岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/09/04 14:38米国株反転上昇につられて買い戻された日経225

日経225 現物指数 終値 19691.47円(9月1日)
安値 19280.02円(8月29日)/高値 19735.96円(9月1日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/9/1


(先週の振り返り)

前週コラムで19300円~19700円を想定レンジとしましたが、これについてはほぼビンゴでした!ただし・・・想定レンジの前提に、Jアラート発動なんて含まれていませんから。リスクオフ要因のひとつに少なくともカウントされていた「北朝鮮」リスク、これが今年最大級に高まりながら、週間で上昇(7週ぶり)。現状「日経225が急落する」と言っている人の説に信ぴょう性を持っているロジックは全く見かけません。ただ、「火星12型」ミサイルが日本の上空を通過するという有事を受け、これは日経225の売り要因になってもおかしくなかった・・・でも上がった。結果的に、漠然と抱える日本人の思いと、マーケットを動かすメインプレーヤーの思考回路は別物という事実が改めて明らかになったという収穫があります。そちらは後程追って記載します。

週初28日(月)は、19500円台を取り戻してスタートします。前週末にあったジャクソンホール会議で、イエレン議長、ドラギ総裁ともに今後の金融政策について発言せず、何もなくイベントを通過したことがアンワインド(巻き戻し)要因に。北朝鮮が短距離ミサイル3発を撃ったことについては無視されていました。ただ、日経225は東京時間の開始数分後にはピークとなり、想像以上に水準を切り下げます(日経225先物でいえば、高値から安値までわずか30分強で120円も低下)。前の週まで今年最長となる6週連続下げていたこともあり、そろそろリバウンドか?と構えていたプレーヤーにとっても肩透かしの週明けでした。この日の前場のTOPIX下落率は0.06%。この下落率では日銀ETF買いは見送られました。

翌29日(火)の早朝、6時過ぎに緊急警報システム「Jアラート」が発動。北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射、これが日本の上空を通過(発射14分後の6時12分ころ太平洋上に落下)。日本に住む日本人としてかなりショックの大きい事態ですし、実際、寄り付き前は北朝鮮リスクに対する意識度合いでいえば今年最大級だったはず(Jアラート直後に取引できたCMEの日経225先物(円建て)は19045円まで一気に400円幅で急落)。ただ、この日は終わってみると日経225で0.45%安、日経225先物も19380円で高値引けする、なんとも想定外の落ち着いた反応でした。

そうさせた需給要因を考えると、多くの日本の投資家が様子見に徹したことがあげられます。東証1部の売買代金は1.8兆円と、北朝鮮リスクが高まったとは思えないほど閑散だったことに表れています。多くの投資家が市場の動きを静観するなか、最初に日経225を売った投機筋が、思ったように指数が崩れなかったことで慌てて買い戻したものと想定されます。自分で売って、自分で買い戻すV字型の動き=自作自演というやつです。今回、ミサイル発射に対する米国政府(トランプ大統領)の対応を待たれたわけですが、これが全く出ず、北朝鮮も何も発表しなかった・・・これがパニック的な動き(過剰なヘッジ売りなど含め)を抑制したように思われます。また、今回の事態が東京時間の開始前には収まっていたこともパニックに至らなかった理由といえます(これがBrexitや米大統領選挙のときとの違い)。

ここから週末まで、日経225はやたら上げ始めた米国株とともにリターンリバーサルへ・・・。北朝鮮のミサイル発射も、米国での関心は自国で起きたハリケーン「ハービー」に集中。欧州時間には高まるかに見えた北朝鮮リスクですが、米国時間の米国株は、それを無視するような怒涛の切り返しで上昇。日本株もこれに連れて買い戻し優勢地合いとなり、薄商いのなか全体が下げていた時期に下げていた銘柄(銀行、保険、自動車など)が上げ始めます=ほぼ全て買い戻し。下がっていたときに売っていた(売り越しだった投資主体)のは外国人だったわけで、米国株と一緒に日本株も買い戻し始めたのでしょう。

基本的に、この需給構図が週末まで継続します。トランプ大統領による税制改革の演説のほか、経済指標が強かったこともあり、31日(木)もNASDAQ中心に米国株は上昇。米ドル高(米長期金利は上がらず)、米株高という、まさにアンワインドの構図です。日経225も手前の売りポジションのアンワインド中心に連れ高。NASDAQ総合指数が再び最高値を付けるなど、月末も米国株は強い動きを持続。NYダウ、S&P500、NASDAQ総合指数の主要3指数が揃って月末上昇するのは、昨年9月以来11カ月ぶりのことでした。

