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2016/11/14 15:25トランプ相場の次の展開

「5年ぶりの上昇率」

世論の動向を大きく変える人物や出来事を「ゲーム・チェンジャー」と言います。アメリカの大統領選はまさにそれでした。

トランプ氏が勝利したら株式相場が急落、パニックになるかもしれない。選挙前、ウォール街の多くのアナリスト、ストラテジストがそう予想しました。しかし、実際には逆でした。ニューヨーク株式市場の代表的な指標の一つ、ダウの週間ベースの上昇率は、2011年以来最大でした。

選挙後のトランプ氏の勝利演説が非常に紳士的。過激さがない。全米の道路、橋、病院、空港に投資するとの発言にウォール街関係者が驚きました。クリントン氏は潔く敗北を認め、「トランプ氏は大統領の資格がない」と批判していたオバマ大統領が、政権移行をフルサポートすると「大人の対応」をしました。安定して政権移行が進むとの期待感が高まりました。

大統領選と同時に実施された議会選挙では、共和党が上下両院で過半数の議席を確保しました。共和党の完全勝利。ライアン下院議長とマコーネル上院院内総務がトランプ次期大統領を称賛しました。 減税や公共投資の法律がスムーズに成立することを連想させました。

ウォール街もメディアも世論調査も完全に読み誤った。主要紙は「共和党が分裂」と解説していましたが、いまは「民主党が分裂している」と伝えています。ニューヨーク株式市場は、アジア市場と異なりトランプ勝利を歓迎、素早い切り替えを見せました。
ダウは先週、959ドル(5.4%)上昇し、過去最高値の1万8847ドルで取引を終えました。S&P500は3.8%、ナスダックも3.8%上昇しました。大商いでした。

セクター別では、金融株、鉄鋼株、石油施設関連、バイオ関連株などが大幅に上昇しました。その反面、大手テクノロジー株と金利に敏感な公共株が軟調でした。後者は、選挙前に堅調だった株。上昇セクターと下落セクターが逆転しました。

一方、債券市場では米国債が売られ、利回りが急上昇しました。10年債の利回りは2.2%まで上昇しました。BofAメリルリンチは「大統領選がゲーム・チェンジャーになった」と顧客にコメントしました。

「トランプ・ラリー続くか」

第3四半期(7−9月)の決算がほぼ出そろい、今週は主要企業の決算がほとんどありません。経済指標では、15日発表の小売売上高が注目です。アメリカでは年末商戦が始まりつつあります。

今週は、FRB幹部の発言が目白押しです。イエレン議長が議会で証言するほか、フィッシャー副議長やニューヨーク連銀のダドリー総裁ら10人以上のFRB幹部が講演などを予定しています。大統領選後もFRBが12月に利上げするとのエコノミストの見方に変わりはありません。12月以降の金融政策を占う上でFRB幹部らの発言が注目を集めています。

ただ、今週の株式相場に最も影響するのは、依然としてトランプ次期大統領の動向だと指摘されています。大統領首席補佐官には、共和党前全国委員長のプリーバス氏が指名される方向です。共和党の主流派と良好な関係を持つことで知られています。経済顧問や財務長官などの人事も相場に影響しそうです。

トランプ・ラリー(大幅な上昇)が続くかどうかについては、見方に強弱感があります。ただ、しばらくは堅調に推移するとの見方がやや多い印象です。

JPモルガンのストラテジストは、大統領と議会の選挙で共和党が完勝したことを受け、株式相場に関する従来の弱気な見方を強気に転換しました。「いまの水準からもう少し高いところに行きそうだ」とCNBCにコメントしました。S&P500は2164pで先週の取引を終えましたが、来年初めまでに2300p近辺に上昇すると予想しました。

Barron’sは最新号の巻頭記事で、「まだ上昇する余地がある」とするハンブロ・キャピタル・マネジメントのファンド・マネジャーの見方を紹介しました。他のファンド・マネジャーも株高を予想しました。ただ、「トランプ氏の性格リスク」の指摘が一部でありました。
 
 [November 14, 2016 NY 024] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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