岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/08/22 15:23市場の注目は26日ジャクソンホールと日銀動向!

(先週の振り返り)

日経225 現物指数 終値16545.82円(8月19日)
安値16452.62円(8月19日)/高値16932.11円(8月15日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~8/19

(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 前の週の勢いを残しつつ始まった先週ですが、円高が現在進行形で進むなかで上値を買う理由もないなか、日銀頼み(午後からの707億円ETF買い)の雰囲気は衰えることがなかった日経225。その頼みの綱である日銀ETF買い、先に結果をいうと“今週は1度も発動無し”でした。週初時点では、発動条件は「前場にTOPIXがマイナスだった場合」だったため、これに翻弄されたわけですが・・・日銀の肩透かしに合った1週間だったともいえます。

 動きが出たのは16日(火)。この日も週初からジワジワ進んだ円高からパッとしない出足。そこから下げ足を速めたのは「前引けのTOPIXの下落率」を確認したあと、先物だけになる時間帯(11時半~12時半)でした。この日のTOPIXの前場下落率は-0.05%で、-0.17%でETF買いの発動が無かった前日より小さいものでした。結果、「午後からの707億円ETF買いは無し」の認識が広がります。これを理由に売り仕掛けていく動きが、裁定取引の力もかからない現物の昼休憩時間に進みました。

 この日の日経225の下げ幅は273円(しかも安値引け)と、8月3日以来の大きめの下げになりました。日経平均VIの低下が進んでいたなかでは不意を突かれるような大幅安といえます。ただ、これに意味があるとも言い辛いところでした。というのもETF発動無しを見込んで売りの回転を効かせただけという側面が強いため。お盆安みのこの日も、現物市場の売買代金は閑散モードで2兆円を下回っていました。一方で、盛り上がっていたのは日経225先物だけで、この日に売り越しだったのは短期のHF主体とみられるクレディスイス(日経225は1372枚売り越し)でした。「今日はクレディスイスが売りで攻めてきたから崩れた」としか表現しようがないわけです。

 翌17日(水)は反発。この日は朝からTOPIXコア30がやたら強く、「年金が買っているのでは?」という声も聞かれましたが真偽はわかりません。その流れがまた下方向に転じたのは18日(木)でした。最近のFRB高官発言がタカ派気味になっていたことから、内容に関心が持たれた議事録(およそ1カ月前に開催されたFOMCですが・・・)公表でしたが、参加者の中で意見は分かれていたものの特段の驚きはないハト派的な内容と解釈されます。年内利上げの可能性もほとんど変わらず、ドル売りの動きが再開。東京時間開始前には1ドル=100円を割れるなど、いきなり目線は下がります。

 大きめのギャップダウンで始まった18日の日経225ですが、スタート直後は「今日こそ午後からのETF707億円買いが入るだろう」といった見方が支配的になります。これにより、今度は日経225先物を買い始める投資家が出てきます。日経225先物は始値比で180円も一時上昇、この間に特に下げ幅を縮める理由も無かったため、日銀のETF買いを見越したイベントドリブン的な動きだったと断定できます。前場に日経225先物ロングや、ファーストリテイリングなど日経225高ウエイト銘柄買いポジションを組んでおき、後場の日銀買いに売りでぶつけるというトレード。こうなると、後場上値を重くしながらも日銀ETF買いインパクトでしっかり推移、というイメージが連想されるわけですが・・・。

実際は想像以上にきつい下げになりました。前場のTOPIXは0.38%の下落率により、これまでのルール的には「日銀ETF買いは発動」ということになります。とはいえ、それにしてはよく下がる動きに・・・。これは、イベントドリブン的に前場ロングを作った投資家が多すぎた結果、その先回った分のアンワインドが日銀ETF買いのインパクトに勝ったのか?といった想像しかできません。ただ、追加の答えは「日銀ETF買いが発動していなかった」ということが引け後に発覚します。これはかなりのサプライズになりました。こちらは後ほど触れます。

