岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/08/15 15:53日経225は究極の官製相場で底堅い展開か

(先週の振り返り)

日経225 現物指数 終値16919.92円(8月12日)
安値16455.57円(8月8日)/高値16943.67円(8月12日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~8/12
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 先週は週間で665円の大幅高になりました。「山の日」の祝日があったため、営業日は4営業日。ひたすら、半日で707億円ETFを買う日銀の存在を背中に感じながら、日銀に先回る買いを含んだ日経225は、為替動向など見向きもしないような指数と化しました・・・。

 週初から、ひたすら明確化していったのが「VIの下落トレンド」と「NT倍率の上昇トレンド」。VI低下は前回コラムで書いたように、日銀のETF買いインパクトの大きさを知った市場参加者が、下落に備えてプットを買うといったニーズが低下したことが理由です。NT倍率上昇は、日銀が買い付けるETFの半分以上が日経225型ETFであることが理由です。

 8日(月)に日経平均VIは、大発会の1月4日以来となる20割れし、今年の最低水準を更新。ここから週末12日安値の18.45までVIは低下を続けました。同じくNT倍率も、週初8日に12.77倍の年初来高値を更新すると、この過去最高値圏で高止まり状態(週末12日には高値12.79倍)。前の週から続いた「グロース株(医薬品や食品株など)売り/バリュー株(銀行や自動車、鉄鋼など)買い」の動きは9日(火)時点で終了。7月29日の日銀会合以降に加速した大掛かりなリターンリバーサルの動きも一服したことで、NT拡大の動きも止まるかと見られましたが、ここは変化がありませんでした。

 完全に日銀の存在が下値抑止力を発揮している状況。現物株でセクターごとのリターンリバーサルが止まったあとも、残ったのは指数買いの勢いのみ。「日経225は買いに分がある」という相場感のもと、その動きを決定付けるような痕跡も残されていました。9日の立会外市場(バスケット)では、15時30分にこんなクロスがありました。ファーストリテイリング(15万株=約56億円相当)、ソフトバンク(58万株=約36億円相当)など、日経225の寄与度が大きい9銘柄だけ約170億円もの大口クロスが振られていたのです。これは、日銀ETF買いを意識した投機家が、手っ取り早くその恩恵を享受する値がさ株オンリーで、最小の銘柄数で組んだ最適化ポートフォリオと想定されます。こういう投資行動をとる投資家が増え、日銀がETFを買っていなくても、先回る投資家の行動が日経225を押し上げるといったサイクルも作っています。

 圧巻だったのは10日(水)。前日夜のアメリカの長期金利が再び低下し、ドル売り地合いになりました。東京時間に入ると円高が加速し、前の日の東京時間終了時に比べて一時1.2円も円高方向へ・・・。それにも関わらず、日銀の存在を意識した東京時間の前場は為替に対する抵抗力を発揮する動き。前場のTOPIXもわずか0.4%安にとどまり、「円高にも関わらずあまり下げないうえに、日銀のETF買いの誘発には成功」という展開になりました。休日を前に薄商いになりやすい地合いにおいて、午後だけで707億円の買いインパクトは効果が出やすいだろう・・・これを想定し、日銀のETF玉を受けるブローカー以外のブローカーは先回って日経225先物なりを買いで仕込んでいたと想定されます。

 そして、午後に日銀のETF玉を受けたブローカーが買ってきたところに売りをぶつけよう、といったトレードが中心だったんでしょうか。現物市場の取引終了15時にかけて上げ幅を縮めていきます。「前場で売るより後場で売ったほうが高い値段で売れる」といった相場感が働いているといえそうです。ただ、この日の日銀インパクトは現物市場が終わった15時~15時15分の先物タイムに炸裂しました。日銀のETF玉を受けたブローカーは、「ETF玉を渡すと手元に同額の先物売りだけ残るため、先物売り分を買い戻す」形で市場にプラスインパクトをもたらします。この先物買いは、現物市場が引けた15時以降に入った(出来高も急増し、価格も上昇)公算が大きく、現物の引け値16735円を上回る16770円で先物は終了しました。

 週末12日(金)は、朝からギャップアップで週間高値を更新しました。前の日の米国株市場では、NYダウ、S&P500、NASDAQの主要3指数が16年8カ月ぶりに揃って史上最高値を更新。為替も円安方向に切り返していたこともあって、高く始まりました。また、この日は8月SQでしたが、SQに関連する注文が日経225型で推定680億円買い越しだったと観測されています。高いSQ値(16926.60円)に反応してか、225先物も一時16900円台乗せ。下げそうで下げない、下げないから売らない、でも、明らかに実体より高い値段が付いてそうな感じが強いから買わない・・・そんな構図で薄商いのなか指数は17000円に迫った1週間でした。

(今週の見通し)

 アメリカの7月の小売売上高が0%と市場予想+0.4%より弱かったことを受け、先週末にドル円は一時100円台まで急落。米金利が低下し、また円高が進みました。ただ、日経225の為替に対する感応度が落ちているのは前述の通りです。日経225の値動きは、1日単位では日銀の動静に影響を受けやすくなっています。これは、週前半がお盆休みモードであること、決算発表が一巡したこと、海外株が安定していること―などを理由に、今週も継続しそうです。イベントも、週初15日に4-6月期GDP、16日に米CPI、鉱工業生産などがある程度で少ない1週間。26日の米FRBイエレン議長のジャクソンホール会議での講演まで日数的な余裕もあり、下がれば買い、前場安かったら前場の安いうちに買い、夜間が安かったら夜間に買って東京時間の後場に売り、といった逆張り戦略が有効でしょう。想定レンジは下限を引き上げ、16600円~17100円とします。

 短期スパンでの逆張りで、日銀ETF買いという“東京時間限定の強い買い需給要因”を想定して売り場を東京時間の午後にする戦略は有効かと思われます。ただ、週間の上値メドも17100円程度に限定されると想定する理由は、やはり上値を買う主体が想像しにくいためです。

 究極の官製相場下で、この期に及んでファンダメンタルズの話をするのは気も引けますが、日経225を構成するのは企業の株価なわけで、円高でファンダメンタルズが劣化する点は無視できないところです。その為替については、ドル円はこう着感を強めています。1ドル=100円に対するボトム意識は強い一方、米長期金利があまりにも上がりにくくなり、上値も強い雇用統計後に付けた102円66銭が精一杯といった声が強くなっています。

 また、先週12日に米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した9日時点のIMMの投機筋のドル円建玉を見ると、差引で4万8831枚の円ロングポジションとなっていました。前回2日時点から1週間で7131枚の増加ということで、7月29日の日銀会合以降、円ロングを積み増す動きを投機筋がとっていることがわかります。これは、マイナス金利深堀りを見送った日銀に対してのリアクションと見るのが自然といえるでしょう。先週末の一部報道で、金融庁が日銀に対してマイナス金利の懸念を伝達するといった話題もありました。これを受け、9月会合の「検証」議題に反映されるようで、マイナス金利の深堀りはますます困難→日銀限界論からの円ロング材料といえると思います。

 こういった理由から、ドル円サイドでは戻れば売り的な動きが強まる公算は大きいのではないでしょうか(少なくとも26日のジャクソンホールまで)。目下、日経225は円高を気にしない動きをしています。円高進行を見ながら、日経225のVIが低下する(下値不安が小さくなる)といった、感覚的には理解不能な展開を続けています。今週もこれが続きそうといっても、永久に続くわけではない・・・この理由は改めて後日説明したいと思います。

(おしまい)
 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