岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/11/06 14:23日銀のETF買いは止まらない?

日経225 現物指数 終値22539.12円(11月2日)
安値 21840.07円(10月31日)/高値 22540.25円(11月2日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/11/2

(先週の振り返り)

634円高→386円高→59円高→334円高→464円高→302円高→550円高→530円高で、2万2500円台に乗せた日経225。先週で8週連続高を達成し、トランプラリー(16年11月第1週~12月第3週)の7週連続高を超えました。8週連続高は、過去10年でも2番目の持続記録(最長はアベノミクスが始まった12年11月第1週~13年1月第5週の12週連続高)。「吾輩はラリーである、名前はまだ無い」状態が続きます・・・。

16連騰の起点となった10月以降。その第1週から第4週まで、週間安値は週初に付けていましたが、先週は31日(火)が週間安値でした。一旦、この上昇相場も止まったかに見せたのが、30日(月)と31日(火)の午前中まで。節目の2万2000円を超えた直後ということもあり、新規で日経225売りの形でエントリーした投資家も多かったようです。ただ・・・そこで作られた売りも、週後半高につながるラリーの養分になってしまった、そんな1週間でした。


前の週の週末に、米国株市場でハイテク株が急上昇。ナスダック総合指数が今年1番の上昇率となる2.2%高になりました。なかでも、好決算を発表したアマゾンドットコムが13%高と、日本円で時価総額60兆円規模の株としては異様なほどの上昇率を記録します。フェイスブックやアップル、アルファベットなどいわゆる“FAANG”と呼ばれるハイテク株が軒並み大幅高。静かに上げていた米国株に"過熱“の影を見た週明けの日本市場では、「冷静になったほうがいいかもしれない」という声が聞こえ始めていました。週明け30日(月)は、朝高後にマイナスに転じ、TOPIXは前場0.2%の下落で終えます。それでも後場はジワジワと下げ幅を縮めます。ここで登場したのが、1カ月ぶりとなる日銀砲でした。10月最初の日銀砲、1回当たりの買付額は709億円。日経225が2万2000円台にあるなかでの初の買入れでもあり、改めて「日経225の値段に関係なく、前場下げてれば買う」という姿勢を示しました。なお、この日の東証1部の売買代金は4兆円を超えています。これは、大引けでTOPIXの浮動株比率の調整に伴うリバランスがあったため。

怒涛の10月相場のラストとなる31日(火)。この日は日経225に、ソフトバンク発の下げ要素がありました。スプリントとTモバイルUSの経営統合の協議が頓挫したとの報道で、ソフトバンクが大幅安(この1銘柄だけで、前場の日経225を56円押し下げ)。夜間の下落にもサヤ寄せする格好で、寄り付きから100円以上のギャップダウンで始まりました。寄り付きで100円以上のギャップダウンとなったのは8月29日以来、2カ月ぶりのことです。ただ、TOPIXが前場0.41%安と程良い下げだったこともあり、2日連続の日銀砲は確定的に。これが後場の支えになったのは間違いないでしょう。また、12時過ぎに日銀の金融政策決定会合の結果が現状維持で出ました。日銀ETF買い含めて大規模緩和の現状維持が決定。また、前回に続いて片岡委員が反対票を投じ、今回は「15年物国債金利が0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当である」なる具体的な意見まで記載されていました。15年金利をターゲットにしたら物価に影響を与えられる根拠はあるのか?など疑問はあるものの、米ドル/円、日経225とも発表後から少し持ち直し、一方で金利に下押し圧力の思惑から銀行株は軟調。終盤に向けて下げ幅を縮め、ほぼ変わらずで月末を終えました。

月替わりの11月1日(水)は、まさかの408円高に。記録ずくめの10月相場を終え、多くの市場参加者が心機一転、11月相場のストラテジーを考えようとしていた矢先に一番上がった、という感じでした。日経225採用の主力銘柄で東京エレクトロン、日東電工、ソニーなどが上方修正で大幅高した好影響はあったものの、その分は合算しても100円強。それ以外の300円分の上げが何か?となると、かなりの部分がショートカバーだと想像されます。2万2000円レベルで作られた新規売りの踏み、我慢して引っ張っていた日経レバレッジETFの空売り分も「日経レバETF初の2万円超え」とともにギブアップの買い戻しが殺到した様子。まさに、売り方の阿鼻叫喚で実現した上昇と思います。ただ、買い戻しを誘発したのも上値で誰かが買ったからです。その買いがなぜ入ったか?については、後述します。

