岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/09/19 12:41日経225はアップサイドリスク拡大!?

日経225 現物指数 終値 19909.50円(9月15日)
安値 19437.14円(9月11日)/高値 19933.40円(9月15日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/9/15
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 先週のレポートで想定レンジ上限を19700円にしていましたが、大ハズレでした…。週明け何も無ければリバウンド、はコンセンサスではありましたが、想像をかなり超えていました。そして、やっぱり下げない日経225を再確認させられた週にもなりました。週間の上昇幅634円は、今年最大。今年1番上がった先週の動きを振り返ります。

リバーサルウィークの幕開けとなる11日(月)、日経225は166円高とギャップアップで始まります。警戒された北朝鮮の建国記念日である9日(土)に挑発行為が行われなかったことで、北朝鮮リスクへの警戒はひとまず後退。また、前週末まで一番の米ドル売り要因になっていた大型ハリケーン「イルマ」ですが、前週末時点でカテゴリー5を保っているといわれていましたが、上陸した段階では上から4番目のカテゴリー2まで勢力が低下。この2つが大きな買い戻し要因になりました。とくに「イルマ」の被害が想定より小さかったことで、夜の米国株市場で保険株(トラベラーズなど)の買い戻しに拍車がかかりそうだとか、売り地合いが続いた米ドルの買い戻しも進みそうだとか、想像しながら先回ったプレーヤーも多かったようです。ただ、北朝鮮が前週に行った核実験に対し、安保理による追加制裁の決議案の採決が控えてもいました。北朝鮮リスクに関しては何となく燻ったままで、日経225も19500円台に回復した程度で取引を終了。リバーサル1日目の上げ幅は前日比270円でした。なお、この日の先物手口はまさに先物買い戻しといった形。8月前半に売り越しで目立っていたクレディスイスが日経225先物を1605枚、TOPIX先物を950枚ともに買い越し。そのほか、モルガンスタンレーが日経225先物を2692枚の大幅買い越しでした。

 12日(火)は、前日夜のNY市場でNYダウが259ドル高、S&P500は最高値を更新するなど、期待通り(期待以上?)のリスクオンに。アップルの新製品発表会を前に、アップル株が1.8%高と大きく上昇したことも寄与しました。米ドルが買い戻され、米長期金利も2.131%に上昇。また、日本時間早朝、国連安保理の北朝鮮に対する追加制裁案が決議。「原油の禁輸」「北正恩の個人資産凍結」といった事前に米国が求めていた内容が抜け落ち、ロシアや中国に配慮した案になったことも安心材料になります。日本株はリバーサル2日目に突入、売られてきた業種(金融株などバリュー株)中心に強い動きに。この日の東証1部の空売り比率は37.4%に低下していました。ちょうど1週間前の5日が45.2%と非常に高かったことを踏まえれば、この時に作られたショートポジションのカバーが進んだことも想像できます。また先物手口では、モルガンスタンレーがTOPIX先物を2825枚の大幅買い越しに。12日の日経225は前日比230円高で、週初2日でジャスト500円の大幅上昇・・・自分が知る限り、この水準までの戻りを想定していたプレーヤーは事前にはいなかったです。

 翌13日(水)も89円高で3日続伸。海外投資家のリスクテイク姿勢回復の流れを受け、日経225も続伸でスタート。この日の朝、北朝鮮の外務省が安保理での制裁決議に対し「全面的に排撃」などと強い表現で反発していました。また、午前11時過ぎに北朝鮮分析サイトの「38ノース」が「将来の核実験を準備か」などと報じていましたが、さすがにこの手の材料を手掛かりに売り仕掛ける投機筋もいなくなっており響かず。直近3日で大きく戻したこともあり、翌14日(木)は58円安に。この日も北朝鮮関連の話題では、北朝鮮が日本を制裁に便乗したとして「日本列島を核で海に沈める」と非難していた程度でしょうか。ただ、この日はひさびさに日本の防衛関連株が大きく上昇していた点が少々不気味、といった程度・・・。

 週末15日(金)、またしても(早朝7時過ぎ)Jアラートが発動。直後に米ドル/円が109円57銭まで下落するなど、初期反応はリスク回避的になりました。ただ、この動きも短時間で収束。良いことか悪いことかはわかりませんが、日本上空を超える北朝鮮のミサイル発射にもマーケットは耐性を付けているようで・・・。朝少し安く始まった日経225もすぐにプラス転換。結局、週末も102円高で、リバーサル週のラストを週末高値で締めくくりました。北朝鮮のミサイル発射があっても上昇・・・これ、ミサイル発射が無かったらもっと上がっていたということでしょうか。

(今週の見通し)