お膳立てバッチリで、月が替わった9月1日(金)も日経225は週末高でスタート。先月まで14カ月連続で月初の日経225は上昇するという強い経験則がありましたが、連続記録を15に伸ばしました。月初高のアノマリーは有名で、手前で買って当日売りでぶつける短期プレーヤーも多かったと思われます。そうした売りも吸収しながら、大引けにかけて強含んだわけで、月初に買っているなんらかの主体が存在するのは間違いないのかもしれません(年金だとか言われているようですが、それを裏付けるようなデータはありません)。

 

(今週の見通し)

先週で幕を閉じた8月相場は、例年の経験則通りベアな月になりました。日経225の月間騰落率は-1,39%(278.94円安)。8月は月別で見た場合、過去5年平均で最も外国人の売り越し金額が多い月でしたが、今年も月間では売り越しになりそうです。外国人は8月第3週まで6週連続、2兆円以上(現物と先物合算)売り越してきました。内訳的には現物の2倍先物を売り越していることから、いずれ買い戻しが入る売り(仮需の売り)で崩された側面は強いです。その買い戻しの一部が、先週の火曜日(29日)辺りからかなり露骨に入っていたことも伺えました。それで先週は7週ぶりに週間で日経225も上昇できたわけですが、海外投資家の動向と日経225の方向性は足元もかなり符合しています。

先週買い戻しが強かった、これをマーケットの動きから判断することは可能です。一番わかりやすいのは、どの主力大型株が上がっていたかを見ること。先週は米ドル高、米株高ながら、米長期金利は低下したままだった・・・それにもかかわらず金利敏感のメガバンク(三菱UFJなど)が上がっていました。全体が下げている時期に下げていた主力大型株が、全体が戻すタイミングで戻す・・・これ、買い戻し以外の何物でもないですね。あれだけ売られていた(嫌われていた)株が、急にみんな欲しくなるわけがないですから。

また、先物と現物の「先物タイム」における価格差発生からも判断できました。これは29日~31日の3日間でしたが、「先物タイム」=15時~15時15分(現物市場の大引け後、先物だけ売買できる15分間)において、日経225が押し上げられる動きが続きました。29日は現物の日経225終値19362円に対し、先物終値が19380円で高値引け(順ザヤ18円)。30日は同じく順ザヤ14円、31日が最大の順ザヤ44円が15分間で発生しました。現物市場が開いていない15分間は、個人投資家などの戻り売りも無く、裁定取引による価格調整も効かない先物需給オンリーの時間帯です。この時間帯に明らかな買いバイアスがかかっていたということは、先物買い戻しが断続的に入っていたということです。

では、先週買い戻しが入った理由は何だったのか?北朝鮮リスクが最大級に上がった29日から買い戻しが始まったのは違和感が大きいですよね?では何かといえば、各指標から整合性がとれるものは、米国株の反転上昇以外に見当たりません。外国人の売り越しが続いた時期は、FANGを中心とした米ハイテク株が今年2度目の大幅調整局面でした。株価指数でいえば、NASDAQ総合指数が7月27日をピークに調整を続けていました。そのNASDAQ総合指数が(減税期待が復活したことから?)急激に反転したのが29日から。これとタイミングを同じくして日本株もリバーサルに転じたわけで、日本株を売っていた海外投資家が本国市場の落ち着きを受けて日本株も買い戻したと見るのが妥当といえます。この動きが、多くの国内投資家が北朝鮮リスクに委縮して手を引いていたタイミングに入ったため、想定外に(北朝鮮リスクを無視したような)強い動きにつながっただけといえます。

その北朝鮮は先週末の3日、6回目となる核実験を実施。また北朝鮮リスクが高まり、週明けはリスクオフムードで始まる見通しです。今回の核実験を受け、トランプ大統領はツイッターに「米国は北朝鮮とビジネスをしている国との間で全ての貿易を止める他の選択肢を検討している」とツイート。9月9日に建国記念日があり、このタイミングで次の挑発行為が警戒されそうでしたが、またしても北朝鮮に不意を突かれた格好です。とくに今回の実験は、米国の3連休の間に行われました。4日(月)がレーバーデーで休場であり、米国株との連動しか見えていなかった日本株市場にとって、思考停止状態をもたらします。時間外の米株指数先物を見ながら、それが下げていたら売りですが、どこまで売っていいかも日本だけでは判断できないのが悲しいところ。9日(土)に向けて北朝鮮に対する警戒を緩めるわけにもいかず、ダラダラと先週の上げ分を溶かす展開がコンセンサスなんじゃないでしょうか。想定レンジ19300円~19700円、今後1カ月のレンジ19100円~20000円ともに据え置きます。

(おしまい)

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