週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2018/04/30 09:10ブル終焉はまだか、迷う投資家

「長期金利と決算」


ダシール・ハメットの代表作「マルタの鷹」。3度も映画化されたハードボイルド小説の古典的名作。バロンズ最新号は、いまのニューヨーク株式マーケットは、小説の中で私立探偵サム・スペードが語るフリットクラフトのようだと表現しました。死にかけたが、復活する。


記録的に長期化した株式のブル(強気)相場が死にかけたとしています。ただ、インフレ率の上昇、関税、テクノロジー企業に対する規制など売り要因が明確ではなく、投資家が売りに回るか、それとも通常に戻るか決めかねていると伝えました。


ダウは先週、151ポイント(0.62%)下げました。ナスダックは0.37%安。S&P500はほぼ横ばいで1週間の取引を終えました。


24日は荒れた展開でした。長期金利の指標である米10年債利回りが3%台に乗せたことや、重機大手のキャタピラーの慎重な業績見通しが影響しました。金利が上昇し企業業績を圧迫する、業績がピークに達したとの観測が広がりました。


ブル相場が終わったとの見方はほとんどありません。しかし、株価が安定したとの見方もありません。投資家の迷いを背景に、方向を探る展開が続く可能性があります。


「材料豊富」


今週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富です。


決算で注目されるのが1日のアップルの決算。主力のiPhoneの販売が不振との懸念でアップル株が下落基調になっています。四半期決算とガイダンスがアップルだけではなく、テクノロジー株全体に影響しそうです。


今週はまた、マクドナルド、メルク、保険大手のエトナ、テスラ、ダウ・デュポン、ケロッグ、アリババなどが四半期決算の発表を予定しています。


1日と2日に開かれるFRBの金融政策を決める会合(FOMC)も株式相場の動意となる可能性があります。次の利上げは6月で、今回は政策金利を据え置くとのコンセンサスです。声明の中で、インフレ率や経済の認識をどう示すか、今後の利上げのヒントを示すかが注目です。


FRBが重視する30日発表のPCEデフレーターも材料になる可能性があります。FOMCや物価データを受け、米10年債利回りがどう動くか、投資家が注視しています。


4日金曜日発表の4月雇用統計も相場に影響しそうです。特に、賃金の伸びに注目が集まっています。


アメリカのムニューシン財務長官と国家経済会議のクドロー委員長は今週、中国を訪問する方向です。貿易面で中国側と合意できるかが焦点。南北首脳会談の直後だけに、北朝鮮問題でも意見交換するとみられます。米中の貿易摩擦は、これまで株価の大きな変動要因になっています。


「通信再編」


アメリカの携帯3位のTモバイルとソフトバンク傘下のスプリントは29日、経営統合で合意したと発表しました。経営の主導権をめぐり交渉が難航、去年11月に交渉がうち切られていました。5G時代の生き残りをかけてソフトバンクが譲歩した格好です。


統合会社は「Tモバイル」。TモバイルのレジャーCEOが経営のトップにつきます。持株比率は、Tモバイルの親会社のドイツテレコムが41.7%、ソフトバンクが  27.4%になります。


新会社の契約者数は1億2600万人となり、最大手のベライゾン、2位のAT&Tに迫ります。アメリカ連邦通信委員会(FCC)などの当局が承認すれば、アメリカの携帯市場は2強2弱の時代から3強時代に移行します。ただ、審査が難航、長期化する可能性もあります。


Tモバイルとスプリントの経営統合のニュースは、29日のウォールストリートジャーナルとフィナンシャルタイムズが、それぞれトップで詳しく報じました。30日のニューヨーク株式マーケットで、携帯大手のほか、ケーブル各社の株価に影響することが確実です。


 [April 30, 2018 NY 098] 
 

NOTE

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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