岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/04/09 11:11米中貿易戦争の懸念オン/オフ以外の要素にも注目

日経225 現物指数 終値21567.52円(4月6日)
安値 21056.02円(4月3日)/高値 21737.66円(4月5日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2018/4/6
 


(先週の振り返り)

難易度の高い1週間・・・貿易戦争懸念で始まり、懸念が薄まり、マーケット的に一件落着か?と見せたところで、週末にまたトランプが蒸し返す・・・アルゴリズムトレードが隆盛の市場にあって、何も考えず、ヘッドラインに即座に反応し、ファーストリアクションをとるのもアルゴリズム。そのヘッドラインにネガティブなワードを投入するのが米国の大統領・・・この構造問題こそ、いわゆる“トランプリスク”そのものです。日経225は週間で113円高に。

名実とも新年度に入った4月2日(月)。月初といえば、「月初は上がる」というアノマリーがありましたが、そのアノマリーは3月に途絶えました。一方で、新年度となる4月初日は、国内機関投資家の「益出し売り(新年度の運用に余裕をもたせるため、利益の乗っている株などで実現益を作っておくこと)」で上がりにくい」ことが知られています。アベノミクス相場開始以降、4月初日は過去5年で4勝1敗、しかも全て陰線、しかも直近3年は安値引けでした・・・。

そんな分が悪そうな日ですが、この日は朝から堅調に推移。3月まで散々売りまくっていた海外勢が日経225先物中心に買い戻しに回っていたようにも見られ、NT倍率が上昇(海外勢の先物売り局面ではNT倍率は低下=アンワインド)。注目された日銀短観の2018年度の大企業・製造業想定為替レートも「109.66円」と前回の110.18円からさほど円高になっておらず・・・慎重さの欠片も感じられない想定レートとはいえ、いわゆるガイダンスリスクへの関心が一時的に薄れたことも買い戻し要因に。ただ、やはり新年度の4月初日。極端な薄商いのなかで大引けにかけてモリモリ売りが入り、結局は今年も“下落、かつ安値引け”でした。

ここから週末まで、トランプ米大統領がかく乱要因になります。2日にトランプ大統領が、ツイッターでアマゾンを攻撃(不当に安い郵便料金が適用されているため税金をもっと払うべきと)。これを引き金に、アマゾンだけでなく米国のハイテク株が軒並み大幅安。月初のNYダウも458 ドル安と大きく下落し、これにお付き合いする形で3日(火)の日経225もギャップダウンで始まります。ただ、前場のTOPIXが0.52%安だったこともあり、後場は日銀ETF買いが発動。大引けにかけて下げ幅は縮めました。なお、4月に入って初のETF買いは、買付額が714億円(3月は735億円)でした。3月に過去最大の月間11発のETF砲を投入。枠の消化ペースが早くなってしまったため、少しペースダウンしたようです。

4日(水)は反発で始まるも、東京時間に上値が重く、終日もみ合いで方向感の無い1日に。米国株がひとまず反発(とはいえ、ハイテク株安が心配されているなか、NYダウS&P500よりナスダック総合指数の上昇率が小さい形での反発)。さらに、前日より米ドル/円が0.5円程度は円安に振れていましたし、さらには日経225ウエイト最大のファーストリテイリングの3月分のユニクロ既存店売上高が良く大幅高。コンディションは良かったのですが・・・小幅ながらもマイナスに転じる場面があるなど、21300円を挟んで売り買い交錯といった雰囲気でした。

この日の夜に、日経225先物は安値で21030円を付けます。夕方始まる欧州株が安く、NY市場でもNYダウで一時510ドル安。中国が自動車、航空機、大豆など米国産品106品目への報復関税を発表したことが嫌気されたと言われていたようですが、結局は「知ったら仕舞い」的にNYタイム中にマーケットは反転します。ラリー・クドローNEC委員長の「株式市場は米中の貿易問題に過剰反応すべきではない」発言や、中国の副首相による「米国債を売却するつもりはない」発言なども反転のきっかけになったようです。

NYダウが安値から780ドルもの大ドンデン返しとなったことを受け、ひたすら米国株に翻弄されるだけの受け身キャラの日経225は、5日(木)は大幅上昇へ。メガバンクなど主力大型株の強さが目立ちましたが、それでもNT倍率は拡大。外国人の日経225先物の買い戻しが進んだことを表していますが、市場参加者からは「雇用統計を目掛けて、CTAなどの短期筋が買いで攻めている感じもある」とも聞かれました。

