岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/10/02 13:44買い戻しとは別の新規の買いが入ってくるかどうかが焦点に

日経225 現物指数 終値 20356.28円(9月29日)
安値 20213.66円(9月27日)/高値 20454.29円(9月25日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/9/29


(先週の振り返り)

週初25日(月)は大幅反発でスタート(寄り付きギャップは+143円)。 「選挙は買い」の号令のもと、前の週に生まれた日本株独自の買いカタリストが機能します(この日の午後6時に安倍首相が記者会見を開き、解散を正式表明する予定だったため)。朝早くに20454円の高値を付けると、その後は上げ幅を縮めましたが・・・急きょ決まったのが、午後2時半頃からの小池東京都知事の記者会見。ここで「希望の党」という新党の立ち上げを発表すると日経225もジリ高に(小池新党の立ち上げを買い手掛かりにしたとは思えませんが・・・)。

9月配当の権利付最終売買日となる26日(火)は、小幅ながら反落。北朝鮮の外相がトランプ大統領の発言に対し「宣戦布告だ」と声明を発表。これが地政学リスクの上昇要因で米国株が下げた理由との解説が目立ちましたが・・・米国の防衛関連株は下落しており、実際のところは微妙。それよりも、iPhoneの新作発表後に株価が軟化しているアップルなど、米国の大型ハイテク株の大幅下落が原因。それを日本も不安視したことが、日本のハイテク株が連れ安したことに表れていたといえます。

ただ、この日は9月配当の権利付最終売買日。年に2度、確実に入る「配当の再投資」が想定されます。配当込みTOPIXをベンチマークにするGPIFなど年金運用者を中心に、3月と9月の権利付最終売買日の大引けで「TOPIX先物」を大量に買います。これは、配当金は権利が落ちてから実際に振り込まれる(11月末辺り)まで2カ月以上のタイムラグがあるため。配当込みTOPIXに連動させたいのに、配当が振り込まれるまで、手持ちのポートフォリオの権利落ちした価格ベースでは中間配当の利回り分(約0.8%)価格差が生じてしまいます。これを防ぐため、実際の配当が振り込まれるまでは一時的にTOPIX先物を配当利回り分(約0.8%)買う(例えば1000億円運用している投資家なら8億円)ことで埋め合わせるという事務作業をします。これが、権利付最終売買日の現物の大引け15時近辺で集中砲火的に入るというのが通例です。

実際、この日のTOPIX先物の手口を確認すると、野村證券が差引7267枚という大幅買い越しになっていました。野村證券を経由して、配当再投資の注文が大きく入っていたことを表しています。ただ、その割にこの日の午後はTOPIXも日経225も上昇が弱かったといえます。その理由は、この買い需給を見越して、事前にTOPIX先物ロングなどのポジションを作っていたプレーヤーが多かったため。野村の7267枚買い越しに対し、例えばモルガンスタンレーは6130枚の売り越しとなっており、引けで確実に入る買いに、手前で作ったロングを売りでぶつけるといった動きが上値を押さえたものと想像できます。

翌27日(水)は権利落ち日。日経225で配当落ち分は130円程度で、理屈上はその分下がるのですが、この日は前日比63円安で終えました。心配された米ハイテク株がリバウンドしたことを受け、前日に下げていた株のリバーサル発生が寄り付きの好材料。結果的に、配当落ち分ほど下げていないわけで、実質的には上昇デーになりました。この日は配当落ち分もあって前場のTOPIXは0.57%下げたのですが、それでも日銀は機械的なレートチェックでETF買いを発動。これも底堅い推移の背景にあったといえます。

28日(木)も良好な外部環境のおかげで反発スタート(寄り付きギャップは+131円)。12月の利上げ確率上昇が米ドル買い要因にあるうえ、トランプ政権と共和党の議会指導部が公表した税制改革案(法人税率は現行の35%→20%、レパトリ減税の実施など)を好感し、米ドル/円が113円台に上昇。税制改革への期待がダイレクトに反映されるナスダック総合指数が大きく上昇したことも強材料に。ただ、ギャップアップした分でこの日の上昇は終了。指数が上昇しながらも、日経平均VIも上昇(20000円や19750円など今の値段より下の行使価格のプットが値上がり)しており、この日の正午に衆議院を解散しましたが、新党「希望の党」に民進党も合流する案が浮上するなど、選挙への不透明感が少しダウンサイドへの備えにつながったように思います。

