。先週は、イングランド銀行が利下げと同時に量的緩和の拡大を決めました。少しでも高いリターンを求めて世界の資金が、アメリカの債券と株式に集まっているとしています。

ウォール街がいま注目しているのはワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティ連銀のイベントです。8月26日にイエレン議長が講演する予定。年次経済シンポジウムには、例年、世界の中央銀行のトップが参加します。去年の会合には、イングランド銀行のカーニー総裁、ECBのドラギ総裁、日銀の黒田総裁らが参加しました。今年のジャクソンホール会合が相場の方向を変える可能性があるとの指摘があります。

[August 08, 2016 NY 010] 

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【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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