岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/09/05 15:05レーバーデー明けの6日NY市場の動きに注目

日経225 現物指数 終値16925.68円(9月2日)
安値16616.65円(8月29日)/高値16946.49円(9月2日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~9/2)

(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

いきなり大きなギャップアップで始まった先週の日経225。前の週の週末、ジャクソンホールでのイエレン議長の講演後にフィッシャーFRB副議長が「9月利上げの可能性と整合性がとれている」と発言。これが円ロングに傾けていたHF(ヘッジファンド)勢の反対売買を促すような形(←実際は違ったようですが)になり、ドル円が102円台に回復。上値を抑えていた為替の反転を受け、日経225もその分水準を修正する形で始まりました。

週初29日(月)の大幅高のあとは、その値動きも一旦ストップ。東証1部(現物株)の売買代金も29日が1.8兆円、30日が1.6兆円にとどまった閑散ぶりからも明らかなように、ジャクソンホール待ちと言われた前週から一転、今度は「週末の雇用統計待ち」に・・・。そんな閉塞感に風穴を開けたのは、またしてもフィッシャーFRB副議長。テレビ番組に登場すると「労働市場は完全雇用に極めて近い」とし、今後のデータ次第とはいいながら、9月のFOMCでの利上げ可能性を匂わせます。また、内閣官房参与の浜田宏一氏が一部通信社に対して「日銀による外債購入も選択肢」と発言。この合わせ技が刺激になる格好で、ドル円はまた上昇し始めました。

この週のドル円上昇は、米国の利上げが前倒しになる可能性が高まったことが背景といえます。『利上げ懸念』は、当たり前ですが「米国株にはマイナス」となります。同じく、『利上げ懸念』は新興国にとっては資金流出懸念になりますので、「新興国株や通貨にもマイナス」となります。また、ドル高ですので「原油など商品価格にもマイナス」となります。いわゆるリスクオフになるのですが、我らが日経225だけ別。ドル高(円安)を理由に「プラス」となります。

 この流れは月が替わった9月1日(木)も継続。ADP雇用リポートの民間部門雇用者数が17.7万人増と市場予想を少しですが上回る数値だったことで、雇用統計も大きな下振れは無さそうという解釈が広がります。前の月の数字も17.9万人から19.4万人に上方修正されたこともあり、Fedウォッチツールの9月利上げ確率は24%→27%に上昇。確率は未だ低いといっても、無視していい確率ではありませんから、基本的には8月末までの流れと変わりません。月曜日~水曜日で日経225は520円も上げていましたが、それでも崩れる雰囲気ではありませんでした。

 そのまま1日の夜、ドル円は104円ちょうどまで上昇。日経225先物も夜間取引で17070円まで上昇。ここまではセオリー通りに見えましたが…思いのよらないISM製造業景況感指数の弱さから急転直下となりました。市場予想は52で、これまでもコンスタントに50を上回る経済指標の中では最近強かったISM。これが49.4と市場予想を大きく下振れたうえ、判断基準の50も下回る数字に。ドル円は103円台前半に逆戻りしたうえ、せっかく1.6%台まで上がっていた米10年債利回りも1.5%台に逆戻り。

 また、2日(金)の早朝にオートデータが発表した8月の北米新車販売台数(速報値)が前月比4.2%減の1698万台とこちらもかなり弱い数字でした。雇用以外の経済指標からは9月利上げは到底無理といったトーンに変化(過去にISMが50割れの状態でFRBは利上げしていません)、2日の日経225は夜間に付けた17000円台を一度も見ることなく軟調な推移になりました。

とはいえ、週間ベースでは565円高と強い1週間。海外時間の円安を手掛かりに連日午前中プラス圏で推移したことから、日銀(ETF買い)の手を煩わせることもなく上昇した週になりました。前の週まで2週連続で週末安値、先週は3週ぶりに週末高値。週末に週間の安値または高値を付ける動きが続いており、週間単位でのトレンド発生が最近の特徴といえそうです。


(今週の見通し)

