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2016/11/07 16:24予想不能の大統領選に揺れる

「下げ相場」

アメリカの大統領選が11月8日火曜日に実施されます。予想以上の接戦となり、ウォール街が神経質になっています。

民主党候補のヒラリー・クリントン氏のメール問題に絡むFBIの再捜査が表面化した10月28日以降、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利する可能性があるとみた投資家が、積極的な買いを控えました。株式を売却して現金や短期の米国債にする動きも目立ったと指摘されています。

Barron’sによりますと、先週までに発表されたS&P500に組み入れられた企業の中で、決算が予想を上回った企業が71%ありました。第3四半期(7−9月)の一株あたり利益は2.7%増。四半期ベースで増益となったのは2015年3月以来です。本来なら、株高につながる材料ですが、相場が上げに転じることはありませんでした。

先週はさらに、FRBが政策金利を据え置き、強い雇用統計が発表されましたが、株価への影響は限定的でした。大統領選を巡る思惑だけが相場を動かしたと言っても過言ではないかもしれません。

ダウは先週、273ドル(1.50%)下落し、1万7888ドルで取引を終えました。S&P500は1.9%の下落。9日連続で下落しました。S&P500がこれほど長く続落したのは約36年ぶりのことです。投資家が、いかに大統領選を不安視しているかがわかります。恐怖指数であるVIXは先週、40%上昇しました。テクノロジー株の下げが大きくナスダックの下落率は2.77%と大幅でした。

「選挙後の相場」

今年6月に実施されたイギリスの国民投票は、大方の予想に反しEU離脱支持が過半数を占めました。大きなサプライズとなり、世界のマーケットが混乱しました。その記憶が新しく、大統領選に対する警戒感が強まっています。選挙前と選挙日8日当日は様子見、選挙の結果とその後の反応を受けた9日以降は、売買高が膨らむことが予想されています。

The Wall Street JournalとNBCが共同で実施した選挙前の最後の世論調査では、クリントン氏が44%に対し、トランプ氏は40%でした。一方、The Washington PostとABCが共同で分析した世論調査のトラッキング・データでは、クリントン氏がトランプ氏に5ポイントの差をつけリードしました。クリントン氏がリードを保った形ですが、いずれのメディアも事実上の「同点」と解説しました。

Barron’sの最新号は、「トランプ勝利」というサプライズがあった場合の見通しをまとめた記事を掲載しました。

JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジストは、アジア市場とヨーロッパ市場から続く株安が、ニューヨーク市場にも連鎖するとみています。ニューヨークの下落率が最も大きいと予想しています。アジアでの売上高が大きい大型株を中心に売られるだろうとしています。

そして、BMOの投資責任者は、トランプ氏勝利の場合、ニューヨーク株式相場が5%から10%程度下落すると予想しました。特に、GE、キャタピラー、モンサントなどの大手企業、そしてアップル、マイクロソフト、インテルなどのテクノロジー企業が大幅に下落するだろうとしています。

一方、「レーガノミクスの父」と呼ばれるエコノミストのデビッド・ストックマン氏はCNBCに出演、大統領選で誰が勝利しても株式相場が25%下落すると警告しました。さらに、「ブラック・スワン」の著者であるナシム・タレブ氏は、大統領選後の変動に備える必要があるとしながらも、「大統領選はブラック・スワンにならない」との見方をCNBCにコメントしました。タレブ氏は、予測不能の、非常に強い衝撃を与える危機を「ブラック・スワン」と呼んでいます。

選挙後のマーケットの見方に強弱感があります。様々な展開が想定され、予想が難しいことが影響していると思います。それだけに、警戒感が強いです。
 
[November 07, 2016 NY 023] 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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