岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/06/12 12:46上昇が続くかは今まで通り「外国人買いの趨勢が続くか次第」

日経225 現物指数 終値20013.26円(6月9日)
安値 19896.35円(6月8日)/高値20224.54円(6月5日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/6/9
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 これといった理由もなく、強引にもっていった感のあった日経225の2万円台でしたが・・・複数の重要イベントを乗り越えた先週末においても、2万円をキープしています。6日(火)~9日(金)まで2万円を付けては割り込む動きを4日間繰り返し、最後は何とか2万円の少し上で終了。2万円は「壁」と言われてきましたが、とくに壁ではなかったようです。かといって、「通過点」といえるほどこの先上がる保証は無いわけで、2万円はただの2万円かもしません。

 先週の高値は週初5日(月)でした。前週末に発表された5月分の雇用統計は、NFPが予想を大きく下回る13.8万人増でと弱い数字。3、4月分も速報値から下方修正されるなど、NFPは弱いものの、意に介せずといった日経225のスタートになりました。失業率は低下基調にあるし、完全雇用に近いところからのNFPの数字は「20万人増」という従来型の目安は捨てたほうがいいのでしょうか。とはいえ、弱い雇用統計を受けた米長期金利は2.16%に低下。米ドル/円も前の週の週末比で1.2円程度も下落していながら、日経225は前日比で若干ながらもプラスで推移する時間が長くありました。

 ただ、翌6日(火)は大き目の反落となりました。無理矢理感のある日経225の高止まりが3営業日続いたこともあり、少し手詰まり感のあったタイミング。ここで、午前中、唐突に米ドル/円が下落。前日までは為替を無視していた日経225ですが、手詰まり感のあるなか、この日に限れば連動します。300枚規模の大口売りが散見されながら、先物は高値20160円から19940円まで下落。ただ、投機の売りで下げただけともいえる状況であっても、そんなことは気にも留めず、きっちり日銀は手を差し伸べます。この日のTOPIXは前場0.61%の下落で終了。結果、6月では初のETF買いが発動されました。1回当たりの買い入れ額は728億円で、1年半ぶりに日経225が2万円台で買ったことになります。

 重要イベントを前にした7日(水)、8日(木)は2万円を挟んだもみ合い商状に。米国の長期金利、ドルインデックスが昨年11月10日以来の水準まで低下。トランプラリーの起点に戻ったことなどを気にしていないのか、気にしないようにしているのかはわかりませんが、日経225は水準を大きく落とすことなく推移。7日については、日銀のETF買いが露骨に入っているとわかる後場の動きで何とか下げ渋った感じもありました。前場のTOPIXの下落率が0.26%でしたので、前場0.2%台で日銀が動いたのは約4カ月ぶりのこと。

 一方で8日は、ひさびさ日銀の政策ネタで後場動きました(下方向に)。北朝鮮が早朝にミサイルを発射したと伝わるも、市場参加者は当然のように(?)無視。前日にコミー前FBI長官が議会証言の原稿を提出し、その内容からロシアゲート疑惑でトランプ大統領が捜査対象では無かったことが確認されました。これをもって、重要イベントからコミー証言は消えるわけで(よほどの爆弾発言でもしない限り)、先回ってリスクオン気味に動いていたようでした。英総選挙とメジャーSQを前に動きが止まっていた午後、市場がざわつき始めたのは一部メディアの日銀に関する記事がきっかけでした。日銀はこれまで、金融政策の出口論に関しては「時期尚早」と聞き流してきましたが、日銀関係者の話として「『時期尚早』から『説明重視』へ」と13時50分辺りに報じられます。これに円買い/日経225(株)売り/債券売りで反応。金利上昇要因になるため、メガバンクや保険株などは強めに買い反応になります。ただ、報じたのが1社であること、報じた通信社の同じ記者が昨年の5月に市場を混乱させた経緯があることなどから、話題が広がる感じは無かったように思われます。

