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2017/11/06 08:59トランプ大統領の内憂外患と「1月効果」

「最高値」


株価の上昇が続いています。先週のニューヨーク株式市場では、下院共和党の税制改革案の発表、FRBの次期議長に「安全」とされたパウエル理事が指名されたことも手伝って堅調に推移しました。税政策改革案やパウエル理事の指名に賛否両論がありますが、ネガティブな意見に耳を貸さず、上昇しました。


ダウは先週1週間で105ポイント、もしくは0.45%上昇。ザラ場(取引時間中)と終値の最高値を更新しました。S&P500は0.26%高、ナスダックは0.94%上昇しました。いずれも過去最高値で取引を終えました。


強い決算を発表したボーイング、ヒューレット・パッカード、マスターカードが高く、株価指数を押し上げました。iPhone Xの好調を受け強気の業績見通しを示したアップルが買われ、上場来高値を更新しました。


大幅に上昇した銘柄が上値を追う展開が目立ちました。ウォール街では、大幅高の銘柄の利益確定売りが1月に増えることを「January Effect(1月効果)」と呼びます。バロンズの最新号は、今年は利食い売りが少し早く、12月中旬に増えそうだとの見方があると伝えました。


来月中旬は、議会の税制改革をめぐる協議がヤマ場を迎える時期。同時に、12月12日と13日にFRBが今年最後の金融政策を決める会合(FOMC)を開きます。利上げすると予想されていますが、その後の見通しは見方が分かれています。モルガンスタンレー・インベストメント・マネジメントのストラテジストは、「誰もが休暇入りする頃に、株価の基調が変わる可能性がある」とバロンズにコメントしました。


「決算と税制」


今週のアメリカの経済指標の発表は薄めです。大手企業の決算と税制改革をめぐる動きが引き続き材料になりそうです。


ノードストローム、メイシーズ、そしてJCペニーなどデパートもしくは小売大手は今週、四半期決算の発表を予定しています。ブロードコムによる1000億米ドル規模のクアルコム買収の動きも投資家心理に影響する可能性があります。週末には、通信3位のTモバイルと4位のスプリントの統合交渉が正式に中止されたと伝えられました。


税制改革に関しては、下院共和党のブラディ議員が、独自の案を早ければ6日にも発表する見通しです。下院共和党のライアン議長がまとめた税制改革案に関しては、早くも大幅な修正案が出始めています。税制改革をめぐる議論が活発化しそうです。


6日月曜日、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が講演を予定しています。ウォールストリートジャーナルは、ダドリー総裁は任期より半年早く来年に引退する意向だと伝えました。パウエル理事がFRBの次期議長に指名されたばかりですが、理事ポストの空席が多く、重要ポストのニューヨーク連銀の後任問題が新たな憶測を呼びそうです。


サウジアラビア政府は5日までに、サウド家の王子11人のほか、現職の閣僚4人を含む数十人の身柄を拘束しました。アメリカの大手企業に幅広く投資しているワリード・ビン・タラール王子も汚職容疑で逮捕されました。ニューヨーク株式市場全体、特に週初めの取引に影響する可能性があります。


「内憂外患」


アメリカのトランプ大統領がアジア歴訪中。最大の焦点である北朝鮮問題の行方が注目を集めています。日米首脳会談でサプライズはないとみられますが、8日の韓国国会での演説と9日の米中首脳会談が特に注目されています。北朝鮮が新たな軍事的挑発に動くことも警戒されていて、緊張が高まる可能性があります。トランプ大統領は、中国に続いてベトナムで開かれるAPEC首脳会議に出席しますが、この機会にロシアのプーチン大統領と会談する予定です。トランプ大統領にとって北朝鮮問題で難しい舵取りを迫られる可能性があります。


留守中のアメリカ国内では、ロシア疑惑が新たな展開をみせそうです。NBCニュースは週末、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官が、ホワイトハウスの元安全保障担当補佐官のフリン氏を起訴する十分な証拠を集めたと報じました。


ロシア疑惑をめぐっては、元選対本部長のマナフォート氏と元パートナー、さらに外交顧問のパパドポロス氏が先週起訴されました。ロシア疑惑で訴追されるトランプ大統領の関係者が今後大幅に増えるとみられています。北朝鮮問題を抱えるトランプ大統領が国内問題でも頭を悩ませていると想像します。


ワシントンポストとABCの最新の世論調査で、トランプ大統領の支持率が37%に低下しました。就任後9カ月時点の支持率としては、1953年のアイゼンハワー大統領以降の調査で断トツの最下位。不支持率は59%で最高水準です。


トランプ大統領が抱える内憂外患は、トランプ政権の経済政策に期待する投資家の懸念でもあります。


[November 06, 2017 NY 073] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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