高い注目を集めた先週末の米8月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)で15.1万人増。市場予想の18万人増より低い数字→9月利上げ無理だろう→ドル円下落(103円割れ)という、初期反応としては多くの市場参加者が容易に描ける方向に動きました。ただ、イベントプレーヤーの売り買いが一巡した後の動きが難易度の高いものに・・・。今度はドル円が急上昇し104円台突破。米長期金利も1.6%まで上昇(債券売り)となりました。

 NFPで15万人増というのは、強い数字ではないとはいえ、ものすごく弱い数字でもない微妙な水準。後講釈するなら、これなら12月利上げは可能(今9月のため、9月利上げも12月利上げも3カ月しか違わない。年内緩やかに円安に向かうのではないか?)といった認識で動き始めているのかもしれないと理解できます。

 ただ、実際は、そんな綺麗ごととは違う需給が働いていたようにも思われます。雇用統計発表後に一部メディアのラジオ番組でジャナス・キャピタルのビル・グロース氏(債券王)が「利上げは100%に近い確率で9月になるだろう」と発言。また、ゴールドマン・サックスも9月利上げの確率を40%→55%に引き上げるなど、ヘッジファンドが動く動機にもなりそうな見方の変化も出ていました。GSの9月利上げ55%というのは、「多分ある」という見方なわけで・・・。この辺りが現地でどう解釈されているのか、その確認の意味でも、レーバーデー明けの6日のNY市場の動き(ドル買い、債券売りが続くのかどうか)を待ちたいところです。

 先週末、雇用統計に合わせて、こんなデータも出ていました。毎週末にCFTCが公表する投機筋の通貨先物のポジションですが、8月30日時点で差引き6万3661枚の円ロングとなっていて、これは前週比で3345枚増加していました。7月末の日銀会合後、投機筋(HF)は円ロングを積み上げてきたわけですが、大きく円安に振れたジャクソンホール後の先週も(8月30日時点)逆張りで円ロングを積み上げたHFのほうが大きかったわけです。これを見ると、先週末の雇用統計後、レ-バーデーの連休を前にしていることもあり、円ロングの手仕舞いに回ったHFもかなり多かったのではないか?とも推測できます。つまり、雇用統計の数字をどう解釈するかといった後講釈的なものではなく、ポジション整理という需給要因でドル円が上がった可能性も否定できないということ。その意味でも、やはりレーバーデー明けからのNY市場の値動きそのものに注目ということになると思います。

 これは日経225も同様です。雇用統計後に17000円の節目をひさびさに突破。200日移動平均線をようやく上回り、「ここから日経225は上がる!」に気運を高めているように見えます。ただ、前述のような理由で短期的にドル円が上がった結果、日経225先物が2日(金)の夜間に大きく上昇。高値で17170円まであったのですが、ここでかかった力も「買戻し」でした。例えば、この夜間の時間帯に日経225のオプションで出来高を膨らませていたのは、権利行使価格17000円や17250円、17500円といったアップサイドのコールでした。

9月SQを前に、建玉として残っていた行使価格で目立つのは17000円コールの2万1213枚、17500円コールの1万9331枚でした。建玉で残っているのは、基本的にはプレミアムが安いときにコール売り(例えば17000円コールでしたら、17000円にはSQまでに届かないだろうという相場感)していた弱気派のポジションが中心と想定されます。とくにジャクソンホール直前の8月26日(金)に出来高が急増しており、ここでオプションを売った投資家も多かったと推測されます。ここから日経225が短期間でまさかの800円高したわけで、損失確定の買戻し、日経225先物買いによるデルタヘッジに回った短期筋が多かったといえます。

ドルに対する弱気派、日経225に対する弱気派を締め上げるショートスクイーズの動きはかなり入っているといえますので、これが今後トレンドとして続くかどうかを見極める必要もありそうです。その意味では、今週6日(火)に発表される米8月のISM非製造業景況感指数(先に出たISM製造業はかなり悪い数字だった)にも関心がもたれますし、需給的には週末の9月のメジャーSQにも関心がもたれます。日経225のトレンドは上に向いているように思われますが、短期の需給で短期的に上向いただけの可能性も否定できないことから、念のため下方向への可能性も考慮。今週の想定レンジは16800円~17300円とします。

(おしまい)

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