週刊2分でわかるNYダウ

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2018/03/05 08:58NY株、売り理由探る

「不安定な展開」


ニューヨーク株式マーケットのボラティリティが高まっています。


ダウは先週火曜日、299ポイント下げました。FRBのパウエル議長が下院の証言で、アメリカ経済にタカ派的な見方を示し、今年の利上げ回数は3回ではなく4回に増えるのではないかとの観測が広がったことが影響しました。


水曜日、ダウは380ポイント下落。上院は、トランプ大統領が提案した大型のインフラ投資計画を年内に採決しないかもしれないとの噂が影響しました。翌木曜日、トランプ大統領が、鉄鋼の輸入品に25%、アルミニウムに10%の関税を課す意向を示したことが影響、ダウは420ポイント下げました。金曜日にやや落ち着いたものの、ダウがプラス圏に戻ることはありませんでした。


ダウは先週1週間で771ポイント(3.05%)下落しました。S&P500は2.04%安、ナスダックは1.08%下げました。


マーケットでは、投資家が「売る理由」を探していると囁かれました。ポジティブな材料に対しては反応薄。ネガティブな材料には大きく反応する。投資家心理が不安定になっていることを示唆しています。


経済が堅調であればFRBが利上げペースを早める。経済が弱含む兆しがあってもFRBが追加利上げする方向。「悪いニュースは悪く、良いニュースも悪いニュースになる」とバロンズは解説しました。


「雇用統計」


今週のニューヨーク株式相場は材料が豊富です。


注目されるのは9日に発表されるアメリカの2月の雇用統計。雇用統計をめぐっては景気を敏感に反映する非農業部門の雇用者数が重視されますが、投資家は今回の統計では賃金の伸びにも注目しています。


雇用が堅調にも関わらず賃金が増えない状態が続いていたため、賃金が増えれば経済全体、労働者にとって良いニュースです。一方で、賃金上昇はインフレ懸念を招き、FRBが利上げペースを早めるとの懸念が広がる可能性があります。CNNマネーは、今週後半、投資家の関心はインフレ率に戻るだろうとの見通しを伝えました。雇用統計が発表される9日は、ブル(強気)相場が始まって丸9年目の記念日でもあります。


今週は小売大手の決算発表が相次ぎます。ターゲットが火曜日、コストコが水曜日、スーパーマーケット大手のクロガーが木曜日に四半期決算の発表を予定しています。


トランプ大統領は今週中にも鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を賦課する大統領令に署名するとみられます。EUは対抗してアメリカへの報復措置を検討、これに対してトランプ大統領はEU産の自動車に対しても高率関税を課すとけん制しました。貿易をめぐるアメリカ、それに対する主要国の動きが株式相場全体に影響する可能性があります。


「不安定化するホワイトハウス」


ワシントンポストは週末、制御不能の大統領を抱え、ホワイトハウスが不安定になっていると大きく報じました。トランプ大統領の怒りがおさまらず、孤立しているとしています。ケーブルTVのニュースがホワイトハウスの相次ぐスキャンダルを大きく取り上げ、娘婿のクシュナー氏を守ろうとする人が誰もいない。トランプ大統領は誰を信じていいのか、わからなくなっていると解説しました。


精神状態が不安定な中、トランプ大統領はホワイトハウスの高官のアドバイスをほとんど受けず、独断で鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税賦課の方針を発表したと主要メディアが伝えました。保護主義を主張するロス商務長官の影響が大きいとの見方もあります。


バロンズが、ウォール街の有力なエコノミストやストラテジストに「貿易戦争に向かうか」について聞いたところ、見方は分かれました。貿易戦争の勝者は不在で株価を下押しするとの意見がある反面、関税率はトランプ大統領が先週発表したものより低くなる可能性があり、影響は限定的だとの見方もありました。


 [March 05, 2018 NY 090] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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