岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/02/05 10:33当面の戦略は「短期の売り」

日経225 現物指数 終値23274.53円(2月2日)
安値 23092.85円(1月31日)/高値 23787.23円(1月29日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/2/2

(先週の振り返り)

「安易なショートは禁物」、これは本コラムでも書き続けてきた合言葉でしたが・・・おそらく海外勢とみられる投機筋が、躊躇なく日経225先物をショートで入っているようです。適温相場に慣れた市場参加者、とりわけ債券のプレーヤーにとって、想像を上回る米国債の下落。売りが売りを呼び、さらに米金利の上昇は速度をあげる格好に・・・。ここは売りなのか?それとも押し目買いか?難易度を高める日経225に市場参加者の動きも錯綜し始めています。

週初29日(月)の寄り付きにおける好材料は、日経225寄与度の大きいファナック、信越化学が前週末に発表した上方修正で買い気配から始まったこと。この2銘柄による押し上げ効果がプラスとなった一方で、懸念として残す「米ドル安」の継続(108円台で円高推移)がこれを打ち消します。ファナックが寄り付き天井となったことも加勢し、結局はわずか2円ですが小幅安で取引を終えました。

翌30日(火)は前日比337円安の大幅安に。前日に米10年債利回り(長期金利)が2.7%台に乗せ、金利上昇に合わせて米国株も軟調化。VIXが大きく上昇しながら米国も下落したことを嫌ったのか、しつこい円高を嫌ったのか、その両方か、日経225は開始後から下げ幅を広げていきます。また、この日は一部で米アップルのスマホ最新モデル「iPhoneⅩ」について、1‐3月期の生産量を当初計画から半減させる見通しと報じたこともファナックなど関連株の売り要因に。時間外の米国株指数先物が下げていたこともあり、米国株の大きめの下落まで先取る格好で日経225もVIを大きく上昇させながら(売りヘッジが増加)下落しました。なお、この日は大引けでTOPIXのリバランスに伴って売買が急増。東証1部の売買代金は3.3兆円に。

その夜のNYダウは362ドル安と、下げ幅としては8カ月ぶりの大きさでスピード調整。ただ、前日に先回りで売られていたこともあり、月末31日(水)の日経225は小幅ながら反発となる場面も作ります。この日は、日本時間の11時から始まったトランプ大統領の一般教書演説にも関心が集まりました。演説が始まるところのタイミングを目掛けた米国債売りの巻き戻しが始まり、前日に2.73%台まで上がっていた米長期金利も2.70%台に低下。ただ、ここでも米ドル/円の巻き戻しは起こらず・・・。前場のTOPIXが0.16%安だったため、日銀ETF買いは見送り。日銀買いが入らない後場、ズルズルと下げ幅を広げて結局193円安で取引を終えます。大発会の始値を下回り、恐ろしいほど後味の悪い1月相場に。なお、この日の先物手口では、立会内、立会外とも米系のGSが合算で5000枚超の大幅売り越しとなっていました。大引けにかけて崩れた背景には、月末のアロケーション変更(日本株ロング外し)の影響が出た可能性もありそうです。

ここまで19カ月連続で上昇していた「月初の第1営業日」の日経225。前日夜のFOMCでやや強気の物価見通しが示されたこともあり、「米ドル安」が一服。前日まで日本でも先物を通じた売り(ヘッジ売り)が多かったこともあり2月1日(木)は朝イチから買い戻しモードに。ここまで6日続落だった日経225ですが、さすが月初(?)、2月も387円高と大幅反発となり、その記録を20カ月連続に伸ばしました。

ただ、その上げ分も翌2日(金)には半分以上消してしまいます。前日夜に米国の長期金利が2.8%に迫る勢いで上昇。金利差拡大が対円での米ドル買いという形で反応し始め(それだけ米金利上昇のピッチが速くなっているということ?)、米ドル/円の下落は明らかに一服していました。それでも、この日の日本株市場は米金利上昇に警戒体制。そんななか、午前10時10分に日銀が長期国債の買い入れオペを通知。ここで「5年超10年以下」の400億円のオペ増額と、“指値オペ”の実施を通知します(昨年7月以来)。足元の金利上昇に日銀が手を打ってきた(市場で生まれたステルス・テーパリング懸念を消しにかかった)ことを債券市場は歓迎し、直後に債券買い(日本の長期金利は低下)、金利差拡大の理屈通りに米ドル/円も上昇します。

