岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/03/05 13:25上昇トレンドへの回帰は難しい一方、週末は落ち着く可能性も

日経225 現物指数 終値21181.64円(3月2日)
安値 21088.96円(3月2日)/高値 22502.05円(2月27日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2018/3/2

(先週の振り返り)

完全復活!と見せかけてからの米国株の下落が最大の誤算。パウエル新FRB議長と米国の株式市場(つまりは日本株も)の相性が、今のところかなり悪い(就任式、議会証言ともに株売り要因に)ことだけは鮮明化しました。日経225の最強デーにも綻びが生じ、後味の悪い1週間に・・・。

週初26日(月)は、前週末の米国株の大幅高を受け、日経225も負けじとリバウンドモードで始まります。朝方は一時上げ幅300円を超え、前週の高値(22152円)の突破に成功。2月6日の急落後の高値を更新しました。前週末には、パウエルFRB議長の議会証言が1日前倒しの27日(日本時間では27日24時~)になると発表されていました。市場参加者の間で、“パウエル・プット”なる言葉が出回り始めたのもこのタイミング。「きっとパウエルさんが、2月の株安に手を差し伸べてくれるだろう」なる期待が米国株買い戻しのストーリーになっていたようです。日本でも、明らかに日経225先物中心に買い戻し的な流れが出始めます。2月の急落局面で急低下(先物売りが日経225に偏っていたため)していたNT倍率が12.48倍に上昇(前週末は12.43倍)。


その夜の米国株も引き続き大きく上昇で返ってきます。驚異的な米国株のリカバリー(ナスダック総合指数はいち早く2月の下落分を全て帳消しにしました)を手掛かりに、27日(火)も260円高した前日の流れが続きます。この日、NT倍率は2月2日以来となる12.5倍台まで上昇。NT倍率の上昇=手前で先物売った海外ヘッジファンドの買い戻し、これで全て説明できると思います。パウエル議長の議会証言を前に、手控えムードで売買が減ります。薄商いになっているところで、米ドル売りとセットで積まれた日経225ショートのアンワインドが入ることが日本株のリカバリーに効きます。米ドル/円の上昇と日経225の上昇が同時進行するのも、ただそれだけです。逆流したものが、逆流し始めた・・・そんなところです。この日の日経225は一時22502円まで上昇しました(これが先週の高値)。

ただ、パウエル議長の議会証言後、逆流の逆流の、さらに逆流が始まります。注目を集めた議会証言はタカ派的な内容で、市場に年4回利上げを意識させるきっかけに。手前にパウエル・プット期待で買われていた分の逆流ですので、「米国株売り/米債券売り」となります。2月最終日の28日(水)の日経225も4日ぶりの反落で始まります。その後は下げ渋っていたものの、10時に出た2月の中国製造業PMIが50.3(市場予想51.1を下回ったというより、50.3自体が16年7月の49.9以来に低い水準のためかなり悪い)に低下したことを嫌気。さらには、10時10分に日銀が25年超のオペ減額(800億円→700億円)を通知し、これも格好の円買い材料に。また、時間外の米国株指数先物がマイナスに転じるなど、投機が売り仕掛ける口実が重なったこともあり、下げ幅を広げ始めます。後場は日銀ETF買い(731億円)が入りましたが、それでも安値引け・・・これは、日銀ETF買い分を上回る金額で海外勢が売り越したことを示しています。日経225は2月9日以来となる300円強の下げ幅で、しかも安値引けで終了。

さらに、月末は強いことで知られる2月最終日の米国株が大幅続落に。これに面食らった日経225は、月替わりの3月1日(木)も大幅続落で始まります。2月まで、月初の日経225は「20カ月連続上昇」という名誉ある記録を更新していました。日経225の最強デーとして多くの市場参加者に浸透していた月初高のジンクスですが、それも全く太刀打ちできないまま、この日も後場に下げ幅を拡大(日銀ETF買いが連日入ったにもかかわらず)。結局この日も343円安。先物手口では、ゴールドマン・サックスがTOPIX先物を立会内で1196枚、立会外で3563枚の大幅売り越しでした。海外投資家の日本株引き揚げを予感させる手口が出るなど、雲行き怪しい3月相場の幕開けに。

