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2017/03/27 10:11試される「トランプラリー」

「下げは限定的」

オバマケアと呼ばれるアメリカの医療保険制度改革を見直した「トランプケア」法案の行方が、先週のニューヨーク株式相場に影響しました。

オバマケアの改廃はトランプ大統領の最大の公約の一つ。成立しなければ、「税制改正」や「大型インフラ投資」の実現も難しくなる。投資家の不安が相場に影響しました。

フタを開けてみると、野党の民主党だけではなく、味方のはずだった共和党の一部も反対しました。下院のライアン議長が、成立は困難と判断し採決を停止、法案を取り下げました。「トランプケア」が実現しないことが決まりました。

24日のニューヨーク株式相場は速報を受け乱高下。結局、下げて取引を終えました。ただ、下落率は小幅でした。週半ばに大きく売り込まれた影響で、ダウの週間ベースの下落率は1.52%。S&P500が1.44%安、ナスダックは1.22%下げました。

S&P500採用銘柄で先週最も下落したのはマーティン・マリエッタ・マテリアルズ。インフラ投資の恩恵を大きく受ける企業で、いわゆる「トランプ銘柄」です。

「試される相場」

「トランプケア」の失敗を受け、トランプ大統領と与党の共和党が次の狙いである税制改革を計画の8月までに実行できるか。マーケットが大きく期待する政策。今週の株式マーケットの関心がこの問題に移りそうです。

トランプ大統領と密接に連携していた下院のライアン議長は指導力を問われています。辞任を求める声も出ています。一枚岩ではないことが表面化した共和党が税制改正に向けまとまるかどうか。ホワイハウスの政策実行能力にも懐疑的な見方が強まり、見通しは予断を許しません。時間がかかりそうです。

ダウジョーンズ傘下のマーケットウォッチは、「アメリカ第一主義」を掲げたトランプ大統領への期待感であふれていた株式マーケットの勢いが続くどうかが試される重要な1週間になるとの見通しを伝えました。

バロンズは、トランプ政権の失敗の影響は短期で終わる可能性があるとの指摘もあると解説しました。ブル(強気)派がまだ諦めていない。しかし、積極的には買えない。ストラテジック・リサーチ・パートナーズの幹部は、「2、3日は下げるだろうが、強気だ」とバロンズにコメントしました。

「オバマはどこに」

フランスの首都パリの中心部で、「フランス大統領にバラク・オバマを」というポスターが貼られたそうです。フランスをはじめヨーロッパでは反トランプ機運が高まっていますが、オバマ前大統領への敬意をあらためて表したものです。トランプ大統領とイメージが重なる極右のルペン氏をけん制したものでもあります。

オバマ前大統領はいま何をしているのか。最大の成果と自負している「オバマケア」の代替案が不成立になったことをどう考えているのか。

ワシントンポストは、「退任後2カ月のオバマ大統領は歴代の大統領の誰とも違う」と報じました。リゾート地でビーチを楽しんだり、ミュージカルを鑑賞したりして「自由を満喫」しているとしています。まだ若いだけではなく、夫妻ともども異例ともいえる人気があるだけに注目が集まるが、公の場に姿をほとんど見せていないと伝えました。パパラッチからうまく逃げていると。

オバマ前大統領は、娘の学校の都合で退任後もワシントンに残ることを決めました。市内に新しい事務所を開きました。初めてのカクテルパーティがあまりにもカジュアルでスタッフが驚いたそうです。前大統領は家族との時間を優先することを理由にディナーを欠席しました。

来年の11月、下院の全議席と上院の3分の1の議席が改選される中間選挙があります。州知事選挙も同時に実施されます。現在は連邦議会の上下両院とも共和党が過半数を持っていますが、中間選挙ではそれまでの「仕事」が評価されることになります。去年の大統領選と議会選の両方で敗北した民主党が巻き返す機会になります。歴代大統領の誰とも違うオバマ前大統領の今後の動きが、中間選挙の鍵を握る可能性があると個人的に思います。

 
[March 27, 2017 NY 042] 

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Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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