岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/10/24 14:44レンジブレイクによる”変化”

日経225 現物指数 終値17184.59円(10月21日)
安値16821.49円(10月17日)/高値17288.89円(10月21日)


(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~10/21)
 
(出所:Bloomberg)


(先週の振り返り)

 17000円を付けると跳ね返される一方、下値も限られる・・・この繰り返しだった日経225がついに保ち合いを放れました。放れた方向は「上」。3カ月のレンジ相場から抜け出したように見える日経225・・・その過程から振り返ります。

 週前半は、閑散モードそのもの。ドル円が104円乗せで上値を重くしたこともあり、日経225先物も17000円手前で上値の重い展開を続けました。トレードイベントを控えることもあり、人通りの少ない東京市場。現物市場でいえば、17日~19日まで売買代金は2兆円どころか1.8兆円にも届きません。前週発表された予想外の貿易収支悪化もあり、19日は中国の7-9月GDP発表には関心が見られました。この指標が市場予想通りだったこともあり、19日にようやく、日中高値で10月11日以来の17000円台にタッチする場面もありました。

 動きが起きたのは、米大統領選挙の第3回テレビ討論会があった20日(木)。11月8日(米時間)の投票前では最後の直接対決ということで、注目イベントとはいえました。ただ、後が無くなったトランプ氏にとってのラストチャンスという意味で注目というよりは、東京時間の10時から始まるため、世界で最も早く結果を反映できる市場が東京市場になってしまうという意味で注目でした。

 そもそも、市場は各種報道通りで、クリントン氏勝利を確信したように動いてきました。アイルランドでは、討論会前日にして(投票を待たず)、クリントン勝利に賭けた利用者への賞金支払いをするブックメーカーまで出てくる状況。前日にはゴールドマン・サックスが「クリントン候補が勝ちそう」とレポートで指摘してもいました。

 午前10時の討論会開始まで様子見ムードを広げるかと思われた日経225ですが、開始前から17000円を超えると上げ幅を広げていきます。そして、ディベートが始まるとその勢いを強め、9月高値も突破。クリントン優位の大勢に影響なしと判断したのか、大引けまで上昇基調を強め、20日は日経225、TOPIXともに高値引けしてしまいます。市場参加者からは「よくわからない上げ」との声が聞かれましたが、やはり3カ月続いたレンジの上限を抜けたことで、相当な買い戻しを誘発したものと想像できます。レンジ相場を想定し、
17000円より上は225先物をショートで入る投資家も多かったと見られるし、不可解な上げは続かないと考えてショートで入る投資家も多かったとみられます。そうした弱気派のポジションがレンジブレイクでひっくり返された・・・とくに、ドル円が103円台で17000円台を超えたことの恐怖(104円台中盤といった水準まで円安に振れたら、日経225はいくらになるんだろう?という不安)もあったと思われます。

 こういった相場になると、流動性が高いものから買われます(買い戻されます)。一番は日経225先物だし、結果的に裁定買いが入ることで値がさ大型株が強くなります。まさにそういった展開でした。ただ、結局は強い動きを見せたのは20日(木)のみ。ECB理事会は政策据え置きで、ドラギ総裁も会見で事前のテーパリング観測を否定。翌21日(金)は高値更新で始まるも、連騰を続けた週の週末ということで利食い売り優勢。反落で終えましたが、それでも17000円台はキープして終えています。レンジは移行したのでしょうか?


 (今週の見通し)

 レンジをブレイクし、少し見慣れない値段からの取引が求められる日経225。少なからずそういった思いを抱いているプレーヤーがいるとみられ、結果的に週前半は様子見ムードが強まるかもしれませんね。

 そもそも、3カ月程度続いたレンジを、なぜ先週ブレイクすることができたのか・・・これがわかるようでわからない部分でもあります。後講釈するなら理由は挙げられます。原油価格が50ドル台で安定していること、ECB理事会でテーパリング観測をドラギ総裁が否定したこと、そして大統領選でのトランプリスクが消えつつあること―などでしょうか。いずれも、日経225にはプラスでしょうが、日本の実体経済回復へのイメージが湧かない話。だからこそ、先週のレンジブレイクを懐疑的に見る向きが多いのではないかと思われます。

 とりわけ、先週強い動きを示したのは20日(木)。この日が大統領選の最後のテレビ討論会があったことを思うと、多くのグローバル投資家はトランプリスクが嫌だったのかもしれませんね。実際、先週18日にメリルリンチが毎月発表する機関投資家調査によれば、10月7日~13日の回答結果で「運用資産に占める現金比率5.8%」だったようです。これは、Brexit直後と同水準とのこと。米大統領選での共和党候補勝利による“ボラティリティ上昇”を懸念している機関投資家が多かったようです。

 大統領選挙に対するストレスが緩和されたとして、実際それで日本株に新たな資金流入が進んでいるのかどうかは今の時点では断言できません。先週1番上がった20日にしても、この日に“投機筋の225先物買い”が入った形跡も残しています。20日の日経225先物の手口では、顧客の大半が投機筋と見られるソシエテ・ジェネラル証券(以下:ソシエテ)が「売り6754枚/買い1万3224枚」で「差引き6470枚買い越し」と一手買い状態でした。先物の手口上では、このソシエテ買いが指数を押し上げた理由と読むことができます。そしてそのソシエテですが、この極端な日経225先物買いを10月11日にも行っています。このときが「6407枚買い越し」で、ほぼ同枚数。そして、そのソシエテ買いがあった10月11日がどういう日だったかといえば、「10月に入って初めて17000円を超えた日」でした。17000円タッチや17000円オーバーによる日経225売りポジションの買い戻しを狙った仕掛けにも見えなくはない・・・これは少し気になるところです。

 ただ、上げた理由はどうあれ、せっかくのレンジブレイクによる“変化”についていく戦略が優位ではないかと考えます。下げた9月相場では、買いの主役が日銀(のETF買い)でした。ただ、10月に入って日銀ETF買いは14日の1回しか入っていません。日銀が買ってないのに上げている10月ということ・・・。では、誰が買っているか?でいえば、10月第1週、第2週でいえば主役は外国人でした(買い戻しかもしれませんが、買い越し)。今年でいえば、9月末までで売り越し額が約6兆円にのぼった外国人。しかも、そのほとんどが現物株売りだったのですが、10月第1週、第2週は2週連続で現物株を1000億円以上の買い越し。これは4月以来、半年ぶりのことです。これは明らかに“変化”であって、外国人買いには逆らうなというセオリーからいえば、逆らうべきではない“変化”といえます。基本的には、この変化にはついていったほうが得策と見ているプレーヤーが多いのではないかと思います。

 今週は、国内で決算発表シーズンに入ります。決算銘柄など個別で大きな動きはみられるでしょうが、日経225は大きな値幅は出にくい週ともいえます。レンジ移行を確信する段階でもないですが、今週の想定レンジは下限・上限とも引き上げて、16900円~17400円とします。今後控える日銀会合や米大統領選を前にしたイベントドリブンがどういう形で進むか次第ですが、こういったイベントを通過した段階ではアンワインド(事前に作ったポジションの反対売買)が起こりやすいといえます。つまり、指数が上昇してイベントを迎えた場合、通過後に下落するなど逆に動く要因になります。そう考えると、1カ月タームなど長めに見た日経225の上値目標も、4月高値の17630円辺りが精いっぱいでしょうか。今後1カ月のレンジは16500円~17600円程度を想定しています。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