岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/01/29 14:36米大統領の一般教書演説や日銀会合の結果に注目

日経225 現物指数 終値23631.88円(1月26日)
安値 23592.28円(1月26日)/高値 24129.34円(1月23日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/1/26


(先週の振り返り)

「米ドル安」に弱い日経225・・・先週の日経225の176円安は、円高が嫌気されたとしか言いようがありません。米ドル/円は今年に入ってすでに112円台ミドルスタートから108円台へ、4円以上も円高方向。ただ、先週下げたとはいえ、日経225は今年に入って22764円→23631円と、まだ867円も上がっています。敏感な為替と鈍感な株、円が買われ過ぎているのか、株が買われ過ぎているのか・・・雪は解けても謎は解けません。

前の週末20日より米国の政府機関で一部閉鎖が始まりました。なんとなく様子見、リスクオフの口実になりそうな話題ではありますが、週初22日(月)の日経225の動きを見る限り、市場参加者は意に介していなかったようです。政府閉鎖期間の過去の前例で、日米とも株は上がることが多いと広く伝わっていました。政治ショーの側面もあるため、早く解決するであろうことも予想されていました。そのなかにあって、前週末の米長期金利が2.658%と高止まりしていたことで日本でも金融株が上昇。金融株がサポートする形で前場のTOPIXも0.1%安に留まり、日銀ETF買いは入りませんでした。それでも後場持ち直して、前日比8円高で終了。

そして翌23日(火)、日経225は目が覚めるような大幅高(307円高)になります。まずは寄り付きギャップで100円程度上がってスタート。米国の政府機関閉鎖があっさり3日で解除され、米株が上がり、米ドル/円もやや上昇。リスクオン地合いは日経225も押し上げ、日経225は24000円台を前場段階で奪回します。そして、昼休みには、日銀の金融政策決定会合の結果が判明(展望リポートも出るタイミングだったため、結果判明はいつもより遅めの12時14分)。金融政策は市場予想通り「現状維持」、そして展望リポートではこれまで2回連続で下方修正されていた物価見通しもひさびさ「据え置き」、2018年度の成長率見通しも「据え置き」(コンセンサスでは0.2%程度引き上げ)でした。この結果が出た直後の反応はチグハグ・・・日経225は買われ、債券先物(10年債)も買われ、米ドル/円だけやや下落。それぞれのプレーヤーが違う捉え方をしたのかもしれませんが、この時点では日経225は上がります。とりわけ1月18日に付けた高値を抜けたこともあり、需給的には上がりやすくなっていたのかもしれません。

ただ、この日の終値24000円乗せが先週のピーク。24日(水)、25日と2日続けて大きく調整します。その最大の理由が「円高」、市場で盛んに表現されているほうでいえば「米ドル安」でした。24日に米ドル/円が4カ月ぶりに109円第割れ、これが円高心配に火を付けたのか、円高心配を口実に売り崩そうという思惑に火を付けたのか・・・。12月の日銀短観で、大企業・製造業の2017年度の想定為替レートは110.18円。ここを下回ることが、一つ心理を悪化させる部分ではあります。ただ、それ以上に大きかったのは、日銀会合後の黒田総裁会見を見ても米ドル売りが止まらなかった(=日銀犯人説の否定)ことにもあったように思います。

前日の夕方、黒田日銀総裁が記者会見で「国債買いオペが先行きの政策スタンスを示すことはない」「出口を検討する局面にない」「現時点でETF買い入れを見直す必要はない」などと発言。日銀の早期政策修正という、市場が抱いた懸念の火消しの意味合いがかなり強い会見になりました。直後は米ドル/円も111円台に上昇、為替サイドでも会見自体は円売り材料と見られていたようです。ただ、そこから1円以上も円高に振れたことで、円高要因に対する目が「ユーロ高」にシフト。そのユーロが、執拗に買われる地合いがここから続いたことで、「ユーロ買い」(ユーロ/米ドル上昇)を見て、対米ドルでの「円買い」も同時進行し始めます。ユーロが買われれば、日経225を売る、そんなアルゴでも走っているかのような動きへ。黒田日銀総裁も、記者会見で最近の円高について「ユーロ高・ドル安の波及が大きい」と発言していましたが・・・。

24日の日経225は183円安。この日でいえば、主力輸出株の決算発表トップバッターで知られる安川電機が、好決算ながら典型的な出尽くし売りで4.5%安。これを見て、日本電産やファナックなど決算発表を控える好決算期待株に先回り売りが殺到したことも指数を押し下げました。さらに25日は、前日にダボスでムニューシン米財務長官が「弱いドルは貿易面で米国の利益」と発言。「米ドル売り」の火柱が上がっているところに油が注入された格好となり、米ドル/円は109円割れ。日経225も大幅続落で271円安となりました。両日とも後場には735億円の日銀ETF買いも入りましたが、それを上回る売り圧力がかかっていたことが想像できます。

