岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/09/11 14:27不透明要因がある中、買いでリスクをとる意味は?

日経225 現物指数 終値 19274.82円(9月8日)
安値 19239.52円(9月8日)/高値 19628.40円(9月4日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/9/8


(先週の振り返り)

北朝鮮リスク上昇に始まり、北朝鮮リスク警戒で終わった1週間でした。前週末3日(日)、北朝鮮が昨年9月以来となる「核実験」を実施。これを受けた直後の反応は、4日(月)早朝のCME日経225先物で安値19440円でした。ただ、この手の北朝鮮リスク浮上で「下げたところは買い」がこれまで続いていました。このパターンをイメージして動いたプレーヤーが多かったのか、大証の日経225先物は19600円とCMEより高くスタート。これが裏目に出た投資家が多く、前例と異なり、この週の寄り付きをピークに下げ続けたのが先週。週間でも416円と大きな調整になりました。

核実験に対し、直後にトランプ米大統領も「米国は北朝鮮とビジネスをしている国との間で全ての貿易を止める他の選択肢を検討している」とツイート。トランプ大統領がハリケーン「ハービー」の犠牲者などに祈りを捧げる「国民の日」と指定したちょうどその日の挑発行為を、これまでになく厳しく批判していました。4日の東京市場は終日リスクオフムードになったのですが、実際のところ商いは閑散(東証1部の売買代金は1.7兆円)。その夜がレイバーデーで米国休場ということもあり、どう動くべきか判断できないプレーヤーが手を引いていた格好でした。そのなかで、GLOBEXの米株指数先物が下げていたこともあり、日経225も先物中心に売られ、崩されたといえます。また、東京市場が終わる15時付近で、聯合ニュースが「北朝鮮で弾道ミサイル発射の動き ICBM級の可能性」と報道。日銀ETF買いが入りながらも、後場に指数を持ち上げるにはい
たりませんでした。

5日(火)も同様。少し反発で始まるも、前日夜の米国市場が休場だったこともあり、何を判断基準にすればいいかわからないといった雰囲気。この日から、日本の超小型株の防衛関連株(石川製作所、細谷火工など)をバロメーターにして、投資家が感じている北朝鮮リスクを推しはかるという、理屈的にはよくわからない動きが目立ち始めます。この影響を、この日もろに受けたのが個人投資家メインで作られる市場(東証マザーズなど新興株や、東証1部の小型株など)。日経225などは午後に入った日銀ETF買いに幾分支えられましたが、東証マザーズ指数の急落などで個人投資家の心理が一気に冷え込みました。

一旦底入れしたのは、6日(水)。レイバーデー明けの米国株市場で、NYダウが234ドル安とひさびさの大幅安に。ただ、この日米国市場でリスクオフ要因になったのは、北朝鮮の核実験というわけでもなかったようで・・・。現地の報道を見ると、一番の理由は週末にかけ、新しい大型ハリケーン「イルマ」がフロリダに向かっていることへの警戒。そして、ブレイナードFRB理事が講演で「(2%の物価上昇率達成に向けて)確信が持てるまで追加利上げには慎重になるべき」と発言したことでした。この発言を受け、米長期金利が2.06%に低下。米金融株が大きく下げたことが米国株安の主因だったわけです。また、NYダウ構成銘柄の中で、軍需関連株でもあるユナイテッド・テクノロジーズが5.6%安で最大の指数押し下げ役に。大型買収の発表が嫌気されたといわれていますが、北朝鮮リスクが警戒されていれば、こういった反応にはなり得ないでしょう。この日は午前中にTOPIXが程よく下げていたこともあり、3日連続となる日銀ETF買い発動も手伝って日経225は下げ幅縮小。

翌7日(木)は、前日の米国市場でリスクオフが一服(米長期金利、米ドルがやや上昇し、米国株が小幅ながら反発)したことを日経225も好感します。米国の債務上限引き上げについて、ハリケーン「ハービー」の被害救済法案との抱き合わせということで、トランプ大統領と議会指導部が3カ月延長で合意したと報じられたことが理由。かなりの急展開でしたが、日経225のプレーヤーはこの問題をリスクオフ要因とはほとんど見ていなかった・・・だからこそ、東京時間中は北朝鮮関連のヘッドラインだけで円高に振れ、日経225も上げ幅を縮小。前場プラスにより、日銀ETF買いが入らないことも後場が弱かった理由でした。

