岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/09/20 16:14海外勢は売りポジション!?

日経225 現物指数 終値16519.29円(9月16日)
安値16359.78円(9月15日)/高値16802.00円(9月12日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~9/16)
 
(出所:Bloomberg)


(先週の振り返り)

一撃700億円超のETF買いを見せて以降、東京時間では絶大な影響力を示していた日銀の存在。その日銀が連戦連敗する週になったのが先週でした。大幅安で始まった週初を週間高値とし、その後は軟調な地合いが継続。日銀をもってしても、海外投資家が先物売りを強める局面では打つ手無し状態、そんな1週間になりました。

週初12日(月)は、ボストン連銀ローゼングレン総裁が利上げに積極的と受け止められる見解を示したことを受けたNYダウの急落(394ドル安)に連れ安。為替は円安方向ながら、米株安発のリスクオフが伝播した格好になりました。これまでの日本株を取り巻く環境のなかには、「米国株が高止まったままの状態」という前提がありました。だからこそ、為替動向に振り回されているように見えていた部分があります。円高なら日経225は下落、円安なら日経225は上昇といった具合です。ただ、米国株が大きく崩れると、日本株を動かす要素であるグローバル株との連動性といった要素が復活します。今週はここから、米株発のリスクオフ→オン(もしくはオフの緩和)に左右され続けました。この日、日銀はETF買い733億円を発動、それでも日経225のローソク足は「陰線(始値>終値)」。

 13日(火)は、前の日のNYダウが239ドル高と大幅に反発したことを受け、日経225も反発スタート。前の週に急きょ決まったハト派の大物の講演ということもあり、注目されたFRBブレイナード理事のシカゴでの発言内容。「金融緩和の排除には警告したい」といった内容で、最近のFRBメンバーと異なる見解でした。これを受け、にわかに高まった早期利上げ観測が後退。米国株や、周辺の新興株もリリーフ・ラリーといえる反応をしました。ただ、この日も日経225は買い戻しで高くぶつかっただけ。上げ幅を縮め、結局は前場のTOPIXがマイナスで着地し、午後に日銀はETF買い733億円を発動しています(年間枠を倍増して以降で初めての3日連続買入れ)。それでも、この日も日経225のローソク足は「陰線」でした。

 14日(水)は、また一転、NYダウが構成銘柄ほぼ全面安(上がったのはアップル1銘柄だけ)で前日の上昇分を帳消しに。米長期金利もまた1.73%台に上昇。それ以上にこの日話題になったのが、(深夜に一部メディアで報じられた)日銀の総括的検証において、緩和拡大の軸をマイナス金利の深掘りにする方向で検討しているとの報道。前の週の週末にも別の通信社が報じていたのですが、「マイナス金利深掘り→銀行株売り」を加速させる展開になりました。日銀では、金融機関が反発する副作用の面より、効果のほうが大きいと判断していると・・・。このところ上がってきた長期金利は放置し、短期金利を下げる形でイールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)を人工的にもたらす政策方針です。初期反応としては、株式市場はネガティブに反応し、これが15日(木)まで2日間の売り材料になりました。この2日間も連日で日銀は733億円のETF買いを発動、そして2日とも日経225のローソク足は「陰線」でした。これが、冒頭の日銀の援護失敗の話です。この理由は後述します。

 週末16(金)は、3連休を前にして巻き戻しの動きとなりました。日経225も反発しましたが、売られてきた銀行株の買い戻しが主導した相場になったことからもアンワインド中心といえると思われます。前の日の米国市場では、8月の小売売上高が市場予想の前年同月比-0.1%を下振れる-0.3%の弱い数値に。これを受けて、Fedウオッチツールの9月利上げ確率は9%まで直前で急降下。ドル売り(円高)、株買いで反応したことを受け、米国株安に端を発したグローバルのセンチメント悪化が和らぐ格好になりました。

 (今週の見通し)

 改めて書くまでもないですが、今週は21日(水)の日銀金融政策決定会合の結果、黒田総裁会見、そして夜のFOMC結果公表、イエレンFRB議長の会見(経済見通し改定)が目玉イベントです。翌日22日が日本は秋分の日で休場ということもあり、まずは21日の政策決定直後のヘッドライン情報を受けた大きな価格変動を市場参加者は警戒しています。

