岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/06/05 11:01日経平均2万円の買い主体は?東証発表の投資主体別売買動向に俄然注目!

日経225 現物指数 終値20177.28円(6月2日)
安値 19570.13円(5月30日)/高値20239.81円(6月2日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/6/2
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 多くの市場参加者の心の準備が整わないうちに(?)、あっさりと2万円付けてしまいました。2万円など付けてしまえば壁でも何でもないというのは、過去に本コラムで指摘した通りです。ただ、なぜ2万円を付けられたかが未だにわかりませんが・・・(汗)。最後に日経225(現物)が2万円を付けていたのは、2015年12月2日。そこからジャスト1年半、先週6月2日(金)に再到達しました。

 週初から5月の月末31日(水)までは、主に19600円台での凪相場でした。週明け29日(月)は、3週連続で発射された北朝鮮のミサイルも、前週末のG7サミットでトランプ政権の保護主義的な考えを再確認したことも、ロシアゲート問題でトランプ大統領の娘婿クシュナー氏が捜査の中心人物になっていると報じられていることも・・・全てに無反応(のような反応)。ただ、前週末に日経225が売られていたことで、そのアンワインドか、日経225自体は買い優勢だったように見えました(ウエイトの高いファストリ、京セラ、信越化学などが上昇していたため)。一方で、前週に買われていたソフトバンクが逆行安しており、「ソフトバンク買い/日経225売り」のペアトレードの巻き戻しが起きていただけにも見えました。

 この日はロンドン、NYが休場だったこともあり、ナイトセッションの日経225先物はまるで動かず。ナイトセッション(16:30~翌5:30)に日経225先物は19670円~19690円の上下値幅20円でした。ナイトセッションの値幅20円は、2016年以降で遡った限り最小。直近で一番狭かったのも、昨年8月26日の40円でした。これを受けた30日(火)、外部環境頼みの我らが日経225は当然のように前日比変わらず水準でスタートします。東京時間に入ると、米ドル/円に短期の売りが来て111円割れ。連動して日経225も売りが来て19600円割れ。ただ、超絶薄商いのなか、午後に入ると朝の下げ分をみるみる取戻します(米ドル/円は111円割れ水準で止まっているのに)。つまり、「株だけ買い」状態になったわけですが、このパターンはいつもの日銀ETF買いと推測できます。不自然にトヨタなど主力大型株がプラス転換していた動きからも想像できる話。実際、この日は日銀のETF買いが発動していました。

31日(水)も凪。連休明けの米国株市場は、ゴールドマン・サックス(以下GS)など金融株の下げが目立ったものの、指数全体の下げは限定的(NYダウで50ドル安)。日経225も小動きに終始しましたが、この日の大引けではMSCIのリバランスがありました。このリバランスの影響で市場試算では260億円の日本株からの資金流出要因と見られていましたが、その割には日経225も27円安と下げも限定的。なお、このMSCIのリバランスなど月末要因で、東証の大引けラスト1分間の売買代金は9958億円に膨らみました。

 ムードが一変したのが月替わりした6月1日(木)から。これといった材料は無かったし、前日の海外市場の雰囲気からは下げておかしくなかったにも関わらず、月初の日経225は209円高となりました。引き続き、米ドル/円は111円を下回っていて、米長期金利は2.205%に低下。金利低下を受け、GSやJPモルガンなど大手金融株が軒並み2%強の大幅安となっていました。GSについては、年初来安値を割り込む状態。ロシアゲート問題についても、注目されたコミー前FBI長官の議会証言が翌週(6月8日)と伝わり、すっきりしない問題が燻ることが確定します。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明するとつぶやいたり、欧州では翌週8日に控える英総選挙でメイ首相が率いる与党の保守党が過半数割れになるとの予測が報じられたり・・・。それでいて、日本株だけ独歩高!となったわけで、大いに違和感はありました。

