岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/07/10 15:25目下、注目すべきは外部要因か

日経225 現物指数 終値 19929.09円(7月7日)
安値 19856.65円(7月7日)/高20197.16円(7月4日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/7/7
 
(出所:Bloomberg)


(先週の振り返り)

 東京都議選(以下、都議選)での自民党惨敗(アベノミクスの信認低下=株安要因?)から始まり、にわかに強まった北朝鮮リスク、そして想像以上に続いた世界的な金利上昇など色々ありましたが・・・そんな先週も日経225の週間変化率は0.52%(下落)。週間変化率1%未満も、これで5週連続になりました。前にも後ろにも進まない日経225、なぜかといえば「官製相場」だから・・・。

  7月に月が替わった週初3日(月)は、前日の都議選における自民党惨敗を受けた形でしたが・・・終わってみれば22円高でした。安倍政権の求心力低下が株安要因ではないか?と唱える市場関係者もいましたが、結局日本のメインプレーヤーは外国人。ちょうど独立記念日を前に外国人の参加者が減っていたこともあると思われますが・・・先週通じてみても都議選の結果を受けて日本株の評価を変更するようなレポートは外資系証券から一切出ていませんでしたね。週明けということもあり、薄商いのまま、都議選など無かったかのような小動きで終了。この日の上下値幅は65円にとどまりました。

4日(火)は、夜間に日経225先物が上昇していたこともあり、前日比80円高でスタート。前日の米国市場で、米長期金利の上昇(2.347%)と米ドルの相関性を取り戻した動きを好感します。ただ、市場参加者の不意を突いたのが、忘れていた「北朝鮮リスク」の復活でした。東証の前場中、防衛省が「北朝鮮がミサイルを発射し、日本の排他的経済水域に着水する可能性がある」と発表したことで、日経225は上げ幅を縮小。さらに、後場には「北朝鮮が(日本時間)午後3時半に特別重大発表する」と報じられたことを受け、マイナスに転落。一時2万円を割り込みました。朝の段階で2万円割れを想定していたプレーヤーが皆無だったこと、さらに警戒心を緩めていた北朝鮮リスクで崩れた想定外も重なりました。このタイミングで日経平均のVIが16を超える水準に上昇。不気味な話題に対し、行使価格の安いアウトのプットに対する買いニーズ(=売りヘッジ)が高まっただけなのですが、これが日経225の押し下げ要因となりました。

 ただ、15時半に北朝鮮が発表した“特別重大発表”は、「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射成功」だったことで、日経225先物はナイトセッション開始すぐに買い戻しが優勢に。この日の米国市場は休場のため、その後は外部環境に対してノーストレス状態で日経225先物も凪に・・・。しかし、翌5日(水)の午前中も北朝鮮リスクが台頭します。韓国国防省の見解として「北朝鮮が6度目の核実験を実施する可能性が高い」とヘッドラインが出ると、米ドル/円、日経225とも下落し、日経225で100円弱押し下げられました。日経平均のVIが上がる(下落リスクに備えようと投資家が動く)のは、正直、北朝鮮の話だけだなとも思いましたが・・・。ただ、この日は前場にTOPIXが下落していたこともあり、午後は7月初となる日銀ETF買い(707億円)が発動。後場に入ってみるみる値段が戻り、結局49円高で終われたのも日銀買いのおかげだったようです。

 休場明けの米国市場は、NYダウ、S&P500とも横ばいながら、下げていたナスダックが強めに反発します。最近のボラティリティ上昇は米ハイテク株が起点になっていたため、日本株にとっては朗報といえる形。6日(木)の日経225もしっかりで始まりましたが・・・この日も北朝鮮に対し、安保理の緊急会議で「米国が能力を最大限に使用する準備ができている」と伝わると上値の重い展開に。午後に入ると日中安値を更新し、日経平均のVIもまた上昇します。この日もオプションを利用した売りヘッジでVIが上昇したわけですが、プットの買い手を見るとゴールドマン・サックス(以下:GS)が目立っていました。GSは、TOPIX先物、日経225先物とも売り越しで、日本株の純粋な売り、もしくは売りヘッジを顧客が行っていたことが推測されます。

 米国株が大き目に下げたことを受け、週末7日(金)の日経225は134円安でスタート。ただ、この寄り付きを底に、下げ幅を縮める1日となりました。6月のECB理事会の議事要旨に、追加緩和を示唆する緩和バイアスという文言の削除を協議されていたことが明らかになり、欧州の金利が一段と上昇。ドイツの10年債利回りは0.56%と1年半ぶりの高水準に。この金利上昇の流れが日本にも波及し、日本の10年債利回りも前日に0.1%に上昇していました。YCCを掲げる日銀が奥の手である指値オペに動く目安は、今年2月に動いたレートの0.1%でした。すでにこの水準を超えていることで、日銀の指値オペ待ちといった雰囲気となり、円はじり安に。そして、今回は10時10分に日銀が指値オペ実施を通知(今回のレートは0.11%)。金利を力技で0.085%まで押し下げ、想定されていた割には米ドル/円も反応し、113円台後半に上昇。この日はETF買いではなく、指値オペを通じて株も下値を守られる格好となりました。


 (今週の見通し)

 先週末発表された6月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比22万2000人増と、市場予想の17万9000人増を大きく上回りました。この結果を受け、NY時間に米ドル/円が114円台を付けています。先週末時点で指値オペが実施されたこともあり、日本と欧米の金融政策の方向性が違うことも改めて確認されたタイミングでもありました。円安を活力に、週明けの日経225は2万円台を回復して始まりました。

 ただ、2万円を回復したからといって、だから何?状態であることに変わりはありません。日経225は、日本の現状に対する通信簿ではありません。日銀という最大の買い主体に下値を守ってもらいつつ、日々の方向性は寄り付きの上下変動でほぼ完結(外部環境の影響を反映)します。週末の世論調査において、安倍内閣発足以来、内閣支持率が最低になっていると各メディアが報じていました。これも無視した週明けの推移になるとすれば、安倍政権の支持率が今後上がろうが下がろうが、内閣改造という名の単なる模様替えが行われようが、日経225にとっては無関係と断じるほかありませんね。

 目下、注目すべきは外部環境のみ。とりあえず、6月の雇用統計は円安要因になりましたが、市場関係者が本来最も気にしていた平均時給の伸びは前年同月比2.46%と、前月比で0.04%しか伸びていません。失業率が低下しているのに、賃金の伸びがすごく弱い。だから消費の伸びも弱く、物価も上がらない低インフレに対する不安を取り除くほどの雇用統計では無かったように見えます。

 今回も前回も、日銀が指値オペに動いた理由は、海外の金利上昇に対応するためでした。ただ、2月のときは、トランプラリーによる米金利上昇でしたよね。今になって思うと有言不実行状態の大胆な減税策に湧き、アニマルスピリットで生じた金利上昇でした。ただ、今回の金利上昇は、金融政策の正常化がテーマ。株を買う理由が後退するはずですが、一向に大きく米株が調整しないため、FRBメンバーも過熱感には警戒を滲ませています。海外のボラが上がるのは、米ハイテク株が調整するときだけ。株に対する言及に焦点を置き、今週は12日に行われるイエレンFRB議長の下院議会証言だけ注目しておけば良さそうです。今週も前週比1%程度の変化を想定し、想定レンジは19700円~20300円、今後1カ月のレンジは19400円~20800円は据え置きます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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