週末2日(金)は、前日夜のNYダウがまたしても大幅安(420ドル安)となったことを受け、連日のギャップダウン。トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入制限を来週にも発動すると表明したことを受け、収益悪化につながるとの見方から、米国ではGMやボーイング、キャタピラーなど鉄鋼消費企業の大型株が大幅安に。米国の保護主義政策が米ドル売り要因、また株安を通じたリスクオフの円買いが進み、米ドル/円も下落します。米国株の下落と円高のダブル再開という二重苦にあって、日経225は一時600円安に。テクニカル派の頼みの綱だった200日線(この日は21180円近辺)も割り込みました。後場は、黒田日銀総裁の国会での所信聴取が行われる最中にやや下げ幅縮小。ただ、この時間帯も米ドル/円は戻しておらず、単に黒田総裁が国会にいる間に執行された日銀ETF買いで株だけ少し戻した程度でした。

 

(今週の見通し)

日経225に、「そろそろ戻して欲しい」なる希望的観測を排除すれば、上昇トレンドへの回帰が到底難しいことは明白なのかもしれません。低ボラティリティを保ちながら指数が上昇を続ける状態を「適温相場」と呼ぶならば、2月のNYダウが11カ月ぶりに月間マイナス(月間1120ドル安)で着地したことは適温相場の終わりを示唆しているといえます。また、日経225は2月まで20カ月連続で「月初上昇」というアノマリーを作っていました。日経225にとって“最強の日”であるはずの月初も、3月1日の343円安で記録が途絶えました(21カ月ぶり)。この記録が始まった21カ月前は、過去3年のド安値である2016年6月安値を付けた翌月でした。そして、ド高値を付けた今年の2月まで続いた記録ですので、いわば、2月高値までの中長期上昇トレンドは「月初高とセット」で実現してきたといえます。この勝利の法則が崩れたことも、希望的観測を排除すれば上昇相場の終わりを示唆しているといえます。

先週末の夜間、日経225先物が2月14日安値を下回る20690円を付けました。これは、前述の黒田日銀総裁の所信聴取について、一部通信社が「19年度ごろ出口を検討していることは間違いない」というヘッドラインを流したため。黒田総裁が明確に出口を匂わせたとして、流動性が低い時間帯に日経225先物売りの手掛かりとなってオーバーシュートした格好でした(米ドル/円も下落)。実際は、「現時点で18年度ごろ出口を議論し探るとは考えていない」と発言していて、ひとまず今年は出口を気にする必要が無いことが確認できたとも見られますが、市場はやはり日銀の出口にナーバス。

こと日銀に対しては、先週2月28日に国債買い入れオペで25年超の100億円減額を通知。日銀も1月9日のオペ減額が円高に作用したことは承知しているはず。それにもかかわらずオペ減額を通知したことで、市場との対話力の低さばかり目立ってきています。この後に円高が再開したことを見ても、投機筋が円買いで仕掛けやすくなった(=日経225にはネガティブ)といえそうです。今週は8日~9日に日銀会合が控えます。黒田総裁が記者会見の場で、直近の意図しない方向での市場の解釈による円高にどう対応するか?は見物です。

ただ、上昇トレンドへの回帰が無理ということを前提にしても、今週は週末にかけて一旦落ち着く可能性もあります。今週は週末9日にメジャーSQを控えます。SQ前後に需給がひっくり返るケースは多いですが、足元では先物売りを強めながら下落して迎えます。この過程で、先物売り→裁定解消売りが進み、裁定買い残が急減。欧州の政治イベントも通過することで、海外勢による先物の買い戻しがそろそろ入る可能性は無視できないところ。一方で、強く戻せない理由には、期末の3月特有の需給要因も影響しそう。地銀など国内の金融機関が、年度末の運用収益を確定するため、含み損益の確定に動く時期です。

以前にも指摘しましたが、値下がりした米国債は損出し対象になりますが、その穴埋めで益出しするとすれば日本株です。東京時間はどうしても、こうした普段は出てこない投資主体の売りで上値が抑えられがちと見るべきでしょう。また、2月の急落以降の安値圏にあり、急落時に逆張りで買い向かった短期勢の戻り売り圧力もまた復活。メジャーSQ前後を反転のきっかけにする可能性がありつつも上値は限られると考え、今週の想定レンジは20700円~21800円に、今後1カ月のレンジを20000円~22000円に引き下げます。

(おしまい)

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