ただ、前月まで「月の初日が11カ月連続で上昇」していた事実も知られていました。なぜ、「月の初日の上昇」が11カ月も連続しているのか?それを需給で合理的に説明できる理由はまだ見つかっていないように思いますが・・・。この経験則を意識して買いで動いた短期筋がいたのか、実際月の初日に国内機関投資家が株に資金配分しているのか、売りヘッジを外しているのか(指数上昇要因)、何かあるのだと思います。もちろん、その全ての要素がかみ合っているのかもしれません。結局、この“月の初日高”の連続記録を「12」に伸ばして終了。この日の見せ場は、現物市場の開始2分後、9時2分に日経225先物が突然、異様な出来高で急伸したことでした。短期筋が買い仕掛けで初動を作り、それに追随したプレーヤーが多かっただけにも見えましたが・・・(実際何が起きていたのかは、見通しのところで再度振り返ります)。

 そして、記念すべき現物の日経225の2万円乗せを果たした2日(金)。ADP雇用リポートが25.3万人増(市場予想17.7万人)と強い数字だったことで、素直に米ドル/円が上昇。欧米株も上昇する良好なコンディションで始まるなか、2万円に接近してスタートします。これまで壁として意識されていた2万円でしたが、この日も東京時間の開始数分後、突破口を崩したのは日経225先物への大口買いでした。あっさり2万円を付けてしまうと、「2万円を付けたから買う」といった雰囲気に一変。これはトレンドフォローのアルゴもだし、2万円を付けないことを前提にした225先物売り、225オプションのコール売りの買い戻しなども多かったと思われます。こういった場面で買いたいものは、好業績株ではなく、日経225になります。これまで上がっていた半導体株や中小型株は売られ、日経225買いになるのでファーストリテイリングなどがガンガン上がる展開に。前日まで10連騰中だった東証マザーズ指数は反落で、売買代金も急減。一方で、あれだけ敬遠されていた主力株の商いが膨らみ、東証1部の売買代金は3兆2232億円と今年2番目の大商いに。なお、この日はGSが、今後3、6、12カ月のTOPIXの目標水準を1550(従来1500)、1600(同1550)、12カ月1650(同1600)に引き上げたことが伝わりました。この日のTOPIXの終値は1612.20ポイント。今後6カ月の目標水準を少し超えており、見方によれば上昇余地はあまり無いと見ていると解釈できそうな気も・・・。

(今週の見通し)

そもそも、先週本コラムで挙げたように、「何があれば大幅安するのか・・・ブラックスワンの発生を強引に描く妄想力でも無い限り、その回答を導き出すのも困難」な状態にあったわけですね。下値をロックしているのは、需給的には日銀ETFだったり、自社株買いだったり、GPIFなど年金の逆張り買いだったり・・・。3月決算銘柄の決算発表も出揃った後ですので、企業業績的にも売る理由も消えてはいました(日経平均のEPSが、“東芝含む暫定版ですが”過去最高の1400円程度のため)。

 とはいえ、2万円タッチで御の字程度のなか、先週末に20239円まで上昇。この2万円からの239円分の上昇が意味するところは、やはり「2万円は壁」という意識の強さが表れていたと思われます。この日が指数主導で上昇したのは見れば分かる話ですが、指数上昇と一緒に日経平均VI(ボラティリティインデックス)も上昇しました。これは、2万円より上の行使価格のコールを売っていた向きが、急いで買い戻したためと考えられます。

これは個人投資家も同様でしょう。前回2万円だった2015年12月第1週、日経平均が上昇してくれたら上昇するポジションの代表格「日経レバレッジETF」の信用買い残は1454万口ありました。それが、5月26日時点(直近データ分)では446万口まで激減。一方で、日経平均が下落してくれたら上昇するポジションの代表格「ダブルインバースETF」の信用買い残は、同じ期間に326万口から同1512万口に急増していました。日経平均は2万円手前が限界、という醸成されてきた相場感の反動が強く出た側面は大きいといえます。

