岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/10/31 16:45今週の焦点はドル高基調の維持

日経225 現物指数 終値17446.41円(10月28日)
安値17162.21円(10月24日)/高値17461.03円(10月28日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~10/28)
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 2週続けて、週初(月曜日)に週間安値、週末(金曜日)に週間高値を付ける1週間になりました。まだ10月相場は1日残していますが、10月相場の月間上昇幅はほぼ1000円。前の週に3カ月続いた保ち合いを上方ブレイクした日経225・・・まだ上値を試しています。

 週初24日(月)は、慣れない17000円超の水準から始まっていることもあり、半信半疑といった雰囲気。膠着感が満載で、日経225の日中値幅は100円にとどまりました。それでも上げ幅を広げたのは後場。このパターンは日銀ETF買い流入を思わせるわけですが、実際707億円のETF買いが入っていました(前場のTOPIXの下落率は0.16%)。この日の東証1部の売買代金は1兆5658億円。今年2番目の薄商いのなか、日銀ETF買いの需給インパクトがいつも以上に強めに出たといえます。

 25日(火)は、日経225先物が朝から17300円台でスタート。前の日の米国市場では、トランプリスク後退を引き続き織り込む流れから、VIX指数が一時13割れ(ボラティリティが低下)。外部環境からリスクオン地合いだったうえ、前の日に決算発表した日本電産が力強い動きだったこともムードを高めたといえます。そのなかでこの日に関しては、市場の関心が東証1部に上場したJR九州に集中。東証1部の売買代金が今月では一番多い2兆1160億円となりましたが、そのうち2736億円がJR九州1社分でした。

26日(水)はやや一服感が漂うも、この日も午後に入ると強含む展開へ。この日の前場のTOPIXの下落率は0.06%で、これまで一番小さい下落率で日銀が買った「0.12%」を下回る微妙な水準。それでも午後の堅調さを見て、日銀ETF買い発動を意識した参加者も多かったといえます。実際にこの日も707億円買いを実施していたと発表。「今月は僅かでも下げていたら買うというルールではないか」との意識を芽生えさせました。

 ただ、結論から言えば、翌27日(木)は日銀のETF買いが入らず。この日の前場のTOPIXの下落率は0.01%。「僅かでも下げていたら買う」という発動ルールは否定され、今のところ最小で買った下落率は「0.06%」ということになっています。この僅か5ベーシスポイントに何の違いがあるのかは不明ですが・・・。この日の警戒材料としてカウントされていたのが、ドイツ銀行の16年7-9月期(3Q)決算発表でした。市場予想は税引き前利益で5.5億ユーロの赤字(前年同期は61億ユーロの黒字)。このドイツ銀行の決算が日本時間の14時20分頃に明らかに。ヘッドラインに2.5億ユーロの黒字と流れると、日本のメガバンクに買いが入り、日経225もショートカバー優勢の展開に。TOPIX先物もプラスに転じました。

 週末28日は、前日にドル円が3カ月ぶりの105円台に乗せていたことを好感。英第3四半期GDPが市場予想を上回る強い数字だったことを受け、英長期金利が上昇。これが独長期金利の上昇、米国の長期金利上昇と連鎖していきます。米国の長期金利は一時5カ月ぶりの1.87%に。一方で、日本は長期金利が政策で制御されていますので、名目金利上ではありますが金利差が円安理由になります。日経225は週間高値を上回ってスタートすると、その後も高値圏でしっかりと展開。結局、週末が週間の高値。TOPIX先物が怒涛の11連騰となったことから、改めて「外国人買い」を意識させられた格好といえます。

なお、この日の東証1部の売買代金は3兆1330億円と、日銀会合でETF買入れ額増額が決まった7月29日以来、3カ月ぶりの大商いでした。この大商いの理由は、TOPIXリバランスが大引けで行われたため。TOPIXウエイト低下でソフトバンクGや三菱UFJなどが売られ、ウエイト上昇でNTTなどが買われるといった需給イベントです。事前に買われる銘柄を買っておいて、引けで売るイベントドリブンの投機筋の注文に、実際のリバランスを行う年金など機関投資家の注文がぶつかります。この日の大引け(15時00分)だけで売買代金は9403億円にのぼりました(完全に特殊要因で3兆円超えしただけ)。


 (今週の見通し)

「このまま年末まで上がるんじゃないか」そんな声が市場参加者の中から出始めています。なぜかといえば、「日経225が誰もが思ってなかった上げ方をしたから」です。10月に入り、先週末にかけて日経225はほぼ1000円の上昇。株価が上がったことでセンチメントが上向く(先高期待が強まる)、というのはよくあることです(上がった後で買いサインが出るテクニカル市場が多いのと同じ)。

 下期に入った10月は、アセットアロケーションを変更するような動きが広がったことが想像されます。その最たる例がドルです。先週、ドルの総合的な価値を見るドル指数(ドルインデックス)が節目の99台に乗せるまで上昇。これは、2月以来8カ月半ぶりの高値水準で、最近のドル全面高の動きのスピード感を如実に示しています。
ドル円も約1カ月にわたって右肩上がりとなっているわけですが、ドル高の理由としては①強い米マクロ指標による利上げ観測の高まり(先週末時点でのCMEのFedWatch Toolの12月利上げ確率は73.9%)、②トランプリスクの後退、③ECBのテーパリング観測否定(QE延長期待)によるユーロ売り、④Brexitを巡るポンド売り―などが挙げられます。

 今週の焦点は、まずはこのドル高の基調が維持されるか?になりそうです。前述の理由のどれかに綻びが生じる可能性はないか?この辺りを見極める必要がありそうです。年末の利上げ観測については、これを理由にした投機筋のポジションが構築されたのであれば、そろそろアンワインド(巻き戻し)が入ってもおかしくないタイミングといえます。また、トランプリスクの後退については、(それでなくても大統領選挙が迫るなか)民主党候補のヒラリー・クリントン氏に対し、国務長官時代の私用メール問題がまた蒸し返されています。先週末、FBIが打ち切っていた捜査を再開したとメディアが一斉報道。条件反射的にドル円は下げましたが、どの程度の支持率低下につながるものか、(そこまで市場が大きく反応していないことに)あまり楽観せずに身構えておく必要もあると思われます。QE延長期待でのユーロ売りについても、欧州のマクロ指標は良好であることを考えれば前のめり過ぎる反応にも感じます。

 その意味では、米国で1日にISM製造業指数、2日にADP雇用リポート、週末4日に雇用統計と重要指標の発表が多く控える点で様子見ムードを強めやすいでしょう。日銀会合が31日~1日、FOMCが1日~2日にあります。クリントン氏の私用メール問題の浮上は、直近利益が出たロングバイアスをかけているヘッジファンドにとっては、絶好の売りの口実になるかもしれません。仮に押し目を作ったとしても・・・基本的に「下げると買いたい(=逆張り)」スタンスの投資家が多い個人投資家など国内勢ではありますが、さすがに17000円オーバーの水準で生じた押し目を拾いたい投資家はまだ少ないでしょう。下げて買う最大主体は、引き続き日銀(ETF買い)。4月高値の17630円は上値抵抗になるとの見方から、今週の想定レンジは17100円~17500円とします。今後1カ月のレンジは、前週より上限下限を100円ずつ引き上げ、16600円~17700円程度を想定しています。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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