岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/02/13 11:20日本株は海外勢の売りに要注意!?

日経225 現物指数 終値21382.62円(2月9日)
安値 20178.71円(2月6日)/高値 22967.69円(2月5日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/2/9

(先週の振り返り)

まさか2000円幅で下げるとは・・・・正直、考えもしませんでした。日経225の週間下落率8.1%は、信用収縮への懸念が膨らんだ16年2月第1週(▲11.1%)以来。短期間で下げ過ぎたとはいえ、深い傷を負った事実は消せません。まずは激動の先週から振り返ります。

週明け早々、米国株のひさびさの急落に驚く形で幕を開けました。前週末のNYダウが、強い1月雇用統計を受けて665ドルも下落。初めて米長期金利が2.8%台に乗せたところで、金利高に米株があからさまに売りで反応。インフレ懸念による株安への警戒で、5日(月)の日経225はNYダウの下げ幅を見習ったかのような592円安に。震源地だけ「米国株」で確定していることもあり、この日から週末までずっと、「今晩の米国株は下げ止まるだろうか?」ばかりを東京時間は気にする時間帯になりました(日経225はGLOBEXの時間外の米株指数先物にひたすら連動)。

ただ、本震(なのかどうかもまだ不明ですが)は、その夜でした。週明けの米国株市場で、とくにこれといった理由も無いなか(伏線はたくさんありますが)、ザラ場の下落幅として過去最大の一時1597ドル安という信じられない急落になります。前週から始まっていた世界同時株安の流れが加速。想定外の急落で買いの手が引く(流動性が低下)なか、トレンドフォローの売り(プログラム売買)が下げを加速させるような動きにもなりました(盛んにフラッシュ・クラッシュという表現が飛び交っていました)。

この日が月曜だったこともあり「ミニ・ブラックマンデー」とか、この日がFRBパウエル新議長の就任宣誓式だったこともあり「パウエル・ショック」とか表現は様々でしたが、長く続いた適温相場の終わりを市場が意識し始め、これまで積み上げたポジション、これまで続けてきたストラテジーの修正を迫られることになります。適温相場の象徴である常時低かったVIXは、前日比で20ポイント(変化率115%)も跳ね上がり37.32に。そして、このVIXのスパイク現象が、その後の株安不安の最大の火種になっていきます。

NY急落を受け、6日(火)の日経225先物は950円という信じられないギャップを空けて急落スタート。数年に一度の急落ということもあり、この日の東京時間はリバウンドを狙った逆張り買いも殺到します(おそらく主に個人投資家)。売らないといけない人の売り、相場急変動による売りヘッジ、値動きだけで売り買いを繰り返す自動取引、そして下げを好機と見た逆張りの突っ込み買い・・・入り乱れる格好で東証1部の売買代金も5.6兆円を記録しました(後にバーナンキ・ショックと呼ばれた13年5月23日以来)。

ここから週末まで、さらに時間外の米株指数先物だけ見ながら、「今夜の米国株は上がるのか?下がるのか?」をひたすら探る展開に終始します。6日にNYダウが567ドル高と大きく戻すと、7日(水)の日経225もギャップアップで急激にリバウンド(とはいえ、東京時間は国内勢の短期の戻り売りなど急失速)。翌8日(木)もギャップアップで始まるも、東京時間は上がると思わせて下げたり、下げると思わせて戻したり・・・収まりのいい水準が全く定まらない状態で、『ニーニーゴ』という名前の仮想通貨にでもなったかのような動き。とはいえ、この段階では続伸しており、この週に下げた最大幅の半分程度は取り返す動きでした

ただ、余震は続きます。8日のNYダウが、またしても(今週だけで2度目の)1000ドル超の大幅下落(しかも取引終了かけて下げ幅広げる展開で)。この日の終値23860ドルは、5日の安値も下回ったことで、「フラッシュ・クラッシュ」が原因だから大丈夫という意見(投機の売りで付けたミスプライス説)を完全否定したことになります。この日オプションSQだったことや、前日やこの日が決算発表ラッシュの最初のピークであることも空気化し、日経225先物は寄り付きから800円もギャップを空けて急落。世界的にVIXが再度跳ね上がったことに倣い、日経平均VIも再び上昇しました。タイミング悪く、週末から日本は3連休に入ること、この日のナイトセッションで先物・オプションともに売買が全面的に臨時停止になること(日本証券クリアリング機構の次期システム稼働準備のため)もあり、売りヘッジをせざるを得ない投資家も多かったと見られます。