 三連休前の15日夜も日経225先物は上昇。CMEの日経225先物は19990円で終えており、9月末の配当分(約134円)先物が安いことを考慮すれば、現物の日経225は20100円辺りで始まります。19200円台まで落ち込んだ日経225も、先週の怒涛のリバウンド一発で7月末まで続いたレンジに逆戻りしました。ここからの上値を買う人は少ない(これまで作られたショートポジションの買い戻しの残り分程度)ですが、一方で安いところから下値を売りたたく短期筋も消えました。閑散に売り無し状態ですので、完全にヨコヨコのカニさん歩きをしていた7月末までの相場に性質的にも戻りましたね。

 下げて戻す・・・下げた理由も戻した理由も、米国株が下げたから、米国株が戻したからで今回も説明が付いたといえるのではないでしょうか。その米国株に対する不安心理を示すVIXは、1カ月前の8月11日に17%台まで上がりましたが、先週10%台まで低下。VIXにアップダウンはあったのですが、VIXのアップダウンはオプションを売買する投資家の投資行動で生じます。一方で、現物株の参加者の投資行動を示すNYSEの売買高。こちらを見ると、この1カ月間、1度も10億株すら上回っていませんでした。ここから、今回の下落も上昇も、先物やオプションなど仮需の力で生じていたに過ぎないことが断定できます。下がるときに手持ち株を狼狽売りする投資家が少なかったし、戻すときに追随買いする投資家も少なかったということ。北朝鮮、ハリケーンなどの地政学リスクでは、株の売却に急ぐ投資家が米国には極めて少ないということが今回の教訓だったといえそうです(日本などの市場関係者は騒ぎましたが)。

 これは日本でも同様です。北朝鮮リスクなどを口実に売りで攻めた投機筋が下げを演出し、それら投資家の買い戻しが強烈な戻しを演出した・・・実情はそれだけといえます。仮需の売りである空売り比率はやはり今回も45%台などわかりやすい高水準まで上がり、それが平常水準に先週戻していました。8月9日に両先物を大幅売り越しで話題になっていたクレディスイスは、先週大きめに買い戻した形跡を手口で示していました(約1カ月引っ張ったポジションの手仕舞い?)。

 下げて戻す・・・そのなかでも、この投資家の存在を忘れてはいけませんね、我らが(?)日銀。大きく下げている日は、マインドが急に冷え、弱気ネタ探しみたいになります。そんな日が増えたことでやや空気化していた日銀のETF買い。これが今回も、下値支持として絶大な効力を示していたことは後になってわかるものです。下げ相場を主導した外国人が売り越し基調になったのは5月第3週から。ここから9月第1週まで17週で日本株を2兆3425億円売り越し(現物6487億円売り越し、先物1兆6938億円売り越し→圧倒的に先物売り)でした。これは凄まじい金額です。

 ただ、5月第3週に入る直前、5月12日の日経225の終値は19883円なんです。で、先週はきっと外国人が大幅買い越しでしょうが、先週末の日経225の終値は19909円。2兆円超える外国人売りシーズンを耐え、先週の強烈買い戻しが一巡すると、少しですが「上昇」しているのです。これは需給分析をしている投資家からすれば驚きの結果といえます。じゃ、誰が外国人売りを吸収していたか?といえば、日銀の一手買い状態。同じ期間のETF買い入れ累計額は2兆612億円でした。外国人がめちゃくちゃ売っても大きく下げない・・・これを実証した形で、これは積極的に日本株ショートで向かっていた投機筋も痛感したことでしょう。日銀と勝負しても分が悪いだけだと・・・。

今週は想定レンジを引き上げます。短期的には、週末に各メディアが一斉に報じた衆議院の解散総選挙の可能性、これが日本株にポジティブに働くことを想定。選挙の争点は外交・安全保障で、経済ファーストではないようです。しかも、教育無償化の財源に充てるだとかで、19年10月予定の消費増税の可能性が高くなったそうです。確実にその先の家計消費は落ちますよね。前回8%に上げた後の教訓が何も活かされてない・・・。しかもその頃まで、今の日銀の金融政策が維持されているかも不明。2年程度先の未来がますます暗くなる話で、解散総選挙を好感して日本株が買われるというロジックは日本人には理解しにくいところです。ただし、わざわざ日本株を買う理由の無かった外国人投資家が、解散総選挙といった日本固有の手掛かりを理由に買い向かうことも過去多くあった事例。至近距離の未来でいえば、日経225が思った以上に上がる(アップサイド)リスクのほうが下がるリスクより大きくなったといえます。今週の想定レンジを19900円~20500円、今後1カ月のレンジを19500円~21000円にそれぞれ引き上げます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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