岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/03/12 14:06日経225はリバウンド?ただし「買い」ではなく「買い戻し」 

日経225 現物指数 終値21469.20円(3月9日)
安値 20937.26円(3月5日)/高値 21884.45円(3月9日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2018/3/9

(先週の振り返り)

週間では上昇(前週末比287円高)しましたが、先週も不安定な動きばかり目立った日経225。戻そうとはするものの、どうにも弾き返されます。上がるときは外部要因で朝一番で上昇しますが、東京時間は弾き返されてローソク足に上ヒゲを残す・・・この繰り返し。底入れ感はあるものの、時間が経てば経つほど、強く戻すイメージを描けなくなる日経225といったところでしょうか。

前週末の夜間、日経225先物は20690円を付けていました。NYダウが一時400ドル近い下落をしたことが原因ですが、その後にNYダウが急激に下げ渋ってくれたことで一矢報いた?・・・NYダウが戻してくれたおかげで、ひとまず週明け5日(月)は139円安で済んだ1日になりました。この日、日経225は2月急落後のザラバ安値を一時割り込みました。とはいえ、前週末の夕方、黒田日銀総裁の衆院運営委員会での所信表明に対する誤解を招くヘッドライン(某通信社が「19年度ごろに出口を検討していること間違いない」と報道)で円買い/日経225先物売りに振れ過ぎた背景もありました。そのため、「21000円割れから売りで仕掛ける理由も無い」とも聞かれました。イタリアの総選挙については株の市場参加者はほとんど気に留めず。

6日(火)は4日ぶりの上昇、しかも375円高と大幅高に。輸入関税賦課について、トランプ大統領がカナダやメキシコとはNAFTA交渉の中で行うと述べ、貿易摩擦の不安が緩んだと解釈されてか、前日のNYダウが336ドル高と大きく上昇。これに連れ高しただけですが、前日まで4日で1350円近く下げていたこともあり、揺り戻しは大きく出ました。ただ、この日の上昇分のほぼ全てが、寄り付きギャップ分。東京時間という日本の時間帯には価格決定権は無いのか?というような、見せ場は毎度夜・・・そんな1日でした。後場には、黒田日銀総裁が参院議員運営委員会で出口懸念に対する火消し発言もしましたが、これもほぼスルー。

7日(水)は、波乱の展開に。北朝鮮と韓国が首脳会談で合意し、北朝鮮リスク後退を理由に夜間の先物は21810円まで上昇していました。この日、防衛関連株(石川製作所や豊和工業など)が暴落していることからも、このニュースは日経225にはプラス材料、のはずでしたが・・・それを打ち消したのが日本時間の朝7時に伝わった「ゲーリー・コーン氏の辞任」。元ゴールドマン・サックスのCOOで、経済政策の司令塔として評価の高かったコーン氏。とりわけ、足元では鉄鋼・アルミの追加関税に反対の立場だったコーン氏の辞任により、保護貿易主義に傾くのでは?との警戒から米ドル/円が(一時105円40銭台まで)下落し、日経225先物も想定外の下落スタート。前場に前日比プラス圏まで戻す場面も作りましたが、この動きでTOPIXの前場下落率は0.06%に収まり、結果的に後場は日銀ETF買い無しの状態に。結局、この日の安値圏まで押し戻されて165円安で終了。

7日の東京時間では、時間外のNYダウ先物を参考に、コーン氏辞任の影響で「NYダウで350ドル程度下げそう」に警戒していたのですが・・・米国株の立会内での反応はかなり落ち着いていました。立会内でも一時350ドル近く下げたNYダウが82ドル安まで下げ幅を縮小して終了。ナスダック総合指数にいたっては上昇。前日に心配し過ぎて下げた分、8日(木)は買い戻しが入り反発します。とはいえ、米国株頼みの日経225。この日の夜、トランプ大統領が鉄鋼・アルミの関税措置に正式署名すると伝わっていたこと、コーン氏の後任人事も決まっていないことなど、燻ぶる警戒心が上値の重石になっていたようでした。

難易度が高いというか、どう書けばいいのかすら分からない動きをしたのが週末9日(金)。前日の米国市場でVIXが大きく低下し、薄商いのなか米国株も上昇しました。ECB理事会を通過し、あとは週末のメジャーSQと日銀会合と雇用統計・・・まだ見極めたいイベントを多く残すなかにあって、またしても日本時間の開始前に大きなニュースが飛び込みます。「北朝鮮の金正恩委員長がトランプ大統領に会合を招請した」、「ホワイトハウスもこれを受け入れる見解」「安倍首相も4月に訪米して日米首脳会談を行い、北朝鮮問題への対応を協議する方針で一致」などと報じられ、北朝鮮問題が驚きの急展開を見せ始めたことを受け、CTAなどヘッジファンド勢が日経225先物買いで反応したようです。

