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2017/05/29 09:33悪材料を無視するNY株式市場

「3週ぶりに上昇」

ニューヨーク株式相場が、週間ベースで3週ぶりに上昇しました。好材料が少ない一方、悪材料が相次いだにもかかわらず。
先週ダウは1.32%上昇しました。S&P500は1.43%高、テクノロジー株の比率が高いナスダックは2.08%上昇し、それぞれ最高値を更新しました。

22人が死亡したイギリス・マンチェスターのテロ事件、ムーディーズによる28年ぶりの中国格下げ、米国でのロシア疑惑捜査について「十分根拠がある」とするCIA前長官の議会証言は、いずれも株式の売り材料とされています。さらに、FRB会合の議事録では、追加利上げとバランスシート縮小の方向を議論したことが明らかになりました。通常であればこれも売り材料です。

投資情報誌のバロンズは、「今年何度も見てきたように、マーケットを動かすニュースを無視した」と解説しました。

トランプ大統領が堕ちても、類似した経済政策が予想される共和党のマイク・ペンス副大統領が昇格する。上下両院は共和党が過半数を占めている。法人税の大幅な引き下げを含めた税制改正への期待が株式相場を支えていると指摘されています。「株式相場が上に行きたがっている」との声も。

「雇用統計」

今週のニューヨーク株式市場の取引は4日のみ。29日が「メモリアルデー」のため、休場になります。

材料は豊富です。特に、重要な経済指標の発表が相次ぎます。

最も注目される材料は2日金曜日発表のアメリカの5月の雇用統計。賃金の伸びにも注目が集まっています。前日1日のISM製造業景気指数、ADPの全米雇用報告、そして5月の新車販売台数も材料視されています。

さらに、FRBが重視している30日発表のPCE(個人消費支出)デフレーターも材料になりそうです。31日には、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が韓国中銀の国際会議で講演するほか、ダラス地区連銀のカプラン総裁がニューヨークで発言する機会があります。

バロンズは、「相場を動かすことが多い雇用統計が弱い場合でも、株式相場が崩れることは予想しない方がいい」と伝えました。このところ、やや弱めの経済指標が発表されても、株価にほとんど影響していません。

先週木曜日は今年100日目の取引日でした。100日間でS&P500が7.9%上昇しました。バロンズによりますと、S&P500が最初の100日で少なくとも7.5%上昇した場合、年間ベースで株安になった例は1950年以降で一度もないそうです。

「ロシア疑惑」

トランプ大統領が28日、9日間の外遊から戻りました。留守中、アメリカ国内では、トランプ政権の「ロシア疑惑」が一段と深まりました。

震源地はワシントンポストとニューヨークタイムズ。ウォーターゲート事件をスクープし、ニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントンポストと、去年の大統領選前からトランプ批判を続けるニューヨークタイムズが競うようにスクープを連発しています。CNNとMSNBCの2つのニュースチャンネルが続く展開です。保守系のウォールストリートジャーナルとフォックスニュースはロシア疑惑に関しては後追い報道になっています。

ワシントンポストは26日、トランプ大統領の長女イバンカさんの夫ジャレット・クシュナー氏が去年12月、ロシアのキスリャク駐米大使と会談した際、トランプ政権とロシア政府との間に秘密の通信回線を設けることを提案したと報じました。クシュナー氏はトランプ氏の側近中の側近。FBIの捜査対象になっていることが明らかになっています。ケリー国土安全保障長官が「秘密回線の提案はいいことだ」と擁護したとも28日に伝えました。

一方、ニューヨークタイムズは28日、ホワイトハウスが大統領のアイオア行きをキャンセル、スキャンダルの対応に本格的に取り組むと報じました。弁護士チームを増員、同時に広報担当などを入れ替え、家族全体に及んだ疑惑への壁を構築しているとしています。ホワイトハウスの大幅な人事が今週発表される可能性があります。

今週のニューヨーク株式マーケットは引き続き「ロシア疑惑」の影響を受けるとみられています。
 
 [May 29, 2017 NY 051] 

NOTE

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Market Editors
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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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