ECB理事会をターゲットに流行した投機のユーロ買い。そのECB理事会では、金融政策は現状維持、さらに注目されたドラギ総裁の記者会見では、足元のユーロ高をけん制すると見られていましたが、「不確実性の源だ」と指摘した程度。ユーロ買いはさらに加速し、ユーロ/米ドルは1.25ドルを一時突破します。米ドル/円も108.49円まで下落し、夜間に日経225先物は23440円を付けます。前日までの米ドル安のトレンド
を増幅させそうな展開になっていたところで・・・予期せぬ方向から援護射撃も入ります。米トランプ大統領が、ムニューシン発言を「誤って解釈されている」、また「ドルは一段と強くなる」「最終的には強いドルを望む」と米CNBCのインタビューで発言。これをきっかけに為替サイドでリバーサルが進み、週末26日(金)は日経225もリバーサルでスタート。前日に東証1部の空売り比率が41.3%に上がっていたこともあり、ショートカバーも誘発しながら現物市場の開始直後に日経225で23797円まで上昇します。ただ、開始直後でリバーサルも打ち止め。そもそも、発言したのがトランプ大統領であるということ(またコロコロ変わる)、ダボス会議で何を喋り始めるのか不透明であることから・・・為替の戻りも鈍く、日経225も同じでした。様子見ムードで板が薄くなっているところで、元財務官の榊原氏のインタビュー記事(「年末に米ドル/円は100円割れも」)が引き金になったのか、昼休み時間に日経225先物が23550円まで急落するなど不安定な動きに。結局、週末も37円安で3日続落の形で取引を終えました。


(今週の見通し)

円高の呪縛、これが解かれていないなかにあっては、それ以外の好材料だけで日経225が持ち上がるイメージは抱きづらいところ。それ以外の好材料というのは、先週末も最高値を更新した「強い米国株」であり、先週末に発表した好決算で指数押し上げ役になっているファナックや信越化学など「個別株ベースの好決算」しかりです。

先週末にインテルが好決算で10%強の急騰。今週もNYダウをけん引するボーイングやFANGと呼ばれる銘柄群の決算発表が控えます。これらの業績上ブレ、さらには税制改革法案の成立を受けた先行き業績への楽観ムードが上昇の屋台骨であるとしたら、それは多くの日本企業のファンダメンタルズとは関係の無い話です。

日本に目を向ければ、利益規模の大きい輸出関連株にとって、円高は問答無用に逆風。米ドル/円が108円台まで下落するなかにあっても、市場の一部では「企業単位では想定為替レート105円など慎重な企業が多い。まだ大丈夫」なる見方もあります。ただ、投資家は会社予想に対する実績値を見ているわけではありません。アナリストが作る業績予想のコンセンサスと比べる習性があり、アナリスト予想が会社の想定為替レートを用いていない以上、これ以上円高が進むならコンセンサスが切り下がることも(長い目でみれば)予想されます。

今週も国内では東京エレクトロン(30日)、任天堂(31日)、ソニー、ホンダ、三菱UFJ(2日)など主力企業の決算発表が相次ぎます。あくまで今回の決算発表は3Qであって、円高が業績の重石になり、来期のコンセンサス切り下げにつながるとは別の話。この3Q発表や18年3月期(今期)の業績修正だけに一喜一憂する決算プレーには付き合う必要がないといえそうです。

日経225という指数でいえば、今週も米ドルの動きに作用しそうなイベントのほうが重要でしょう。雇用統計など毎月モノの経済指標はイベント重要度としては低そう。それよりは、米国で30日にトランプ大統領の初となる一般教書演説が気になるところ。足元で保護主義的な発言を抑えているトランプ大統領が、どういったトーンで演説をするのか。あとは、国内で31日の朝に公表される、先週の日銀会合の「主な意見」も注目。12月会合のとき、日銀によるETF買いに対して検証する必要があるという意見が出ました。この委員の意見を黒田総裁は会見の場では「ごく一部」と一蹴していましたが、どういった意見になっているのか次第では市場に思惑も生みそうです。

需給面では、個人が押し目買いを入れる形跡を残している点が気になるところ。日経225が大幅安となった25日(木)、この日の前場に大手ネット証券の売買代金で「レバETF」の買い越し額が85億円にのぼっていました。「少し下げても個人が押し目買いを入れるから大丈夫」的な楽観的解釈もされそうですが、そうでしょうか・・・。やはりこれまでの日経225の上昇局面は、「外国人買い/個人売り」の構図で作られたのであって、押し目で個人の買いポジションが作られていくことが必ずしも日経225の上昇につながるとは言えません。慎重目線は継続し、今週の想定レンジは23400円~24000円に、今後1カ月のレンジを23000円~24300円とします。

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