岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/10/17 15:02下げそうで下がらない日経225

日経225 現物指数 終値16856.37円(10月14日)
安値16739.73円(10月13日)/高値17074.46円(10月11日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~10/14)
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 週初11日、日経225は17000円台に乗せ、終値でも17000円台を維持。ただ、この日を最後に再び17000円からは少し遠ざかる展開に・・・。結局これまで同様「上値は重たいけど、そんなに崩れるわけでもない日経225」、そんな印象だけを投資家の胸に刻んだ1週間でした。

 前週の週末に発表された9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が15.6万人増。17万人増程度を見ていた市場予想を下振れました。ただ、平均時給や週平均労働時間が前月を上回っており、全体としては雇用の悪化を意識するほどでもなく・・・発表直後に売られたドル円も、下落分を週明け時点ではリカバリー。また、日本時間の10日(月)に行われた米大統領選挙の第2回テレビ討論会も、双方の中傷合戦ばかりで、マーケットも「クリントン氏優勢の状況に変化なし」と好意的に捉えたとみられます。

 これらを受け、日経225も週初11(火)に9月9日以来1カ月ぶりの17000円台に。ひさびさの節目超えだったわけですが・・・この日の東証1部の売買代金は1兆8700億円程度と薄商いは変わりません。節目を超えても商いは増えるわけでもなかったわけです。基本的に薄商いのなか、この日は投機の匂いしかしない「日経225先物買い」があったことが余計に指数を押し上げたことが手口から確認できました。

 この日、「朝から日経225先物だけ1枚買いが執拗に入っている」と観測されていました。引け後に開示された手口情報では、アルゴリズムを使った投機のフローが中心とされるソシエテ・ジェネラル(以下:ソシエテ)が6407枚の大幅買い越しでした。この日の日経225先物の出来高は約4万9000枚。そのうち、買い手口でいえばABNアムロが1万3600枚、ソシエテが1万2507枚で、この2社だけで買い約定分の半分以上のシェアだったことがわかります。17000円超えました!といっても、買い約定分の半分がアルゴを使った投機筋(すぐに売る目的)・・・実需は見送り姿勢のなか、投機が盛り上がって17000円オーバーを攻めにいった、ただそれだけともいえます。

 そんな日経225ですので、翌12日(水)は外部環境の悪化を受けてスタートから反落します。前日のNYダウの下げ幅が200ドルを超えた(決算発表トップバッターのアルコアが市場予想下振れで急落、など)ほか、ユーロやポンド、人民元が対ドルで下落(米長期金利が上昇)。海外のリスクオフに弱い日経225はあっさり意気消沈で始まります。翌13日(木)も同様。米長期金利が1.8%まで上昇し、ドル円も東京時間として7月29日以来の104円台と日経225にはプラスの環境になります。再び17000円チャレンジ気運が高まりましたが・・・今度は別の理由で突然ズドンと落ちます。この日11時に発表された中国の貿易統計(ドル建て)では、「輸出」が前年同月比-10%と、市場予想(-3.2%)を大きく下回る悪い数字でした。これを受け、16980円まで上がっていた日経225先物は、16680円まで300円幅で急落。午後はTOPIX先物にまとまった買い(手口ではGSが4700枚超の大幅買い越し)が入ったこともあって下げ止まりましたが、主体性無く外部環境に翻弄される“世界の景気敏感指数”日経225・・・。

 10月限オプションSQだったのが週末14日(金)。SQ関連の注文は225型で市場推定では320億円(売り2220億円、買い1900億円)ほどの売り越しだったようです。この影響もあり、SQ値は16741.77円(前日比32.47円安)と安めの水準。ただ、前日に8月決算を発表したファーストリテイリングが上げ幅を広げたほか、ドル円も104円台に再度乗せる展開になったことで日経225も上げ幅を拡大。ファストリ1銘柄で日経225を63円押し上げました(←この日の日経225の上げ幅82円の大半がコレ)。結局は、前週末の終値16860円とほとんど変わらない値段での終了となりました。

 さて、その先週末14日ですが、日銀が10月に入って初めてETF買いを発動していました。9月に買入れ額が大きくなったため、1回当たりの買い入れ額は733億円から707億円に減額。ただ、前場のTOPIXの騰落率が-0.12%で発動した点には驚きもあります。というのも、前日13日(木)が同-0.14%、12日(水)が同-0.45%でもETF買いを行っていなかったわけで・・・(ETF買いの発動ルールを緩和したのでしょうか)。また、今回より、TOPIX型の買い入れ比率を高めたようです。この点については立会外のクロスから比率が判明次第、アカデミアの講義や本コラムで紹介します。


 (今週の見通し)

  下げそうで下がらない日経225、これに尽きると思います。「上げそう」という相場感に理由付けしようとしても、「円安(ドル高)」くらいしか見当たりません(「下げそう」という相場感に対する理由付けはかなり見つかりますが・・・・)。そんな状況で下げないため、積極的にロングのポジションが作られないなか、上値も重たくなります。基本的に、日経225の堅調な動きに懐疑的な市場参加者が多いため、上がると戻り売り(外国人や日本の個人投資家、機関投資家など)が出やすくなります。積極的に上値を買っていかないため、売買は膨らみません。東証1部の現物株市場では、10月に入って1度も1日の売買代金が目安の2兆円を超えていません。

 一方で、官製相場の威力も市場参加者は意識しています。これだけ閑散な状態が定番化していますから、1日で700億円強も買い越しに傾く日銀のETF買いの存在感は未だ損なわれていません。これが、売り方のニューショートを控えさせる理由となります。これが方向感のない相場のシンプルな背景であって、今週急に変化するとも思えないところです。貿易統計の悪化でにわかに注目が高まる中国の経済指標が19日(9月鉱工業生産、小売売上高など)、20日にはECB理事会(ドラギ総裁が12月の理事会に向けてどういったシグナルを示すか)、20日の東京時間には最後のアメリカ大統領選テレビ討論会、米企業決算発表も続々-など予定は充実していますが、16700円レベルにある25日移動平均を挟んだボックス相場が続くことに変わりはないように思われます。

 下値も限られるという点での日銀ETF買いを除く、唯一の手掛かりは最近の「ドル高基調」にあります。ここだけ見ながら日々は対応していくという感じでしょうか。上がらないと言われ続けた米長期金利が、先週大きく上昇しました。ボストン連銀での講演で、ハト派色の強い発言をイエレンFRB議長がしても、米長期金利は1.8%へさらに上昇。12月利上げに向けた準備を市場は進めていて、これは投機筋のこれまでの建玉(CMEで溜まっていた米10年債ロングのポジション)のアンワインドが続いていることからも明らかです。

 単純すぎるかもしれませんが、世界中の投資家が米長期金利の緩やかな上昇をメインシナリオにしていると見れば、足元での金の下落、対ドルでのユーロや新興国通貨の下落も腑に落ちるといえます。日経225に影響するドル円相場でいえば、日銀が「長短金利操作付き金融緩和」に舵を切り替えた意味もあるのかもしれません。長期金利の釘付け政策で「日本の長期金利は0%程度での推移」が確定的とすれば、米長期金利の拡大でドル円が上昇する絵図も見えなくはありません。これまで散々市場関係者は「日米金利差の拡大」を円安要因と指摘しながら、そのシナリオ通りに動くことは無かったドル円ですが、ここにきて少し現実味もあるのかなと考えさせられもします。短期的には、米長期金利次第、ドル円次第での水準変化が日経225の中心的変動要因でしょう。今週の想定レンジは25日移動平均を軸に前後250円を想定した16450円~17000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