さらにはこの日は3月限のメジャーSQ。SQ値は前日比207.38円高の「21575.45円」でしたが、SQ関連の注文が市場推計によれば日経225型で約1200億円も買い越しだったようです。SQ注文の買い越しで押し上がり、さらには地政学リスク後退で上げが加速し、10時過ぎに一時21884円(これが先週の高値)まで上昇します。ただ、高値を付けたあと、1時間足らずで上げ幅を400円強も縮小・・・この急失速の理由が、市場参加者の中でも「さっぱり分からない」と言われていました。


おそらくですが、朝イチから先物を買い上げた短期筋が、すぐに手仕舞い売りに向かったものと思われます(国内機関投資家の戻り売りや個人投資家の戻り売り程度では、短時間でここまで下がらないため)。それだけ、投機筋のおもちゃになっているのだと思いますが・・・それにしても前日比500円超も上げていたのに、一時マイナスに転じたのは驚き)。なお、現体制で最後の日銀会合でしたが、結果はコンセンサス通り「現状維持」(結果公表は11時46分と早め)。ヘッドラインに結果が流れたタイミングでも、日経225先物はまったく出来高が増えておらず、日銀会合を狙った売り買い(いわゆる日銀プレー)をしているプレーヤーはほぼ皆無ということも分かりました。

 

(今週の見通し)

先週末に発表された2月の米雇用統計は、非農業部門の新規雇用者数が市場予想(20万人増)を大きく上回る31.3万人増。一方で、時間当たり賃金は+2.6%と、前月の+2.8%から低下。賃金が上がるとインフレ圧力が高まり、FRBの利上げペースが早まり、米長期金利が上がることが株式市場にマイナス・・・が基本的な思考なのだとすれば、賃金の伸びが鈍かったことは株に好都合。実際、先週末のNYダウは440ドル高で高値引け、ナスダック総合指数については6連騰で最高値を更新しました。

VIX指数も先週末まで6日連続で低下し、9日終了時点では14.64。これは、2月1日以来の低水準のため、いわゆる“適温相場”の状態に回帰したわけです。震源地の米国市場で、その下落の引き金として盛んにボラティリティの上昇が指摘されました。ずっと低いままだったボラティリティが上昇→ボラティリティをターゲットにポートフォリオを決めているファンド(リスク・パリティ戦略をとるファンド)が、株のウエイトを落とす(もしくは売りヘッジする)→これが株の押し下げ要因になる・・・このサイクルが、足元の米国株安の原因と言われていました。

そうであるなら、ボラティリティ低下は朗報でしかありません。株のボラティリティが低下したこと自体が、これまでの動きの巻き戻しをする理由になるわけですから。米株の上昇自体がボラティリティを低下させる日経225にとっても、恵の雨。ちょうど、反転のきっかけになることが多いメジャーSQも通過し(今回も綺麗に反転)、日銀会合も通過(黒田総裁が「出口」について完全に封印)。2月以降の下落局面において溜まった売りエネルギーが、一旦は買い戻しエネルギーに転嫁され、日経225もリバウンドすることが想定されます。

ただ、これは「買い戻し」の話。外国人が積み上げた先物の売りポジションを反対売買する分が押し上げにつながるとして、一方で、その反対の行動をとる投資家もいます。それが、かつてない逆張り買い(とくに日経レバレッジETF)で入っていた日本の個人投資家。日経225がリバウンドする過程で、個人の「戻り売り」が上値を押さえる存在になります。日経225の先週の動きをぜひ振り返ってみてください。上昇する日の上昇分はほぼギャップアップ分(米国株に連れ高)。強くぶつかったあとは、上ヒゲを残しながら、東京時間は跳ね返されています。下げは外国人主導ですが、戻りも外国人の買い戻し主導・・・そして、その戻りを阻害する戻り売りは個人主導(=東京時間に買いで入っても旨味が小さい)。レンジ相場が相当長く続きそうです。

先週のコーンNEC委員長の辞任の影響は無いのか?・・・現地の報道を見る限り、コーン氏を失ったトランプ政権に対する魅力は大きく低下したように見えます。5月までに行われるとされる米国と北朝鮮の首脳会談。これで地政学リスクが和らいだと言われますが、そもそも北朝鮮リスクが高まっていた時期に、米国株が下がっていたでしょうか?(米国の市場参加者が北朝鮮のことなど気にしているとも思えない)。また、日本でいえば、森友学園の決裁文書の書き換えを財務省が認め、安倍政権への影響を無視できない事態になっているようです。週末の世論調査で早速内閣支持率が低下していましたが、夏の自民党総裁選への影響はゼロと言うのは無理があるでしょう。短期的には買い戻しで日経225も戻すでしょうが、それは買いではなく買い戻し。「元に戻ろうとする」動きであって、上昇基調に戻すという意味ではないでしょう。今週の想定レンジは21300円~22200円に、今後1カ月のレンジを20900円~22500円とします。


(おしまい)

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※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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