岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/08/21 14:26外国人投資家の売り圧力が日銀ETF買いを超える!?

日経225 現物指数 終値 19470.41円(8月18日)
安値 19433.09円(8月18日)/高値 19824.12円(8月15日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/8/18


(先週の振り返り)

超低ボラの凪相場から一転、週初いきなり3カ月ぶりの19500円割れした日経225。ただ、そこが買い場になって翌日すぐ落ち着き、また凪相場にUターン(お盆休みのUターンとタイミング同時)。と思ったら、週末もう1回大幅安で19500円割れ・・・。参加者が減るお盆休みシーズンだけに流動性は落ちがちですが、そこを考慮しても、「まあ大きく下がらないだろう」とタカをくくれなくもなった、そんな先週を振り返ります。

3連休直前の夜間取引で、日経225先物が19350円という衝撃の値段で安値引け。北朝鮮によるグアム周辺海域へのミサイル攻撃計画、トランプ大統領による報復攻撃の示唆発言で火が付いた米朝関係の緊迫化ですが、日本より1日遅れで米国市場がリスクオフ要因とします。これを受けた3連休明け14日(月)は、久々に大きな窓を開けた下落で始まります。ただ、一時300円安する大幅安を受け、朝から日本の個人投資家が日経レバレッジETFや日経225先物への逆張り参戦が活発化。また、後場の発動に向け、開始前から準備万端だったであろう日銀のETF買い。これも当然入っており、海外発のリスクオフ相場を国内勢の買いで食い止めたような1日でした。

北朝鮮リスクを理由にしたリスクオフのポジションは、14日夜のNY時間にアンワインドが進みます。ティラーソン国務長官、マティス国防長官がWSJに寄稿し、外交手段で冷静に対応すると発表したことがきっかけ。さらに、15日(水)の早朝、北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信が金正恩委員長の話として「(米国の行動を)もう少し見守る」と報じたことを受け、日経225先物は19650円に戻して始まります。この朝鮮中央通信の報道を、WSJが「北朝鮮の金正恩が、グアムへのミサイル攻撃をしないと決断した」とも報じたことで、北朝鮮リスクで作られた売りポジションの買い戻しが殺到。とくに、先週9日にクレディスイス(以下CS)が日経225先物だけで5240枚もの大幅売り越しでした。この分の売り単価と想定できる9日のVWAP(19747円)を上回ったことで、さらに買戻しが加速するような動きへ。「デリバティブで下げた相場は、デリバティブで戻す」―その通りの展開に。ただし・・・この日の引け後公表された先物手口では、買戻しが確実と見られていたCSは194枚の売り越し。CSが買い戻した形跡はなく、「では誰が買ったか?」でいえば野村、大和、SMBC日興、三菱UFJの国内大手。この4社で4000枚超もの買い越しで、前の週に売りヘッジした国内機関投資家のヘッジ外し(買戻し)が中心だったようです。

あっという間にいつものレンジの下限(19700円台)に戻した日経225。水準が元に戻ると、投資家心理も「上値は買いたくない」に戻ります。現物、先物とも売買は急減。16日(水)の東証1部の売買代金は1兆8757億円、上下値幅もわずか57円と閑散モードにUターンします。

17日(木)も、米ドル/円がまた110円割れするなど円高に振れながらも、“閑散に売り無し”といった雰囲気で指数はこう着。この日も上下値幅は59円、東証1部の売買代金1兆8060億円と酸欠状態に。このまま平和な凪相場が続くと思われたのが一変したのが、17日夜の米国市場でした。
白人至上主義についていけない国民が急増、ビジネス界も同様で2つの大統領助言組織(戦略・政策フォーラム、製造業評議会)が解散。トランプ大統領の孤立無援が浮き彫りになるなか、国家経済会議委員長のゲーリー・コーン氏が辞任するとの噂が流れます。これをリスクオフ材料に、「米国株売り/債券買い(金利低下)/ドル売り」の流れがいつも以上に強まります。バルセロナで車両によるテロ事件発生もリスクオフムードを強め、NYダウは274ドル安と5月17日以来3カ月ぶりの大きさに(このときもトランプのロシアゲート問題がリスクオフの引き金)。この下げについて、「トランプ政権の政策遂行能力への不安から売られた」といった解説がメディアの記事ではなされていました(本当ですかね?)。