  2万円を付けにいく過程で、耳にしたのは国内機関投資家が動きを変えているのではないか?という話と、海外投資家が日本株に対する位置付けを変えたのではないか?という話。前者の国内機関投資家については、かんぽやゆうちょ銀といった噂があるようですが、真偽は不明。ただ、これらが月替わり6月1日(木)に超えた意外高の正体という説があります。この日の先物手口で、TOPIX先物の買い筆頭は野村証券の3713枚買い越し(売り2307枚/買い6020枚)でした。翌週のメジャーSQを前にロールオーバーと見られる手口が目立つなか、この日の野村は期先の9月限をほとんど取引していなかったため、純粋に買い越し手口だったとすれば、最終投資家にそういった投資家の存在が見え隠れします。同様に、週末2日(金)も野村はTOPIX先物を1094枚買い越し。また、この日はGSも1872枚買い越し(このうち700枚程度はロールオーバー?)、ドイツ証券1812枚買い越し、モルガンスタンレーが1443枚買い越しと外資系ブローカーが複数買い手側でした。基本的に年金系の資金は、ポートフォリオのウエイト調整で株を買ったり売ったりする主体として知られています。過去の2万円乗せ場面は、株のウエイトが上がっているのでこういった投資家は「売り主体」なのですが、今回は2万円近辺から「買い主体」になっているのか?という見方が出ます。真偽は不明ですが、もしそういった投資行動をとっているとすれば、今回の2万円オーバーからの上値は軽いのではないか?という見方につながります。

 また、前述のように先週末2日は海外勢の買い参戦を強く感じさせたわけですが、日本株というもの自体の位置付けの変化を指摘する声も聞かれました。地政学リスクは1カ月程度無視している感じでしたが、ここにきてトランプ政権への疑念などもことごとく無視している感じがあります。為替との感応度も薄れ、先週末の雇用統計が異様に弱かったことを受けて米長期金利、米ドル/円が大きく下落しても、夜間で日経225も連れ安しなくなっています。その理由について、「欧州や米国で不穏な空気が流れると、今は日本株を買ってもいいかな」という見方が聞こえ始めていると聞きました。これまで従属的な存在だった日本株ですが、企業業績(ミクロ)的に悪くないことで、欧米に対して異質な存在(避難先)として扱われ始めているというのです。

 この辺りの話は、日経225が大幅高した局面で出ていた話ですので、少し強気のトーンで化粧して伝わっている可能性はあります。ただ、6月1日、2日の力強い東京時間の上げは本物だったわけで、誰が買ったか?の確認として今週東証が発表する投資主体別売買動向には俄然注目が集まります。発表日は6月8日(木)です。その8日はECB理事会がありますし、英総選挙の投開票も実施されます。また、早ければ同日にも注目されていたコミー前FBI長官の議会証言があります。いずれもイベントとしては注目ですし、翌9日(金)が6月限ですのでメジャーSQです。先月まで2カ月連続で日経225型が大幅買い越しになった経緯がありますので、波乱に備えて動くプレーヤーも多そうです。

 2万円を超えて日本の年金が売っているという話ではなく「買っている」という話になっていること、海外投資家は確実に買っているであろうことに逆らって弱気でいるのは危険な匂いしかしません・・・。相場の格言で、大相場の終わりは「幸福感とともに消えていく」とありますが、幸福感ありませんしね(笑)。今後、2万円の先の世界をどう見るか?通過点か?終着点か?みたいな議論が活発化しそうですが、正直先のことなどわかりません。順張りが好きな人は文句なし買いでしょう。また、逆張りが好きな人も、今は「2万円割れたら買い!」といったスタンスになっているでしょうから、買いエントリーの目安が引き上がったのは間違いなさそうです。日銀ETF買いだって、この水準からの調整で発動しますから、2万円台を買う形になっていきます。そういう意味でもレンジは上がりました。今週の想定レンジは下限、上限とも400円引き上げ19800円~20400円に、今後1カ月のレンジも19500円~20900円に引き上げます。


(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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