週刊2分でわかるNYダウ

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2018/05/14 09:38ウォール街の不安消えたか

「悪材料と相場」


ウォール街の懸念が薄れ、上昇基調に戻った。先週のニューヨーク株式相場はそんな雰囲気が漂う展開でした。


トランプ大統領は8日、イラン核合意から離脱、対イラン制裁を再開すると発表しました。中東情勢が不安定化する、原油価格が上がりインフレ率を押し上げる、FRBが利上げペースを早めるかもしれない。そんな懸念が広がり、ダウは一時値を下げました。その後買い戻され、その日のダウはほぼ横ばいで取引を終えました。


翌9日に発表された生産者物価指数は市場予想に届きませんでした。10日発表の消費者物価指数、変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数はいずれも予想を下回りました。株価は上昇、ダウが続伸しました。


バロンズは、弱い物価指数を景気減速とは受けとめず、景気が過熱していない、FRBに対する利上げ圧力を和らげたとマーケットは解釈したと伝えました。


ダウは先週、568ポイント(2.34%)上昇しました。ナスダックは2.68%高。S&P500は2.41%上げて、1週間の取引を終えました。


S&P500は年初から200日移動平均を3度割りました。その都度、戻し、200日移動平均を上回った水準を維持しています。ウエルズ・ファーゴのストラテジストは、「下に行かないのであれば、上に行くしかないと考えるようになってきた」とバロンズにコメントしました。S&P500が節目の2800を超えて上昇するか。当面の注目点になっています。


「小売り関連とNAFTA」


今週のニューヨーク株式マーケットでは、小売り関連のニュースと北米自由貿易協定(NAFTA)見直し交渉の動きが材料になりそうです。


NAFTAをめぐっては、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国が先週1週間を通して、ワシントンで合意に向けた詰めの協議を続けました。協議は週末も続けられました。


連邦議会下院のライアン議長は先週、見直し内容の議会承認のために5月17日までに案が提出される必要があるとの認識を示しました。新たに設けられた期限を控え、3カ国は合意できるか。ウォール街が注視しています。


NAFTA協議に影響しそうなのが、トランプ大統領の11日の発言。自動車メーカーの幹部との会合で、輸入車に20%程度の関税を導入することを示唆しました。自動車問題はNAFTAの焦点の一つ。中国との通商交渉の動きも活発で、貿易問題が再び材料になりそうです。


経済指標では、15日に発表される4月の小売売上高が相場に影響する可能性があります。さらに今週は、ホームデポ、メイシーズ、ウォルマート、JCペニー、ノードストロームなど小売大手が四半期決算を発表します。


株価は原油価格の動向にも敏感になりそうです。トランプ大統領がイラン核合意からの離脱を表明したことで、原油価格が上昇基調にあります。上昇が続けば、FRBの利上げをめぐる見方が修正される可能性があります。原油高で物価上昇が加速するとの観測が広がれば、株価にネガティブに影響しそうです。株価は米国債利回りにも引き続き敏感に反応しそうです。


「自社株買い」


バロンズの最新号の表紙と巻頭記事では、自社株買いのブームが取り上げられました。


時価総額最大のアップルは1000億米ドル規模の自社株買いを発表、株価を上場来高値に押し上げました。決算が予想ほど悪くなかったこと、バフェット氏がアップル株を買っていることも株高要因ですが、大規模な自社株買いの影響も大きい。


企業が自社株を買い戻すと1株あたりの価値が上がるため、株価にはポジティブに影響するパターンが多いです。バロンズによると、S&P500を構成する企業が今年発表した自社株買いの合計は6500億米ドル。過去最大の2007年の5890億米ドルをすでに上回りました。トランプ大統領が主導した税制改革の影響で、自社株買いが活発化しました。自社株買いブームも株価を下支えする要因の1つになっています。


[May 14, 2018 NY 100] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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