リスクオフの流れを引き継ぎ、週末18日(金)は再びギャップダウンで下落。寄り付きと同時に14日の安値を割り込み、その後は14日と同じ個人投資家の逆張り買い、そして日銀ETF買いで日本時間に食い止める構図。それでも午後に日中安値を一旦付けており、国内勢の逆張り買いが劣勢になるほど外国人売りが強いのではないか?と疑問が芽生える展開で終えました。

(今週の見通し)

先週末の海外時間に、日経225先物は19310円、米ドル/円は108円60銭まで下落。その後、トランプ米大統領の側近であるバノン首席戦略官・上級顧問が退任するという観測で持ち直したこともあり、週明けは小幅反発で始まりそうです。ただ、先週の日経225先物の日中取引の安値は19410円ですが、夜間には14日夜の19350円、そして週末の19310円がありました。東京時間は19400円台で押し目買いが入っている(逆張りの個人投資家やPKOの日銀ETF買い)といっても、これらの投資家が動けない夜間に19300円台前半を付けているわけで・・・外国人投資家は、日経225の19400円台=割安、というような意識を持っていないことが分かります。

気になるのが、外国人投資家の日本株売り越し姿勢が強まっていることです。凪相場を切り裂いた8月第2週の投資主体別売買動向が先週発表されましたが、やはり売り手は外国人でした。現物を2746億円、先物を2482億円それぞれ売り越し。合算すると5200億円強の売り越しなのですが、この週は立会日数が4営業日でしたので、通常の週(週5営業日)でいえば6500億円売り越しくらいの感覚といえます。結構な規模です。日本株の最大の買い手である日銀は年間6兆円の買い越しを宣言しています。ただ、1回当たりの買い金額は約730億円ですので、週5営業日で毎日買ったとしても約3650億円。週間ベースでいえば、外国人がこの週のような売り越しをするようになると、日銀といえども歯が立ちません。実際、この週の日経225は222円安(10週ぶりの週間変化率1%超となる1.11%安)でした。

外国人が動き出すと、週間ベースでも歯が立たないわけで、当然、日ベースでは極端に振れるケースも出てきます。先週18日の232円安、その前の週9日の257円安のようなケースです。これは、日銀ETF買いが入る「後場」の値動きの異変にも表れています。8月に入って日銀がETF買いを入れた日が7回。そのうち、前場終値と後場終値を比較し、上昇した日を“日銀の勝利”とした場合・・・今回は日銀が多く買っているのはTOPIXですので、TOPIXで検証すると、8月3日、4日、8日、9日、10日は日銀の勝利(後場に上昇)でした。それが、先週14日と18日は日銀が連敗(後場に下落)。ここから察するに、日銀ETF買いインパクトの730億円強を超える売り圧力が後場だけでかかっていることが想定されます。

トランプ大統領のバージニア州での衝突事件についての発言から加速したトランプ離れ、これに端を発した米政治リスクは消えることなく今週に入ります。ジャクソンホールを前に金融政策の不透明感もあるうえ、欧州でテロが発生しましたが、北朝鮮リスクを中心とする地政学リスクもあります。手控え(リスクポジションの縮小)要因だけは事欠かないのが今。とくに北朝鮮リスクでいえば、週初から米韓合同軍事演習が始まりますが、この手の話はどう振れるか“出たとこ勝負”としか言いようがありません。ただ、機関投資家は最悪のシナリオが発生したとき、それに備えず損失を被ることを嫌う投資家。ポジションゼロで何もしないことが許される個人投資家とは違い、国内機関投資家がヘッジ売りを作りがちであることも日経225が上昇しにくくなる理由といえます。

8月9日の大幅な先物売りが話題になったCSですが、この売り分が買い戻された形跡はありません。いずれ手前で作られた売りポジションの買戻しが指数リバウンド局面で顕在化するはずです。ただ、これがどこになるかも外野では想像するのは無理でして・・・想定レンジは100円ずつ切り下げ19200円~19700円、今後1カ月のレンジは19000円~20000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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