 注目されたコミー前FBI長官の証言は、前日の証言原稿に沿う内容だったことで消化済み。ECB理事会もコンセンサス通りの据え置き。残すは英総選挙だけでしたが、これだけは事前予想よりも与党・保守党の苦戦となりました。出口調査で過半数割れしそうと伝わると、英ポンドが大きめの下げ(急落と書いている記事も多いですが、はっきりいえば昨年の比ではないレベルの大したことのない下げ)。とはいえ、そもそも英ポンド安で日本の株がリスクオフ化するわけもなく、他所の国の選挙結果を気にする前に日本の政治はどうなの?レベルのなか、当然、週末9日(金)の日経225は英総選挙を無視。この日は6月限の先物、オプションのSQでしたが、前月まで2回続いた波乱もなく、SQ値は19997.63円で、日経225型は市場推計で253億円買い越しでした。全てのイベントを消化しても、結局2万円辺りでSQ値、9日の日経225とも着地。そのなかで、話題をさらったのはソフトバンクG株の急騰でした。保有しているアリババ株が13%高、ファンドを通じて大株主になったエヌビディア株も7%高。国内証券の投資判断引き上げもあったほか、Alphabet傘下のロボットVB2社(ボストン・ダイナミクスとシャフト)の買収合意を発表。ニュース的にド派手なインパクトが重なったソフトバンクが日経225の値上げ寄与度トップで、1銘柄で74.712円押し上げました(ファストリ株も29.276円押し上げており、この2社でこの日の104円高の100%に相当)。歪な上昇を示すように、東証1部全体では値下がり数(982)が値上がり数(903)を上回っていました。

(今週の見通し)

 日経225の2万円は、2015年12月2日以来でした。その前回の2万円台滞在日数はわずか2営業日(15年12月1日~2日)。今回については、なんだかんだで2万円を割り込むものの何とか復活しながら、滞在日数は先週末時点で6営業日となっています。一過性とも言えないのでしょうか・・・。今回2万円に辿り着いた経緯も、何か裏付けがあったわけではなく、「誰かがすごい買った」という需給的な声しか聞こえませんでした。では「誰が買ったのか?」を、先週発表された5月最終週(5月29日~6月2日)の売買動向で確認してみましょう。

 衝撃の日本株独歩高でヤケクソ的に2万円を付けにいった6月1日、2日を含む週(上昇前の5月29日~31日分も含む)。この週の最大の買い手は、外国人投資家で現物を4282億円買い越し(9週連続買い越し)、先物を449億円買い越しでした(合わせて4731億円買い越し)。その他、現物を事業法人が763億円買い越し(=自社株買い)、投資信託が507億円買い越しでした。一方で、売りは現物を個人投資家が3217億円売り越し、信託銀行が522億円売り越し、生・損保が213億円売り越し、都・地銀が154億円売り越しでした。

 2万円タッチの過程で、「国内機関投資家が動きを変えているのではないか?」という説があり、かんぽやゆうちょ銀が買ったという噂があることは先週コラムで書いた通りです。ただ、前述の売買動向(これらは信託銀行経由の投資家)からは、過去に例のないような上値で買い上がる行動をとったことが証明できません。あくまで噂に過ぎず、“クジラ”と呼ばれる投資家層は、2万円オーバーの価格帯ではこれまで通り、売り手として上値を押さえる主体と考えられます。

 海外投資家については、この週の買い越しの約9割が「現物」でした。これまでは、手前で作っていた売りポジションの解消(買戻し)と見られる「先物買い越し」が目立っていましたが、足元の買いはそうした類の買いではなさそうです。何が「日本株買い」の引き金になっているかははっきりしませんが、アベノミクス初期に近い動き(当時も凄まじい現物買いで資金流入してきた)ともいえます。規模感としては小さいですが・・・。

 結局、上がるときは「外国人買い/国内売り(日銀ETF買いと自社株買い除く)」の構図に変化は無かったようです。つまりは、上昇基調が続くかどうかは、今まで通り「外国人買いの趨勢がどこまで続くか次第」ということになります。一方、下値についても、レンジ下限が切り上がったことを認めて臨むべきでしょう。2万円近辺で動きが止まった先週ですが、その先週に日銀はETF買いを2発入れています。この手の相場感とは関係なく、業務遂行を目的に買う大口投資家が存在する市場では、テクニカル分析など意味がなく、2万円という節目も意味をなさなくさせます。普通の投資家は2万円を超えたから買わない、割れたら買うとか基準を決めますが、日本株最大の買い越し主体である日銀がそうはしないわけですから・・・。

 コミー前長官の議会証言、ECB理事会、英総選挙の3つのイベントを消化し、今週はFOMC(米時間13日~14日)、日銀会合(15日~16日)へと関心が移ります。先週末、FOMCを前に米国で好パフォーマンスを誇っていたFANG株を代表とするハイテク株が大きく下落しました。一方で、銀行株などバリュー株が買われるアンワインドの動きが起きています。何かが売られても、何かが買われる形の段階であれば大きな問題はありません。ハイテク株売りが今週どの程度続くか、その裏側でバリュー株がしっかり買われるかが焦点。日本でいえば、米国を真似るようにソフトバンクや半導体株が売られても、メガバンクなど金融株や自動車株が買われる形なら日経225のレンジを大きく変化させる力を持たないでしょう(両方売りならアウト)。今週の想定レンジは19700円~20100円に、今後1カ月のレンジも19400円~20500円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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