週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2018/05/28 09:10NY夏相場、嵐はあるか

「悪材料の影響軽い」


先週のニューヨーク株式マーケットでは地政学リスクが材料になりました。


トランプ大統領は、金正恩委員長との会談中止を発表。イタリアは政局が不透明、スペインではラホイ首相に対する不信任案が提出され、さらにトルコをはじめ新興国の金融マーケットは不安定化しました。アメリカと中国の貿易をめぐる協議の不透明感も強まりました。


株式相場はやや弱含んだものの、影響は限定的でした。ダウは週間ベースで38ポイント(0.15%)上昇しました。S&P500は0.31%高、ナスダックは1.08%上昇しました。大幅に下落したヨーロッパの株式相場と比べ、下値の堅さを示しました。


原油安を受けエネルギー関連株の下げが目立つ一方、テクノロジー株は全般的に堅調でした。


「夏相場」


28日はメモリアルデーでアメリカの祝日。ニューヨーク株式マーケットは休場です。メモリアルデーは「夏のはじまり」とされ、9月はじめのレイバーデーまで「夏相場」に突入します。


夏相場の第1週の最大の材料は、1日発表の5月の雇用統計です。非農業部門の雇用者数の予想レンジは15万5000人〜21万5000人増。コンセンサスは18万5000人の増加。失業率の予想レンジは3.9 〜4.0%で、3.9%がコンセンサスです。


雇用統計で最も相場に影響しそうなのが賃金です。時間あたりの賃金は前月比0.2%上昇、前年同月比で2.7%増えるとの予想がコンセンサスになっています。


賃金は過去18カ月間ゆるやかに上昇しましたが、失業率が歴史的な低さを記録する中で賃金上昇が加速するかどうかが焦点です。加速した場合、FRBが利上げペースを早めるとの懸念が生じ、株価に影響する可能性があります。


雇用統計と同じ1日に発表される自動車メーカー各社の5月の新車販売台数も材料になりそうです。


今週は、HP、セールスフォース、コストコ、ルルレモン、アバクロンビー&フィッチなどが四半期決算の発表を予定しています。


本格的な旅行シーズンを控え、原油価格の動向を意識する投資家も少なくありません。サウジアラビアとロシアが協調減産の緩和を示唆したことで、原油価格は下げに転じました。原油安は消費者心理を改善させるため、株価にはポジティブに影響することがあります。


米朝首脳会談、貿易をめぐる対中協議、イタリアとスペインの政治状況など、地政学リスクや通商問題も引き続き投資家心理に影響する可能性があります。


「中国とVIX」


夏相場が大きく崩れる可能生があるとの見方が複数あります。


モルガンスタンレーのアジア部門の元会長で、エール大学の客員研究員であるスティーブン・ローチ氏は、CNBCに対し、中国との貿易戦争は株価にとって打撃になる可能性があるとコメントしました。対中協議の行方が、株価の方向を決めるとの指摘は少なくありません。


一方、バロンズは、恐怖指数であるVIXが1月以降の最低水準に低下したことに注目しました。VIXは年初から急上昇する局面が2度あり、その都度株価が大きく崩れました。インフレ率が上がり、FRBが政策金利の引き上げを継続する中、夏の間にVIXが急上昇し、株価が大きく崩れてもおかしくないとするストラテジストの見方を紹介しました。


[May 28, 2018 NY 102] 
 

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2018/08/13 10:09トルコ通貨危機、どう影響するか「アジア通貨危機との違い」トルコの通貨リラは10日の欧米マーケットで急落。トルコに多額の融資をしているヨーロッパの大手銀行株は軒並み売られました。株安がニューヨ…
  • 2018/08/06 09:40貿易戦争と中国ビジネス「1兆ドル企業」ホワイトハウスが中国からの輸入品に25%の関税を賦課することを検討しています。当初発表の10%から25%へ引き上げた形。先週は中国での売上高が大…
  • 2018/07/30 09:37IT株と上昇相場「フェイスブック」先週のニューヨーク株式マーケットは、3つの主要な株式指数が異なる動きを示しました。アメリカの各産業を代表する30社で構成されるダウは、週間ベー…
  • 2018/07/23 09:46こう着相場、貿易戦争と決算「動かない相場」ニューヨーク株式相場がこう着しています。米中、米EUの貿易をめぐる摩擦に対する懸念。アメリカの主要企業の強い決算が綱引きをする展開と指摘されてい…
  • 2018/07/17 10:06決算シーズン本格化「ナスダック最高値」先週のニューヨーク株式相場は堅調でした。トランプ政権が11日水曜日に、中国から輸入される2000億米ドル相当の6000を超える品目に10%の…

「週刊2分でわかるNYダウ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