岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/08/29 15:38日銀ETF買いの脅威

(先週の振り返り)

日経225 現物指数 終値16360.71円(8月26日)
安値16320.43円(8月26日)/高値166663.64円(8月23日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~8/26

(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

先週に続いて週末に週間安値を付けた日経225。週間でも2週連続で下落となりました。週初からジャクソンホール待ちと言われましたが、結局週末まで動きづらい理由は“ジャクソンホール”になりました。

 先週は週初から、日本だけではなく、米国やドイツなどの株式市場でも閑散モードでした。何の理由も無くドイツのDAXが突然大きく下げる、といった動きも確認され、「どこも指数は機械に支配されている感じがする」との声も聞かれました。

 基本的には東京時間にだけ入る特殊な買い需要である“日銀ETF買い”だけを巡り、前場から後場まで指数は短期筋のトレードに翻弄されるだけの動きだったように思われます。比較的大きめの動きが出たのが23日(火)。東京時間の午後から13時半頃まで強い動きになり、16650円まで理由も無く急伸。日銀ETF買いが入っているかのように見せかけることでも目的としたような短期筋の買いが背景でしょうか。ただ、この動きに追随する他の短期筋のロングも呼び込んだところで、ドテン売りにしたような展開へ。結果、16430円まで220円ほど落ちたわけですが、この日も日銀ETF買いは入っていませんでした。

 翌日24日(水)の日経225は、スタートから強くぶつかります。8月のユーロ圏PMI速報値が7カ月ぶりの高水準になったこともあり、欧州株が堅調。NY株市場も閑散ながら小幅高。依然として為替は動いていませんが、この日はもう1つ支援材料もありました。日経225のウエイトが高いソフトバンク株について、JPモルガンが投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエイト」に引き上げたのですが、目標株価変更にインパクトが強かったこと。従来6500円としていた目標株価を9930円まで大幅アップしたことで、ソフトバンクがギャップアップ(前日比165円高)。商いを膨らませて序盤盛り上がったことが日経225にもプラス影響をもたらしましたが・・・前場強いと“日銀ETF買いが入らない”ことも市場では周知されています。結局、午後は上げ幅を縮めていきます。

 変化があったのが25日(木)。この日の前場のTOPIXの騰落率は-0.32%。その前でいえば、18日に-0.38%でETF買いが入らなかった日があり、発動基準にひっかからなかったと思われていました。ただ、現物が昼休みに入った先物タイムに、11時32分→11時43分のわずか10分ほどで日経225先物が100円ほど急伸します(午前中は70円幅しかなかったにもかかわらず)。前場のTOPIXが-0.28%だった23日に日銀買いは入っていませんでしたが、この日も前述の通り、日銀買いが入っているかのように見せかける目的のような短期の仕掛け的な買いが入る場面がありました。そんなこの日・・・政策変更後3回目となる707億円買いが入っていました。昼休み中の先物タイムでなぜかフライングで上がっていたこともあってか、午後は上げ幅を終始縮める展開でしたが・・・。

 ジャクソンホールが目前に迫った週末26日(金)は、朝から軟調。この日は、日本株全体(というか日経225)に巨大な売り要因が発生することが知られていました。市場推計で1200億円~1500億円の日経225売り。こちらは後述しますが、日銀ETF買い707億円が入っても飲まれることが確実な売りインパクトといえます。朝からこれを意識した動きが広がり、とりわけ東証の後場寄り付きで日経225採用銘柄の多くが売り気配で始まりました。結局、この日も日銀ETF買い707億円買いは入っていましたが、日銀の効果がまるでないかのような大幅安で週末に安値を付けました。

(今週の見通し)

 まず、先週の日経225は特殊な売り要因によって下げ過ぎた部分がありました。こちらから解説をしておきます。先週26日は、東証1部の売買代金が大引け15時だけで3533億円も出来ています。大引けで売買注文が殺到したわけですが、これはファミリーマート株の売買に伴うものでした(実際、この日はファミマが東証1部の売買代金トップに)。