7日のECB理事会では政策金利が据え置かれましたが、その後にドラギ総裁が会見で次回10月会合で量的緩和の縮小(テーパリング)を決める可能性を示唆。騒ぐほどのことでもなかったように思われますが、ユーロが対ドルで大きく上昇したほか、円も対ドルで上昇。ドル売り地合いにあることを再確認させられるばかりです。その理由は、週末にもフロリダに上陸するという超大型ハリケーン「イルマ」への警戒で説明されていましたね。そこに円買いも混在したのは、北朝鮮リスクと、あとは太陽フレアの影響という声も・・・。8日(金)は19300円割れで始まると、米ドル/円が108円スレスレまで下落するなか下げ幅を拡大しました。なお、この日は9月限SQ。SQ値は19278.30円(前日比118.39円安)で、SQに関連する日経225型の売買は市場推定では265億円の売り越しだったようです。日経225型のSQ注文が売り越しだったのは6カ月ぶり。

(今週の見通し)

北朝鮮の建国記念日である9日はミサイルの発射は観測されず、事前にこれを警戒して作られたリスクオフの短期ポジションは巻き戻されることになります。また、「イルマ」についても同様です。先週8日時点では

最大級のカテゴリー5に発達したまま勢力を保っているといわれていました。観測通り10日朝にフロリダに上陸したものの、勢力は5段階で下から2番目のカテゴリー2に衰えたと報じられています。当初イルマによる被害額が日本円で20兆円を超える可能性があるとも試算されていましたが、勢力が弱まったことで実際は引き下げられる公算が大きいとのこと。事前に売られていたトラベラーズなど米保険株には買い戻しが強まるでしょうし、米ドル売りの買い戻しも進む公算が大きいといえます。

北朝鮮、ハリケーン「イルマ」など、人為的にどうにかなるものではない地政学リスクが意識され、先週末9日(土)の早朝5時半に取引を終えた夜間の日経225先物の終値は19170円。それが、前述の通り、悪いほうに事態がひとまず振れなかったこともあって、11日(月)早朝のCMEの日経225先物は170円ほど上昇しています。メインの大証の日経225先物も買い戻し優勢で、とりあえずリバーサルから入りそうです。ちなみに、中心限月は先週末がSQでしたので、12月限に切り替わっています。12月限の日経225先物には9月の期末配当分(主に3月決算企業の中間配当分)「約134円」が含まれていません。そのため、9月27日の配当権利落ちまで、日経225は現物が先物より130円程度高いという前提で見るようにしてください。

話は全て現物の日経225ベースで進めます。その日経225ですが、当初は、戻り売りのメドは20000円だったように思います。節目の2万円を超えたら買う人がいなくなる、これが上値抵抗でした。ただ、その目線が明らかに下がったのが今月1日(金)。“月の中で一番強い”とされる月初、この日19700円台で強くぶつかりながら、そこをピークに上げ幅を縮小。ここからあっさり先週の19300円割れまで押し込まれた(先週は5営業日のうち日銀ETF買いが4日も入りながら)わけで、今週の週初のようなリバウンドで高くなったところから上値は買うメリットがほとんど無いといえます(アップサイドが小さく、ダウンサイドリスクはそこそこあるため)。無駄に戻そうとする力はかかっているため、利食い売り圧力が強まる水準も20000円より下に切り下がっていったともいえます。

そもそも、とりあえず北朝鮮リスクが後退とはいえ、太陽フレアによる電波障害を警戒してミサイル発射を見送るという報道は先週8日時点で流れていました。またミサイルを発射するかもしれない・・・それ自体、日経225が抱えている今のリスクなわけですから、買いでリスクをとる意味があまり見えません。先日の核実験に対し、国連安全保障理事会が11日に追加制裁の決議案の採決をします。中国、ロシアが合意する可能性も低そうですが、これも不透明要因。北朝鮮外務省が国営メディアを通じて声明を発表、「制裁決議を仕立て上げた場合、それにふさわしい代価を支払わせる」と報じられています。何が起きるかわからない段階で事前にポジションをとる必要は無いでしょう。今週も想定レンジ19300円~19700円、今後1カ月のレンジ19100円~20000円とも据え置きます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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