円安の一服もあり、9月の月末で週末の29日(金)は小幅安でスタート。需給要因でいえば、この日は日経225の銘柄入れ替えに伴うリバランスが日経225の重石になることが想定されていました。10月2日より日経225に新規採用されるのがリクルートと日本郵政。一方で、除外されるのが明電舎と北越紀州製紙。ただ、除外する2銘柄を売却した資金だけでは、リクルートと日本郵政を必要分買えないため、その他の日経225構成銘柄を売却することで埋め合わせなくてはなりません(=日経225売り需要)。そのリバランスを行うのは日経225に連動させるパッシブファンドですが、日経225は主にETF。ETFだけで推定1400億円程度の日経225売り要因、その他のインデックスファンドも含めれば推定2000億円程度の売り要因と見られていました。ただ、これをあまりに多くのプレーヤーが意識していたためか、弱かったのは前場だけで後場は想像以上に強含む展開に。とりわけ、前場にTOPIXが0.32%と程良く下げていたこともあり、この日も日銀ETF買いが発動。想定外との陽線(始値<終値)で終えました。


(今週の見通し)

先週は週間で59円上昇、これで3週連続の上昇になりました。9月第2週が634円高、第3週が386円高、そして先週が59円高。勢いは弱っているとはいえ、先週は9月の配当130円程度が落ちていることも考慮すれば堅調さを維持した週といえます。ちなみに、配当権利落ち日から9月月末最終日までの3営業日の日経225はプラスでした。配当権利落ち分をすぐに全部埋めたことを意味しますが、この現象が起きたのもアベノミクス相場が始まった2012年以降では初めてです。

2週間で1000円以上も値上がりした9月第2週~第3週。この間の外国人の売買動向は圧巻でした。前週コラムにも書いたように、9月第2週に先物を日経225とTOPIX合わせて1兆2476億円買い越していた外国人。ただ、この週も現物は8週連続売り越しでした(=「先物の買い戻し」がリバーサルの理由)。そして先週公表された9月第3週分。この週も現物は9週連続で売り越しでしたが、先物を9177億円とまたしても大幅買い越し。つまり、1000円幅で上がったこの2週で、外国人は2兆円強も先物を買い越していたわけです(そりゃ上がるわけですね)。

そして、その先物は手前(5月以降)大幅売り越しでしたので、やはり「先物買い戻し」の短期間での急速執行が9月後半のリバーサル相場へと導いた原動力といえるわけです。外国人が「現物は売り越し/先物は買い越し」の形をとることは多いですが、それでも買い越しのほうの先物を5000億円以上買い越すというのは過去10年で6回しかありません。その6回のうち2回が9月第2週、第3週であったということ。さらには、その6回のうち先物買い越し額が最も大きいのが9月第2週、次に大きいのが9月第3週であったということ。前代未聞の先物買い戻しが入った相場といっても大袈裟では無さそうです。

北朝鮮リスクの後退などで買い戻しが進みましたが・・・ここからの焦点は、買い戻しとは別の新規の買いが入ってくるかどうかになります。その意味では、足元で日本独自のカタリストになっている選挙には注目されます。希望の党の登場により、政界再編まで進み、市場にとっては一種の不透明要因になっている様子もあります。無党派層の受け皿になりそうな希望の党。与党の自民党が議席数を減らし、これが日本株のネガティブ要因になるという声もあります。短期筋にとっては、世論調査などをトレードの口実にするかもしれません。ただ、個人的には、そもそも日本人の多くが日本の政治家に期待しているわけでもなければ、今の日本株高の理由を市場参加者はアベノミクスだと思っているわけでもないような気がします。現行の日銀の金融政策が継続されるのであれば基調に変化ナシ。連立与党の勝利を過半数の議席確保とすれば、世論調査もその程度の票が見込める程度の支持さえあれば大勢に影響ナシ。それより、過去の衆院選挙と日経225の関係性である「解散日から選挙日は上がる」という実績だけに基づき、日経225ロングのポジションをとる海外勢が優勢のような気もします。

そうしたリスクテイクの姿勢をとるうえで、無視できないのが海外株の動向。その点でいえば、先週末にナスダック総合指数やラッセル2000など現地のハイテク株や内需の中小型株が最高値を再び付けていることは追い風になりそうです。その手掛かりとなったのがトランプ政権の税制改革案でしたね。こちらについては、議会審議の先行きが不透明なため、実現しないのでは?という解釈に傾くようなニュースには注意でしょうか。今週は予定的にはエアポケットに入る週。衆院選の公示は来週ですし、中国も連休。ISMや雇用統計など米経済指標に注目される程度ですが、今の日経225にとってトレンドを決めるような重要イベントとは到底思えません。今週の想定レンジは20100円~20700円、今後1カ月のレンジを19900円~21000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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