この日はファミマが日経225に採用されることに伴い、日経225に連動することを目指すパッシブファンド(ETFなど)の買い需要が発生する日でした。指数に入るため、ファミマを好きか嫌いかに関わらず“買わないといけない”わけですが・・・問題はみなし額面50円でファミマが入ることが決まったことでした。ファミマ株は株価8000円前後の値がさ株。みなし額面50円で入れることが決まったことで、TDKや信越化学、セコムなどを凌ぐ日経225高ウエイト銘柄になってしまったのです。

 持ち高ゼロのファミマ株を一斉に買わないといけなくなる・・・これがどのくらいの規模かというと、証券会社のクオンツレポートなどから1200億円~1500億円相当と試算されていました。ファミマを仮に1200億円買って組み入れられるとすると、ファミマ以外の日経225採用224銘柄は1200億円分売らないといけません(リバランス)。これが日経225先物で換算すると「約7500枚分の売り越し」に相当するわけで、先週金曜日は“よほどの事がない限り大きく下がる日”だったわけです。で、実際、終日では195円下げたわけです。

 先週は、ひさびさに日銀ETF707億円買いが入りました。これまで2回のサンプルの印象は強力でしたよね。最初の1回目は午後だけで日経225を230円押し上げたし、2回目は1円以上も円高に振れたのに日経225は下がりませんでした。ただ、先週発動した3回目、4回目は異なるサンプルを手に入れた格好ではあります。3回目の25日(木)は午後に日経225が10円しか上げなかったし、4回目の26日(金)は前日比大幅安で終わったわけですから。これをもって「日銀ETF買いも大したことないじゃないか」といった見方も聞こえてきましたが、実際は前述の理由が裏側にあったことを留意してください。ファミマのリバランスに伴う巨大な売りがあったにもかかわらず、大して下げなかったという側面・・・。日銀ETF買いの脅威はまだまだ続くはずです。

 さて、注目されたジャクソンホールですが、イエレンFRB議長の「米利上げの論拠、この数カ月で強まった」といった発言などから“ややタカ派”と捉えられたと解釈されたようです。実際のマーケットが動きを示したのは、その後のFRB副議長のフィッシャー氏の「9月利上げの可能性と整合性がとれている」の発言でしたが、ドル円は102円水準を奪回。Fedウオッチツールの9月利上げ確率も21%→33%に上昇しました。年末までに利上げするといっても、あと3カ月と少ししか時間が無くなっているなか、マーケットに利上げの可能性を織り込ませようという意識を持っていることが透けて見えます。

 注目されるが無風に終わると見ていた市場参加者が多かっただけに、8月に入って増えていた投機筋の円ロングが手仕舞われるきっかけになったことは間違いないのでしょう。また、このジャクソンホールの討論会で、黒田日銀総裁が「利下げの限界までにはまだかなりの距離がある」と発言しました。次のFOMCと日銀の政策決定会合は同日というスケジュールですよね。可能性として捨てられないのは、「米国が利上げするタイミングに日銀がマイナス金利の深堀りをぶつけにいく」というシナリオ。これが実現した場合、介入以上の効果を為替市場に生むのではないかと考えられます。そういった形で、ドル高/円安の芽が出てきた点は日経225にとってポジティブに見ていいと思われます。

 今週は週末9月2日に8月分の米雇用統計が控えています。週後半にかけては様子見ムードが強くなりそうですので、今週のアップサイドも最大で17000円程度と見ておきたいところ。今週の想定レンジは16600円~17000円とします。うがった見方をしなければ、「米国の早期利上げ観測が復活したこと」と「日銀がマイナス金利の深堀りを含めた追加緩和策を辞さない構えにあること」から、ドル円が緩やかに上昇トレンドを示すのではないかとは考えられます。とはいえ・・・同じような雰囲気が市場に広がっていた3カ月前、トンデモなく弱い5月分の雇用統計が6月3日に発表され梯子を外された記憶も新しいところ。アグレッシブに日経225ロングを作りにいく参加者も少ないのではないかと思われます。

(おしまい)

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