 週末19日はしっかりのスタートになるも、東証の前引け前に一時的に先物を売るような動きもあり、週間安値を更新しました。これについても「日銀のETF買い発動基準を試したかっただけの売り」との見方もあるほど、とくに意味のない動きだったといえます。結局前場のTOPIX下落率は0.1%安。日銀ETF買いは入らないだろうとの見方に移るなかでも指数が後場幾分戻したのは、前述の理由で先物売りを仕掛けた向きの買戻しが理由だった可能性が大きそうです。


(今週の見通し)

 先週、週間で374円下がった日経225。下がったら日銀が助けてくれるという意味の下値抑止力が発揮されてないように映るパフォーマンスですが、実際の707億円買い発動はゼロだったわけで、直接的な需給効果が無ければそんなもの。逆にいえば、発動されていれば結果は違ったともいえますね。

 その日銀ETF買いに関して物議を生んだのが、先週18日にETF買いが見送られた件でした。8月4日にTOPIXの前場の下落率が前日比0.24%安で発動したのに、なぜこの日は0.38%安なのに発動されなかったのか?多くの市場参加者に見透かされている発動ルールを急きょ変更したのか?という疑問になります。こちらについては、過去にも月の前半と後半で発動ルールが変更されていたことがあったと指摘する市場関係者がいます。ただ、枠をきっちり消化するためにも、まだ2回しか発動していない段階でルールを厳しくするでしょうか?という疑問もあります。

 もう一つの可能性として指摘されているのが、日銀から来る707億円の発注に対して、組成する側の証券会社が応じられない場合があるのではないか?ということ。裁定買い残が5000億円を下回るほど減っていることが示すように、証券会社側に在庫(日経平均型やTOPIX型のバスケット)が枯渇しているのではないかとも考えられる話です。これまでは裁定買い残を流用させることが出来たものが、そうも言えなくなっているのではないか?と・・・。どちらが真実かは現在判明していませんが、ETF買い枠の拡大にも物理的な限界がありそうなことが見えてきましたね。

 さて、今週のポイントですが、市場の意見としては「週末26日のジャクソンホールでのイエレン議長の講演に注目」で収まり良くなっているようにも見えます。前回コラムで私もそういったことを指摘したのですが、少し違うような気がしてきましたので、その理由を挙げておきます。NY在住のあるファンドマネジャーが指摘されていたのですが、FRBの規程が変更され、ジャクソンホールなど講演の場でFRB議長が金融政策の方向性を発言出来なくなっているというのです(そのためNYではあまり注目されていないと)。そもそも、雇用以外の経済指標が芳しくない(小売や消費者物価など)状況において、イエレン議長が利上げに対する明確な方向性を示す確率も低そうなわけで・・・。市場はなんらかのヒントが得られると(とくに日本の市場関係者は)前のめりですが、少し違うように思えてきました。

 逆にフィッシャーFRB副議長が週末に経済セミナーでの講演でタカ派的な発言をされていましたが、投機筋が対ドルで円ロングに傾けているポジションをアンワインドさせるような流れ(円高一服)に向かう可能性も無視できないと思われます。この点でいえば、同じく先週末に産経新聞に対する黒田日銀総裁の単独インタビューの内容も気にすべきところです。その前の週の13日に「金融庁がマイナス金利によってメガバンクだけで3000億円減益予想になる」という報道から、マイナス金利の深堀りは無理といった理解に市場が傾きました。ただ、これに対して黒田総裁は「マイナス金利で金融仲介機能に大きな影響が出るとは懸念していない」と反論したと伝えてあります。マイナス金利についても「技術的にはさらに引き下げる余地があることは間違いない」と発言。9月の会合でのマイナス金利深堀確率はゼロに近いくらいにコンセンサスが傾いていただけに、9月での追加緩和の可能性もあり得るという意味で円買いポジションを巻き戻す要因になるかもしれません。

 円高進行の一服を意識すれば指数の下押し要素が薄れること、日銀のETF買い発動ルールは読みにくくなったものの未消化枠を大量に残した状態でいつ発動してもおかしくないこと―などを考慮すれば、引き続き逆張りを基本とした戦略が有利と考えます。日銀ETF買いが東京時間に限定された強い買い需給要因であることも変わりません。16400円~16900円を今週の想定レンジとします。

(おしまい)
 

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※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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