その一方で、日経225はむしろ下げ幅を広げる形になります(←これが先週の最難関といえた動き)。ここで理屈を付けるなら、日銀が指値オペを実施したことで、黒田総裁が使った「リバーサルレート」ではないですが、日銀の強い緩和姿勢が銀行に売り材料になるという発想。指値オペ実施なら銀行株を空売りすると投機筋が決め打ちしていたような反応で、前日大きく上がっていたメガバンクが総崩れ。この影響が市場全体のマインドを冷やしたとはいえますが、本来はTOPIXウエイトの高い銀行株が弱い地合いではNT倍率は上昇します。ただ、この局面でもNT倍率は低下(日経225のほうがTOPIXより弱い)しており、単に短期筋が日経225を中心に先物売りで仕掛ける動きが中心軸だったようにも思われます。

 

(今週の見通し)

昨年末の日経225の終値が22764円。ここから、わずか10営業日で最大1464円(現時点の年初来高値は1月23日の24129円)も上昇し、そしてその後のわずか9営業日で上がった分の全部を消しそうです。ロケットスタートからの壮絶なブーメラン現象・・・。その原因は周知の通りで、株高に踊った米国の変調でした。

先週末2日の米市場で、しばらく目にすることが無かった強い株売りが起きました。NYダウは前日比665ドル(2.54%)も下落、下落幅では9年2カ月ぶりの大きさとなりました。2日に発表された1月雇用統計で、平均時給上昇率が市場予想の2.6%を上回る前年同月比2.9%と、8年7カ月ぶりの高い伸びに。これを受けて米長期金利が2.84%にさらに上昇。先週来、金利上昇に米国株が神経質になっていたなかで、この日「債券売り/株売り」が加速しました。

週明けから、「強い米国株」の後ろ盾を失った日経225は売り優勢で始まりそう。23000円割れは買い、という何となく言われてきたレンジ感も、現状は機能しないでしょう。強い経済指標をほぼ常に好感してきた米国株が、足元で債券売りとセットで株売りの反応につながるようになったことへの不安は大きいといえます。また、2.6%台で止まると見られていた米長期金利が、2.7%、2.8%と加速的に水準を切り上げています。ここで誰もが意識するのは「3%を超えるかもしれない」ということ。3%超の水準に切り上がったら、株式市場がよりパニック売りの様相に発展する恐れがある・・・この場合、日米金利差で円安(米ドル高)になりそうですが、リスクオフで円高(ドル安)になるのでは?という恐れもある・・・と想像を巡らせると、「だったら今のうちに株を売っておこう」とう結論に達する(機関投資家中心に)可能性もありそうです。

CFTCが公表する投機筋(ヘッジファンド)の先物建玉(1月30日時点)を見ていくと、彼らの思惑通りに事が進んでいるポジションが結構多いことがわかります。対ドルでのユーロの買い建玉は14万8742枚と過去最高で、含み益を積み上げている(成功)ことが想像できます。このポジションがいずれ反対売買されることは、「ユーロ安要因」です。原油ロングも過去最高の73万4558枚で、これも含み益(成功)。このポジションも反対売買されるタイミングでは「原油安要因」になります。

そして、米10年国債。こちらも21万5600枚のショートに傾いているため、同様に含み益(成功)。昨年3月以来となる高水準の米国債売りが溜まっていますが、昨年2月末に40万枚超のショートに傾いていた場面もあり、こちらはまだショート積み増し余地もあるかもしれません。ただ、足元のショートが長期金利3%レベルで目標達成感から買い戻されるかもしれません。こればかりは現時点でわかりません。やはり、長期金利についてはまだ上昇余地があると身構えておくほうが安全でしょう。

投機筋のポジションから見れば、ユーロ買いや原油買いはそろそろ限界とも想像できる一方、米国債にはまだ売り余地がある・・・日経225に対して「今のうちに売っておこう」という相場感を市場に生みやすいと思える所以です。また、投機筋が明らかに成功していないポジションがあります・・・対ドルでの円売りです。昨年10月から円ショートの建玉は10万枚を超え、1月30日時点でも11万4696枚と高水準。このポジションのロスカットは「円高要因」となるため、先週のテーマだった“円高の呪縛”も解けたようで解けてないとも見られます。これも日経225を「今のうちに売っておこう」というインセンティブを生みます。

当面の戦略としては売り、ただし「短期」を前提とします。日経225を取り巻く直接的な需給状況でいえば、先物売りで崩れていること、現物市場でも先週末まで空売り比率が7営業日連続で40%を超えていることから、投機筋の売りで崩れている側面も認められます。そのため、調整幅が大きい分、リターンリバーサルも大きく出やすいといえます。ただ、米長期金利や米国株への不安に端を発した下げですので、東京時間にリターンリバーサルが発生するとは到底思えません。日銀ETF買いの入る東京時間の後場はショートの旨味が小さそうですが、それでも東京時間のショートは有効でしょうか。米金利上昇の一服がリバーサルの号砲になるでしょうから、米国時間の開始前にはショートのポジションは閉じておくほうが賢明でしょう。慎重目線を強め、今週の想定レンジは22200円~23300円に、今後1カ月のレンジを21800円~23800円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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