(今週の見通し)

急落については、(金利上昇が理由だとか、フラッシュ・クラッシュが理由だとか・・・)色んなメディアで議論し尽くされているので割愛しますが・・・これだけ急落しても、まだなお「まだ下げるのではないか?」という形でわだかまりを残してしまったのは、長く利益を出せていたVIXショート(VIXの低下基調が続けば続くほど利益になるポジション)が大損失を被ったことでした。

VIX短期先物と逆の値動きをするインバース型のETFやETNは、米国で機関投資家や個人投資家に幅広く人気を博していました。これは、VIX短期先物が長い間低下していたこと、この先も低下すると見込まれていたこと、そして利回りで投資パフォーマンスが挙げられない中で好都合の投資商品だったこと-などが理由でした。ただ、先週の米国株急落で、VIXが急騰。5日VIX短期先物は、56.28→110.37へわずか1日で前日比96%も値上がりしました。

流行していたのはVIXショート(インバース=-1倍)ですので、VIXが96%上がると、理屈上96%値下がりするということになります。ここで、市場が驚いたのが、このETNが“早期償還”になったこと。「前日比で8割値下がりしたら早期償還」というトリガー条項が付いていたため、これに引っ掛かり、クレディスイスが運用していたベロシティシェアズ・デイリー・インバースVIX短期ETNの早期償還が決まります。日本でも運用資産額で300億円強でしたが、ノムラ・ヨーロッパのVIXインバースETN(証券コード2049)が個人に人気があったようで、同じように早期償還になりました。

VIXをショート(ボラティリティを売る)するような形の投資商品が、米国、そして日本でどのような形で(仕組債など含め)、どのくらいの規模で投資家に販売されているのかは判明していません。そのため、この分の損失がどの程度で、この損失の影響が今後どう波及するかも想像の域を超えません(IMFのデータによれば、ボラティリティをターゲットにした投資商品はCTAやリスクパリティファンドなどの合計で約100兆円あると開示されていますが・・・)。今回のボラティリティ急騰が起こす副作用としては、損失を被った投資家が、その他の利益が出ている流動性の高い金融商品(おそらく日米の株)を売却して穴埋めするといったことが考えられます。海外投資家の売買シェアが高い日本株でいえば、これら海外勢の売りに一層注意したほうがいいといえます。

ここにきて、短期間で日経225が最大3000円幅で調整したこともあり、「下がったら買いたい」と思っていた日本の個人投資家の逆張り買いもかなり入っています。これは、日経225が急落した先週6日のネット証券の売買動向を見ていると明らかでした(とくに、日経レバETFの買い越し額が連日巨額に)。この、個人の逆張り買いが目立ち始めたのは1月第4週から。また、下げが目立つため、日銀ETF買いの頻度も高まっています。一方で、外国人投資家は売り越し基調を強めています。これ、本来上げるときの構図と真逆に転換した状態なわけですね。買い手が国内勢、売り手が海外勢・・・。そして、個人投資家が強烈に逆張り買いを入れ始めたのが日経225で23000円台、そして22000円台でも買い下がってきたため、これがシコリになっている点も注意が必要。東京時間における戻り売り圧力が短期間でかなり作られた状態ということです。

需給面で完全に「上がりにくくなった」といえるうえ、米政府の連邦政府の支出拡大や減税による米国の長期金利上昇懸念(米10年債利回りは一時2.9%台に上昇)、黒田総裁の再任が有力になったという報道(日銀人事でさらにリフレ色が強くなる可能性の後退)なども上値の重石になりそう。先物売りや空売り比率高止まりなどから、短期的には米国株の落ち着きを理由にリバウンドしそうですが、下げるときの速度や幅をリバウンドにも当てはめるようなシナリオは描くだけ無駄でしょう。今週の想定レンジは21000円~22200円に、今後1カ月のレンジを20500円~22700円とします。

(おしまい)
 

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