週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2016/06/27 16:20「リスク高」の雲行き

「英より売られた米株、独株」

EU離脱を決めたイギリスの国民投票を受け、アメリカの株式相場が3%超下げました。ダウが610ポイント(3.4%)、S&P500は76ポイント(3.6%)下落しました。ナスダックは202ポイント安、下落率は4.12%に達し、チャート上で調整相場入りしました。

ニューヨークより先に取引を終えた海外の市場も大荒れでした。日経平均は7.92%安、フランクフルトのDAXは6.82%安、パリのCACは8.04%安、ミラノのMIBは12.48%安。

震源のイギリスのロンドン市場のFTSE100も当然下落しましたが、下落率は3.2%にとどまり、どの主要市場よりも小幅でした。FTSEは年初から1.7%低い水準にありますが、これも日経平均の22.2%安、DAXの11.0%安と比べ小幅です。Brexit(イギリスのEU離脱)をめぐる経済、企業業績への懸念が、イギリスより海外の方が大きいことを示唆しているのかもしれません。

S&P Globalによりますと、世界の株式市場の時価総額が24日に2兆ドル(約204兆円)減りました。リーマンショックがあった2008年9月に1日に1.9兆ドル減少したことがありましたが、それを超える過去最大の下落。Bloombergのデータでは、世界の富豪トップ400人の個人資産が合わせて1270億ドル(約12兆9540億円)が失われた計算になります。Brexitの衝撃の大きさを物語っています。

「荒れ相場続く見通し」

来週のアメリカの経済指標の発表は軽めです。貿易統計(27日)、消費者信頼感指数、Q1のGDP確定値、ケース・シラー住宅価格指数(28日)、PCEコアデフレーター(29日)、シカゴPMI(30日)、新車販売台数、ISM製造業景気指数(1日)が発表されます。

ただ、経済指標より、FRB幹部の発言が材料になりそうです。29日にポルトガルで開かれるECBフォーラムのパネル・ディスカッションに、ECBのドラギ総裁、イングランド銀行のカーニー総裁、そして、FRBのイエレン議長が参加します。投資家は中央銀行の対応を注視しています。さらに今週は、FRBのパウエル理事(28日)、セントルイス地区連銀のブラード総裁(30日)、クリーブランド地区連銀のメスター総裁がそれぞれ講演を予定しています。

BofAメリルリンチをはじめ大手投資銀行のエコノミストが、イギリスの国民投票後に、アメリカのGDP見通しを相次いで下方修正しました。FRBの利上げペースについては、従来の年内2回から1回もしくゼロに予想を修正しました。

チャールズ・シュワブのストラテジストは、いま起こっている衝撃は、中央銀行が解決できる問題ではない、複数の政治家が解決すべき問題だとCNBCにコメントしました。Brexitをめぐる欧米首脳の発言も相場に影響する可能性があります。

「欧州株に悲観論」

ウォール街関係者が週末に読むBarron’sの表紙は「BREXIT」でした。当然ですが。

巻頭記事の中で、Brexitをめぐる混乱は、イギリスが2年に渡りEU離脱手続きを進める中で落ち着くだろう、とするモルガン・スタンレーのアナリストのコメントを紹介しました。ただ、アナリストは、政治と経済の不透明な状況が長期間続くことになるとしています。

Barron’sによりますと、アメリカのS&P500を構成する企業の売上高の70%はアメリカ国内のもの。これに対し、FTSE100を構成するイギリス企業の国内の売上シェアは35.5%、DAXは27.6%と海外でのシェアが大きい。ちなみに日本は58%です。アメリカ企業が、海外より国内市場の重要度の大きさがわかります。

アメリカの株式相場がBrexitの衝撃から落ち着くまでにしばらくかかりそうだが、いずれ投資家が戻りアメリカのマーケットが堅調になりそうだとBarron’sが伝えました。

一方、Bloombergは、ヨーロッパ株は下落方向に傾いていると報じました。クレディ・スイスは、イギリスの株式相場が年末までに6.5%、ヨーロッパの相場が14%、アメリカは7.5%、それぞれ下がると予想したとしています。また、モルガン・スタンレーは、FTSE100が最大で19%、ユーロ圏の主要指数であるSOXX50が14 %下落すると見ていると伝えました。

悲観論、特にヨーロッパの株式に対する悲観的な見方が強いです。

[June 27, 2016 NY 004]

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2019/03/18 09:29復活した「押し目買い」「弱い指標を無視」ウォール街で先週「Buying the dip」が意識されました。日本語で「押し目買い」と訳されます。将来の値上がりを見込んで、何かの要因で下…
  • 2019/03/11 10:49ブル相場10年のNY株、懸念少なくない「週間で2%超の下落」先週のニューヨーク株式相場は軟調でした。S&P500の上値の重さが目立ちました。先週は5日続落、週間ベースで2.16%下落しました。ダウは…
  • 2019/03/04 10:242ヵ月で11%上がった米株「先週はまちまち」先週のニューヨーク株式マーケットはまちまちでした。ダウは週間ベースでほぼ横ばい。0.02%安と、10週間ぶりに下げました。S&P500…
  • 2019/02/25 09:15新高値に迫るNY株「高値まで5%」祝日(プレジデンツデー)の影響で4日間の取引となった先週のニューヨーク株式マーケットは、主要な株価指数が小幅上昇しました。ダウは0.57%上昇。…
  • 2019/02/18 09:46NY市場、売り手が買い手になった「ダウ、8週連続上昇」ニューヨーク株式相場が先週、大幅に上昇しました。バロンズは、「いいことはいつか終わるが、今年の株価の上昇はすぐに終わりそうにない」と解説し…

「週刊2分でわかるNYダウ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