 まずは、先に結果が出る日銀から。今回のコンセンサスは、事前に報道が相次いだことで「マイナス金利の深堀り」になっていると思われます。総括的検証では、これまで長らく続けてきた政策を日銀自らは効果が出ていると認めたうえで、緩和手段を金利にシフトすることを示すと見込まれています。これまでの日銀はサプライズをもたらすことで市場のセンチメントに働きかけてきましたが、今回は市場との対話を重視する新路線に転換すると見られています。実際そうであった場合は、サプライズ無しなわけで、基本的には日経225にプラスの要素は存在しないと解釈できるでしょう。

 ただし、これを先週の時点で散々織り込む時間があったのも事実です。実際、マイナス金利の深掘りを想定したイベントドリブンとして、収益面でネガティブな銀行株をショートに傾けた動きは強かったといえます。日銀会合の接近に伴い、一部買戻す動きが広がっていることからも明らかなのではないでしょうか。こういった事前ポジションは日経225やTOPIXの先物売り、という形でも広がっています。先週、日銀ETF買いが連敗を続けた理由は、海外勢による先物売りの力が勝ったためです。具体的に日経225で挙げると、ソシエテ・ジェネラル証券(以下:ソシエテ)経由の売りです。差引きでは、9月14日(水)5699枚売り越し、15日(木)4624枚売り越し、16日(金)1026枚売り越しと、3日間で1万1349枚の売り越しとなっています。これは、単価16500円で試算しても、約1900億円の売り越し要因になります。先物経由でこうした負のエネルギーがかかって崩れた背景があります。TOPIX先物では、直近の決定会合前には買い手口で登場してきたゴールドマン・サックスが今回は売りでポジションをとっています。メジャーSQ通過の9月9日(金)以降、6営業日連続でTOPIX先物を売り越し、合計で約8000枚もの売り越しに及びます。

 マイナス金利の深掘りは、そもそもマイナス金利自体の市場評価が低いなか、日経225にとってプラスではないと考えられます。マイナス金利を拡大したあと、机上の理屈に反して円高も進みましたよね?この理由は、マイナス金利は「量的な拡大の限界」を逆に市場に意識させるからです。市場の期待に働きかけられない政策なだけに、実体経済への影響も期待できないでしょう。ただ、これを理解している海外勢は、報道を手掛かりに積極的に日経225の売りポジションを作って21日を迎える公算が大きくなってきました。投資家の属性にもよるでしょうが、(これまでの日銀プレーと同じ)短期筋のポジションと想像するなら、一旦は買い戻しに回り、日経225も意外な突き上げに転じる可能性はあるでしょう。コンセンサス通りに日銀が政策決定するなら、(初期反応はわかりませんが)一通りの需給が一巡したあとは、発表前との価格的な大きな差はないのではないかと考えられます。

 その他、こういった報道も出てきました。先週末(16日夜)のブルームバーグですが、一部外資系証券のストラテジストの見解として「日銀がTOPIX型ETFの買い入れ枠の引き上げを行うのは確実」と話しているというものです。日経平均型にウエイトが偏り過ぎている現状の日銀ETF買いは、日本経済の全体像を反映していないといった論調で、至極真っ当な話なのですが、この市場でよく言われる指摘を日銀関係者も分かっているとの内容でした。もし、総括的検証で、買入れ対象のETFで日経平均型の比率を減らすといった話が出るのであれば、「日経225売り/TOPIX買い」(NT倍率低下要因)の動きを加速させることになるでしょう。ただ、この場合はNT倍率こそ下がりますが、TOPIXと日経225のリバランスですので、日本株から資金流出といった話ではありません。特定の日経225高ウエイト銘柄(ファーストリテイリングなど)がピンポイントで売られる話と理解してください。

 その後のFOMCについては、直前で9月利上げ確率は20%にとどまっていることからも、市場は「9月利上げ見送り」をコンセンサスにしているといえそうです。FRBメンバーの発言でこれまで上下しましたが、基本的に早期利上げ自体は米株下落要因となってきましたよね。12月に利上げすることを市場に伝えたとしても、ひとまず9月利上げを見送ることが米株にとってプラス(買い戻し)に反応すると見られ、コンセンサス通りであれば、祝日明けの23日の日経225は上昇で始まる公算が大きいといえます。ただ、サプライズで9月の利上げが決定した場合は、米株下落からのグローバルのリスクオフ相場に巻き込まれます。確率は低そうですが、これが一番市場を混乱させるシナリオになります。今週のレンジはワイドに16000円~17000円としますが、週末の終値でいえば、先週末の終値16519円と大きなかい離が生じないのではないかと見ています。

(おしまい)

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