週末2日(木)も、夜間に上昇していたこともあって朝イチで90円程度のギャップアップでスタート。寄り付き後に崩れてマイナスに転じる場面もありながら、それでも一番動かすのが難しい日本最大銘柄のトヨタがやっと年初来高値を更新したり、連日でソニーが上昇して5000円台を回復したり・・・「外国人買いが入らないと上がらないだろう?」と思われる大型株の強い動きを見て、指数も盛り返した感じに見えました。三連休前ということもあり「利益確定売りに押されそう」とよく言われますが、今の相場で連休前にポジションを落としたいのは、損失が膨らんだ売りポジションを抱えた投資家のほうですよね。こういう状態の週末は、「損失確定の買い戻し」が入りやすい・・・実際、10月以降の上昇局面では週末全てで東京時間に上昇しています。この日も結局ほぼ高値引け。8週連続高の前に19274円だった日経225は、8週連続高を経て22539円に様変わりしています。8週前にこの値段をイメージしていた投資家は日本広しといえど、ほぼ皆無でしょう。


(今週の見通し)

先週のコラムでそろそろ上昇がストップすることを前提としましたが、止まりませんでした(申し訳ありません)。ただ、引き続き、ここからのアップサイドを狙うことはリスクとリターンが見合わないと考えています。一方で、これも前週と引き続き、日経225を安易にショートでエントリーするのは厳禁。思惑通りに下がらない需給構造が完全に仕上がっており、新たな買いカタリストが見えるまではニュートラル(様子見)が賢明でしょう。

先週の大幅高については、前述のような新規のショートポジションの短期買い戻しに加え、31日の日銀会合が大きなカタリストになりました。先週、週初(30日)に一度上昇にブレーキがかかりました。これは、米国でロシアゲート問題が蒸し返されたこと、また米国株ラリーの最大の要因になっている法人税改革について「下院で5年間かけて段階的に3%ずつ20%まで下げる案」の浮上によりトーンダウンしたことが理由です。この日、東証1部の空売り比率もひさびさ44%と高水準に上がっていました。そこで作られたショートが、31日の日銀会合後にかなり買い戻され、それを養分に上値を切り上げた側面が大きいといえます。

その日銀会合のポイントは、黒田総裁の記者会見にありました。今回の株関係者の焦点は「ETF買いを今後どうするのか?」といったところにありました。記者からの質問にも「年間6兆円の枠を守るのか?」「ETF買いが一方的な株高の背景にあるのではないか?」といった趣旨のものがありました。黒田日銀総裁は、年間6兆円の1年の区切りもうやむや(1年の終わりが年末12月末なのか、年度末3月末なのか)、年間6兆円の枠についても「約6兆円」とうやむやに回答。ただ、ETF買いが株高の背景にあるのではないか?という質問を真っ向否定。ETF買いの目的について、こう答えました。

「あくまでもリスクプレミアムに働きかけるという趣旨に沿って買い入れを進めていく」

このコメントで、日銀ETF買いの出口は遠い先であることをプレーヤーが確信したのだと思われます。だからこそ、会見が終わったあとの日経225先物夜間取引で大幅上昇し、会見翌日11月1日に10月以降で最大の上昇幅408円を記録したのです。なぜ、この発言で、出口論が遠のいたのか・・・それは、「リスクプレミアムに働きかける」とはどういう意味か?を考えると理解できます。国債の買い入れ(YCC)は、金利にターゲットを設けて行っている政策です。一方でETF買いは、これといったターゲット(例えば日経225がいくらになるまで買う、といった目標)を設けていないということを総裁自ら断言したわけです。YCCとは意味が違う。


その目的とするリスクプレミアムというのは、「株の期待収益率-国債の金利」。今国債の金利はほぼゼロのため、「リスクプレミアム=株の期待収益率」という意味です。株の期待収益率に働きかけるというのは、噛み砕いて表現するなら、「株のリターンに期待できる、だから株を買いたい」というマインドを生み出すという意味です。さらに、なぜETF買いをやっているかといえば、その最大目的は「2%の物価安定目標」を達成するため。物価上昇につなげるためには、日本国民、つまりは日本の個人投資家にそうしたマインドを生み出さないと意味がありません。今、外国人の日本株買いに対し、一手に売りで応じているのは日本の個人投資家ですよね。現時点でのマインドはまったく逆、「株を売りたい」です。日本の個人投資家が十分に株を買い越すといったデータが出るまで、この政策は止められないということです。

実際、記者会見を受け、ゴールドマン・サックスは顧客向けレポートで「黒田総裁は事実上を出口論を封印した」と書いています。ETF買いについても「買入れ方針調整は、来年4月の次期総裁になるまで先送られる」と指摘。これが先週の一段高のカタリストだったことをお分かりいただけましたでしょうか?

外国人買いが続いていて、少し緩んでも日本株最大の買い手であるETF買いが食い止める構図はブレません。また、先週懸念がよぎった米ハイテク株の急ピッチの上昇についても、先週末2日の引け後に時価総額最大のアップルが決算を発表。翌3日に2.6%高で上場来高値を更新してしまったことで、その心配は杞憂に終わったことも確認されました。まだ米国株が逆流することで歯車が狂うというタイミングでもありません。先週、レンジ上限を超えて着地したこともあり、想定レンジは再度引き上げます。今週の想定レンジは22200円~22800円、今後1カ月のレンジを21900円~23000円に引き上げます。

なお、来週のコラムにつきましては、1週お休みとさせていただきます。よろしくお願いいたします。


(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