5日夜のNYダウも大幅続伸となり、200ドル以上の上昇が3日続いたのは2月5日の急落以降で初となりました。貿易戦争懸念を材料にしたベア相場は、ひとまず一件落着・・・と、恐らく半数以上の市場参加者が思っていたのでは?(夜間の日経225先物も高値で21920円)。

そんな空気を、またしても元に戻したのはトランプ大統領。週末6日(金)の早朝、中国の報復が不公平であるとし、米通商代表部に「追加で1000億ドル規模の品目に課税するよう指示した」と報じられます。これをきっかけに、時間外取引でNYダウ先物が一時400ドル超の下落に。NYダウは前日の上げ分を帳消しにしており、日経225も前日比変わらずの水準で始まります。東京時間の午後には、中国商務省の報道官が「国益を守るため、新たな包括的措置を講ずる」「中国は最後まで付き合う。必ず反撃する」といった声明を出したことも伝わりました。またもや“貿易戦争懸念”を蒸し返し・・・しかも安定のトランプ大統領発。市場にネガティブニュースを投入してくるのが米国の大統領・・・これぞトランプリスク。

(今週の見通し)

週末6日のNYダウが572ドル安(2.3%安)と、また大きく崩れました。今年に入り、66営業日のうち、NYダウが「前日比1%以上の下落」となったのは「14回目」。1%以上の下落の発生確率は21%で、ペースとしては「週に1回」となっています。適温相場(低ボラ相場)の昨年(2017年)は、251営業日のうち僅か4営業日(発生確率2%)でした。下げるときの振れ幅が確実にワイド化し、そして高頻度化していて、これにお付き合いせざるを得ない日経225にとっては厄介な状況です。

週に1回くらいは朝起きたら大幅安(=夜間に日経225が大幅安)することが前提にあるため、東京時間の参加者の心理は「日経225の買いポジションをオーバーナイトしたくない」に傾きます。そのため、取引が短期化(=日計りに徹する参加者の割合増加)し、朝方強くても引けにかけては崩れるといった動きを起こしやすくなるといえます。当然、様子見姿勢を貫く参加者も増えます。そのため、薄商いになりやすく、だからこそ日銀ETF買いの効果も出やすくなり、朝安い日の午後がしっかりといった動きにもなりやすくなります。

米国株の不安定さを理由に、日経225は上にも下にもトレンドが作られにくくなっているわけです。これは、日経225の移動平均が5日線(21482円)、10日線(21376円)、15日線(21306円)、20日線(21432円)、25日線(21407円)、30日線(21490円)と、21300円~21500円の200円幅のレンジ内に集中していることからも窺えます。その米国株の不安定さの元凶も、先週末の結構大きく下振れした米雇用統計にあまり関心が向かわなかったように、米中貿易戦争の懸念オン/オフで振れているようにしか見えません。

週末8日、トランプ大統領がツイッターで、中国の習近平国家主席を「常に友人だ」と表現。この問題を和らげようとする姿勢を示しました(懸念オフ材料)。週明けのNYダウは「懸念オフは買い」とのコンセンサスもあるため、上がると想定され、9日(月)の日経225もそれを先取ろうとする気配はあります。最終的には、米中とも穏便に済ませるだろうことを市場参加者はわかっていて、つまりは出来レースであることが分かっています。場当たり的なトランプ大統領の発言に振り回される不毛さに気付き、昨年の北朝鮮リスクと同じ匂いがするこの売りネタを無視し始めている参加者も増えつつあります。


賞味期限の切れたネタは不味いだけ・・・ちょうど今週から米国でも決算発表が増えてきて、日本でも12日にファーストリテイリングや安川電機などが予定されています。また、10日と11日にフェイスブックのザッカーバーグCEOの議会証言も予定されています。日本企業の業績が悪化しそう・・・このガイダンスリスクで売られた部分のアンワインドは、「業績はさほど悪くない」が確認できれば進むと想定されます。売り浴びせられている米ハイテク株にとっても、ザッカーバーグの議会証言という重要イベント通過でアンワインドにつながる可能性があります。米中貿易戦争の懸念オン/オフ以外の要素が、決算発表した個別株やフェイスブックなど米ハイテク株の株価変化の形で現れるかどうかを見ておくべきでしょう。今週の想定レンジは21200円~21900円に、今後1カ月のレンジを20900円~22500円とします。

(おしまい)
 

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※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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