週刊2分でわかるNYダウ

NYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

2017/09/04 08:45危ない9月、そして10月

「ハービー」

アメリカ南部を襲ったハリケーン「ハービー」。経済的被害が日本円に換算して10兆円を大幅に超えるとの見方があります。

アメリカのエネルギーの重要拠点のヒューストンで甚大な被害が出ていて、原油、石油、ガソリン価格などに影響が出始めています。50万台を超すクルマが水没、今も浸水したままの住宅が多く、保険会社への請求が莫大になることが予想されます。

朝鮮半島の緊張や政府債務の上限引き上げ問題などへの懸念で、先週のニューヨーク株式相場は軟調に推移していました。しかし、後半に買い戻され、高く取引を終えました。

ダウは一時2万2000ドルに乗せました。終値では大台を小幅下回りましたが、週間ベースで173ドル(0.80%)上昇しました。S&P500は1.37%高、FANGに代表されるIT関連株が買われ、ナスダックは2.71%上昇しました。

月間ベースでは、ダウは0.3%高でした。S&P500は0.1%高、ナスダックは1.3%上昇しました。

意外ですが、ハリケーン「ハービー」は株式相場にポジティブに影響しました。経済的な被害より、ワシントンの緊張をやや緩和させたと受けとめられました。ホワイトハウスと議会、議会内では共和党と民主党の対立が強まっていて、債務上限引き上げや新年度予算の行方が不透明になっていました。しかし、テキサスなどの被災地の復旧のため、ホワイトハウスと議会が一致団結する可能性があるとの見方が広がりました。

「債務上限引き上げ問題」

9月4日月曜日。アメリカはレーバーデー。日本の勤労感謝の日に相当する連邦祝日で、ニューヨーク株式マーケットは休場です。

レーバーデーがあけると、連邦議会が再開、政治の季節になります。投資家が最も注目するのは、連邦債務の上限引き上げ問題。9月29日に上限に達するとされていましたが、ハリケーン「ハービー」の被害者救援、復旧対策への費用がかさみ、「Xデー」が数日早まる可能性があるとムニューシン財務長官が指摘しました。

債務上限引き上げに失敗、もしくは採決が10月までずれこんだ場合、政府機関の一部が閉鎖を余儀なくされることになります。トランプ大統領は、公約しているメキシコとの国境の壁の費用を捻出するために、政府閉鎖も辞さないとしています。メキシコとの壁には議会の反対が多い。

さらにトランプ大統領は5日に、オバマ前大統領の移民政策を転換し、推定80万人の不法移民の子供に滞在許可を与えるDACAというプログラムを廃止する方針を発表する見通し。ビジネス界が強く反発、与党の共和党内でも反対する議員が少なくありません。ホワイトハウスと議会の対立が、再び深刻化する可能性があります。債務上限の引き上げをめぐる審議への影響が懸念されます。

今週発表されるアメリカの経済指標は軽め。主要企業の決算発表もほとんどありません。政治が今週のニューヨーク株式相場の最大の材料です。

北朝鮮が3日に核実験を実施したことで、朝鮮半島の緊張が高まっています。トランプ大統領の発言、北朝鮮の新たな動き次第では、ニューヨーク株式マーケットの投資家心理に影響することも予想されます。

「ブル相場はいつ終わるか」

ニューヨーク株式マーケットのブル(強気)相場が8年続いています。5%を超す調整がないまま、上昇基調を維持しています。

いつかは終わる。ウォール街関係者が週末に目を通すバロンズの最新号の表紙、巻頭記事は、「今のブル相場がどのように終わるか」でした。いつ急落してもおかしくない。低インフレの中でFRBが追加利上げする可能性があり、住宅市場では減速の兆候がみられ、消費者の預金額が金融危機後の最低水準に低下するなど、ネガティブな材料が少なくないとしています。

バロンズは別の記事で、「9月ほど株式投資を見直す時期はない」と伝えました。夏休みから投資家が戻り、売買高が増える9月は、過去100年で株価が崩れたことが少なくないとしています。ダウの過去100年の9月平均は1.1%下落しています。相場をけん引してきたFANGへの投資が膨らみすぎていることなども懸念材料。翌10月は歴史的に株価急落が多い月。ワシントンの混乱も手伝い、9月相場への警戒感が強まっています。


[September 04, 2017 NY 065] 

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2018/12/10 10:32パニック気味のマーケット「ダウ、4.5%下落」マーケットがパニックになった。バロンズは先週のニューヨーク株式相場の展開をこう表現しました。G20首脳会議、米中首脳会談の結果を受け、先週…
  • 2018/12/03 11:06米中ひとまず休戦、どう影響するか「7年ぶりの週間上昇率」ニューヨーク株式相場は先週、強い展開でした。ダウは週間ベースで1252ポイント(5.16%)上昇しました。S&P500は4.85%高、ナ…
  • 2018/11/26 09:44不安定相場続く、2019年は?「ダウ4.4%安」サンクスギビングデー(感謝祭)を挟んだ先週のニューヨーク株式相場は大きく下げました。感謝祭の週に下落したのは2011年以来のことです。ダウは前…
  • 2018/11/19 10:27ブル相場の終わり見えた?「FAANG軟調」 週間ベースのニューヨーク株式相場は2週連続で上昇した後、先週再び崩れました。 ダウは1週間で576ポイント、率にして2.…
  • 2018/11/12 09:57米株方向決める材料「民主党の勝利」ニューヨーク株式マーケットは、中間選挙の結果をポジティブに受け止めました。ひとまずは。ダウは先週1週間で718ポイント(2.84%)上昇しました…

「週刊2分でわかるNYダウ」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