週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2018/03/19 08:45「調整局面はまだ終わっていない」

「異なる材料」


ニューヨーク株式マーケットは先週、軟調に推移した後、終盤にやや落ち着きました。マーケットは何を恐れているのか決めかねている。バロンズは先週の株式マーケットをこう表現しました。


ニューヨーク株式相場は2月に調整しました。2016年以降で初めての調整。賃金が予想以上に増加、米10年債利回りが3%目前まで上昇したことを受けた典型的なインフレ懸念による株安。


ただ、3月9日に発表された2月の雇用統計では、賃金の伸びは鈍化しました。賃金の増加率は市場予想に届きませんでした。発表当日、ニューヨーク株式相場は大幅に上昇しました。


ダウは先週、389ポイント、率にして1.54%下げました。S&P500は1.24%安、ナスダックは1.04%下げました。


バロンズは、売り材料は毎日異なっていたと伝えました。ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官がトランプ大統領の投資会社(トランプ・オーガニゼーション)に書類提出を求める司法手続きをしたこと、トランプ政権が中国を対象にした関税を導入するとの報道、そしてティラーソン国務長官の突然の更迭。


2月の小売売上げは予想外にマイナス、3カ月連続で減少したことも材料になりました。「トランプ減税」の効果はないとの指摘がありました。アトランタ地区連銀が公表するGDPナウは、今年第1四半期のGDPが2%を下回る可能性を示唆しています。経済が過熱しインフレ率が上昇するとの懸念から、成長が弱含むとの懸念に変わりました。


先週の下げについてバロンズは、2月の株価調整がまだ終わっていないことを示したと解説しました。インフレ懸念を材料にしない先週の株安は、インフレ懸念以外に株価を押し下げる材料が潜んでいることを示唆したとも言えそうです。


「材料豊富」


今週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富です。


最も注目を集めそうなのが、20-21日に開催される米FOMC。0.25%の利上げが確実視されています。21日水曜日に発表される声明のトーン、就任間もないパウエル議長の記者会見、そして、政策担当者の金利予想の分布をまとめたドット・チャートが株価に影響することが予想されます。


19日と20日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議も注目。鉄鋼に25%、アルミニウムに10%を課す「トランプ関税」が今週末に発動します。早ければ今週中にも中国の幅広い製品に高い関税を課す新たな輸入制限をトランプ大統領が発表する可能性があります。G20は保護貿易が最大のテーマで、アメリカとの緊張が高まることが予想されます。


月曜日はオラクル、火曜日にフェデックス、水曜日は食品大手ジェネラルミルズ、そして、木曜日はナイキが四半期決算を発表予定。注目です。


21日に始まるAT&Tのタイムワーナー買収をめぐる裁判も材料になる可能性があります。司法省が買収を阻止、AT&Tは不服として訴えました。


「新たなスキャンダル」


トランプ大統領は16日、FBIのマケイブ副長官を更迭しました。18日に退任予定でしたが、解任による免職のため年金受け取り資格を失いました。主要メディアが衝撃的に報道。批判が広がりました。


マケイブ氏は、トランプ大統領との会話を記録した詳細なメモを、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官に渡しました。また、去年解任されたコミー前FBI長官から受けた説明のメモを捜査当局に提出したとも報じられました。


トランプ大統領は「フェイク・メモ」だと主張していますが、司法妨害を裏付ける有力な証拠になる可能性があります。


トランプ大統領をめぐっては、不倫問題も注目を集めています。女優の弁護士はケーブルTVのインタビューで、数人の女性がトランプ大統領による性的嫌がらせを主張していると述べています。


ロシア疑惑と女性問題。トランプ大統領をめぐる2つのスキャンダルにマーケットが注目していて、状況次第で株価を動かす可能生がありそうです。


 [March 19, 2018 NY 092] 
 

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2019/04/22 09:24退屈な相場展開と出口探る投資家「こう着相場」外国為替相場などと同様に、ニューヨーク株式マーケットでも「動かない」相場展開が続いています。バロンズは、あくびが出そうな「退屈な」状況だが、相場が…
  • 2019/04/15 09:23最速の世界株高、いつまで続く「動意薄も高値に迫る」現代演劇に大きな影響を与えたベケットの戯曲『en attendant Godot(ゴドーを待ちながら)』。先週のニューヨーク株式マーケット…
  • 2019/04/08 09:52NYブル相場が継続、それとも終わるか「最高値に迫る」米3カ月物財務省証券(Tビル)の利回りが長期金利の指標である米10年物国債の利回りを上回る「逆イールド」現象が発生、アメリカ経済がリセッション(…
  • 2019/04/01 10:56悪材料でも株価堅調、この先は「S&P、1998年来の上昇率」2019年第1四半期(1-3月)が終わりました。ニューヨーク株式相場は年初こそ不安定でしたが、強いパフォーマンスを示しました。ダ…
  • 2019/03/25 09:27「逆イールド」で悪化した投資家心理「ムードが変わった」3月11日の週は、押し目買いが優勢で、投資家がアメリカ経済を楽観しているようにみえました。先週はその逆。アメリカ経済が減速するどころか、年内…

「週刊2分でわかるNYダウ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