週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2017/10/23 09:04株価を押し上げるもの

「最高値」


「悪夢になる可能性があった」。先週のニューヨーク株式相場をバロンズがこう表現しました。


ダウは先週、前週比で456ポイント、もしくは2%上昇しました。S&P500は0.9%高。ナスダックは0.4%上昇しました。


先週19日木曜日は、ニューヨーク株式相場が22%安と暴落した1987年の「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」から30周年でした。投資家が警戒、ダウは一時100ポイント超下げました。ただ、終盤の取引で買い戻され、小幅高に転じました。最高値を更新しました。


20日金曜日には、ダウ構成銘柄のGEが一時6.3%安と急落しました。四半期決算の際に発表した通期の業績見通しがアナリストの予想を下回ったことが影響しました。しかし、後半に急速に買い戻され、1.1%高で取引を終えました。ブラウン・ブラザーズのストラテジストは「buy the dip(押し目買い)」だとバロンズにコメントしました。


下がった機会に買う。いわゆる押し目買いは、いずれ業績が回復する、もしくは株価が反発すると考える際にとる投資手法です。バロンズによりますと、これまでに四半期決算を発表した88社のうち、70%以上がアナリスト予想を上回りました。ニューヨークに上場している企業の歴史的平均は59%。それを上回るペース。業績がいかに強いかを示しています。


「決算ピーク」


ニューヨーク株式マーケットは、来週決算発表のピークを迎えます。


月曜日は製紙大手キンバリー・クラーク、火曜日はGM、マクドナルド、3M、ユナイテッド・テクノロジーズが四半期決算を発表します。水曜日は、ボーイング、コカコーラ、ビザなどが決算を予定しているほか、ナイキがアナリスト・ミーティングを開きます。木曜日も決算が続きます。グーグルの親会社アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、インテルが決算を発表。金曜日は、シェブロン、メルク、コルゲート・パルモリブなどの有力企業が四半期決算を予定しています。


経済指標では、27日のアメリカのGDP速報値と個人消費、コアPCEなどが材料になる可能性があります。


「税制改革とFRB議長人事」


S&P500が3%を超す下落がないまま上昇基調が続く期間が、歴史的な長さになっています。1995年1月26日から1996年1月9日まで241取引日続いたブル(強気)相場に並びました。今週以降、記録を更新していくことになります。ダウ、S&P500、ナスダックがいずれも先週末、過去最高値を更新しました。記録づくしの上昇相場です。


株価を押し上げているのは、税制改革への期待、それにFRB次期議長人事をめぐる観測があるとされています。


FRB議長人事については5人の候補がいましたが、パウエル理事とスタンフォード大学のテーラー教授の2人が最有力とみられています。トランプ大統領の発言から、イエレン議長の再任の可能性もあるとされています。


トランプ大統領は早ければ今週にもFRB次期議長を指名する可能性があります。イエレン議長かパウエル議長であれば、金融緩和が長期間継続される可能性が高く、株価を下支えすると予想されていました。これがウォール街のメインシナリオです。


反面、「テーラールール」で知られるテーラー教授がFRBの緩和政策を批判していることから、テーラー議長が誕生した場合、利上げペースを速める可能性があり、株価にネガティブに影響するとみられています。


税制改革については、上院が先週、2018会計年度の予算決議案を可決したことで年内成立の可能性が広がりました。ただ、ホワイトハウスが示したフレームワークの多くに野党が慎重な見方を示しているほか、与党の共和党内の意見にばらつきがあります。意見調整がクリスマス中、年末ギリギリまで続く可能性があります。


ポリティコは、議会共和党が最も恐れているのは、トランプ大統領が介入することだと伝えました。医療保険制度改革(オバマケア)の代替案のように混乱する懸念があるとしています。


例えば、批判が強い高額所得層の所得税率を維持、もしくは引き上げる方向に議会が動いた場合、トランプ大統領が阻止するために動く可能性があります。税制改革を言い出したトランプ大統領自身が最大のリスクだとの見方です。


FRBの人事、そして税制改革の行方が、ニューヨーク株式相場の記録の鍵となっています。いずれもトランプ大統領の動き次第です。


[October 23, 2017 NY 071] 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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