岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/05/22 10:17短期のレンジトレードが主流か

日経225 現物指数 終値19590.76円(5月19日)
安値 19449.73円(5月18日)/高値19998.49円(5月16日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/5/19

(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 前の週の「2まんえん、まだ?」の余韻から始まり、「2まんえん、いける!」から「2まんえん、もうムリ」にひっくり返り、週末は「2まんえん、まだいけるかも」(←今ここ)と揺れ動く投資家心、といったところでしょうか・・・。日経225が大台付けるかどうかは話題になりがちですが、付けようが付けまいが大して大きな意味はありませんので、この辺は気にせず相場を見ていきましょう!

週初15日(月)は、前週末14日早朝の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて地政学リスクを蒸し返し(防衛関連株がひさびさに一斉買い気配スタート)。世界的に大規模なサイバー攻撃が発生したことを気にする声もあり、何だか薄気味悪い感を醸し出しつつ始まりました。ただ、米ドル/円も日経225も、北朝鮮リスクに反応したのは東京時間の開始直後だけ。ミサイル発射後に円高が進んだ場合、これまで全てが押し目買いポイントになってきた経緯から、地政学リスクで売りになったところは逆張りで買いに回る参加者が多くなっているように思われます。この日は、日本郵政による野村不動産HDの買収報道を理由に、大手不動産株が軒並み上昇(不動産業種の上昇率が3%超に)。現物株サイドで刺激になる話題があったことも下げ幅を縮める理由となりました。

16日(火)は「2まんえん、いける!」な雰囲気を漂わせながらスタートします。前日の米国市場でS&P500やナスダックが史上最高値を更新したほか、原油相場も上昇。米国発のリスクオンムードに引っ張られ、日経225も100円弱のギャップアップで始まりました。その後に日経225先物は先週に続き2万円タッチに成功。ただ、またしても2万円手前で戻り売り圧力が強まり、寸止め状態に。午後は、トランプ大統領がロシアにイスラム国に関する機密情報を提供していたとも報じられ、この材料をどう消化するかに警戒ムードも広がりました。

17日(水)も軟調。前日に米長期金利が2.325%に低下、時間外では2.3%割れとなり米ドル/円の円高が東京時間に一段と進行(113円割れ)したことが理由です。時間外の米株指数先物の下げを受け、日経225も19700円台に。ロシアとの関係が疑われていたトランプ大統領が、FBIの前長官コミー氏を電撃解任したことに関し、NYタイムズなど複数のメディアが今年の2月にコミー氏と会談した際「これ以上問題にしないことを望んでいる」と発言したことを報じました。捜査中止を要請したとの疑惑から、トランプ批判のムードが米ドル売り地合いを強めさせ、ユーロ/米ドルが大きく上昇しました(ユーロ買いというより、米ドル売り)。ただ、トランプ発のリスクオフムードに対し、午後に日銀がETF買いを実施。日経225は大崩れを回避して1日を終えました。

前日に大きな下げを回避していたことが裏目に出た日経225は、18日(木)は大幅な下落に。トランプ政権に対する先行き警戒感から欧州株が大きく下落。トランプ大統領のお膝元である米国市場では、NYダウが1.77%安、強かったナスダックも2.57%安と急落します。VIX指数(恐怖指数)は46%も急騰し、水準自体は低いですが15.59に。VIXの上昇率を見ることに意味はあまりないですが、変化率としては昨年6月24日のBrexit直後以来の大きさでした。市場では、トランプ弾劾リスクを気にし始めます。昨年の大統領選挙にロシア政府が干渉したという疑惑は「ロシアゲート」という造語で呼び始め、事の大きさを煽る風潮が強まりました。ハシゴを外されたように日経225はギャップダウンで始まり、一時19500円を割り込む場面も。「2まんえん、もうムリ」に・・・。ただ、東京時間の早朝、米司法省がこの問題の早期沈静化を狙い、特別顧問に元FBI長官のロバート・モラー氏を任命したと発表していました。これに対し、トランプ大統領が「迅速に解決することを楽しみにしている」とあいかわらず強気な発言。これを受け、日経225もすぐに買い戻しが入るような反応も示していました。午後は日銀ETF買いもあり、安寄り後の大崩れはまたしても回避します。なお、トランプ弾劾リスクが売りの口実にされていましたが、市場関係者のコンセンサスは「弾劾される可能性はかなり低い」でした。

この日のロンドン時間に米ドル/円は110円20銭台まで下落しますが、ここで一旦底入れしました。更迭された元FBI長官コミー氏が今月初め、「私はFBIの捜査圧力を受けたことがない」と発言した様子をおさめた動画の存在が報じられたり、米経済指標が市場予想を上回ったことを受けて米長期金利が上昇。今週も日経225は海外要因で上下していただけでしたので、前日の米国株が反発するなど、リスクオンに傾けば日経225も19日(金)は反発します。週末ということで、ロシアゲートや北朝鮮リスクは不気味。ポジションを圧縮しておきたい雰囲気はやはり強めで、両者とも、株や米ドル/円にとってどちらかといえばマイナスインパクトが強めに出やすい性格があります。そのため、売り方買い方双方のポジション整理も、差し引けば株、米ドル/円とも売り越しになりがちだったものと思われます。ポジション圧縮という意味では、今週作られた株のロングショートのアンワインドも進んだことが明確。今週は「シクリカル売り/ディフェンシブ買い」といった形でしたが、週末はシクリカル(鉄鋼や商社、金融など)が買い戻され、上昇が目立っていたディフェンシブが売られていたのも特徴でした。なお、この日も今週3回目となる日銀ETF買いが発動していました。

(今週の見通し)

トランプラリーとは、マーケット的には「大規模減税」が最大のカタリストとして形成されたリスクオン相場です。その政策実行が遅れそうな話題を市場は随時リスクオフ要因とみなします。世論調査でのトランプ大統領の支持率がよく話題になりますが、最初から支持率の低い大統領のため、これ自体が少し上下したとしてもマーケット的には関係なさそうです。

目下では、政策に影響を及ぼしそうな爆弾として、「ロシアゲート」が最注目事項となっています。FBI前長官のコミー氏更迭から始まった疑惑ですが、直近では先週末19日に「米捜査当局がホワイトハウス関係者を重要参考人として捜査している」という報道が出ています。これが誰かは現時点では報じられていませんが、娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナー氏ではないか?といった憶測につながっているようです。こうした報道の続報が、電子版を通じて東京時間に突然出てくる可能性があります。「ロシアゲート」の話は、先週米ドル独歩安の手掛かりになりました。目下の日経225の変動は、この話題を通じた米ドルの動向に影響を受けます。それだけに、東京時間中も米ドル/円の動き、そして時間外の米株指数先物の動きを横目で見ながら判断するしかありません。

この問題は、今月末辺りとみられるコミー氏の議会証言を見てから決着が付く話。そこまで、憶測や妄想(弾劾裁判にかけられる事態になり、最悪トランプ大統領が罷免されたらトランプラリーは全否定しなくてはいけない、など)は膨らみそうですが、仮に弾劾裁判まで発展したとしても、それは数カ月先の話。その間にこのロジックだけで米ドルが売られるわけはなく、今週でいえば22日や23日のFed高官の発言などで米ドルが買い戻される可能性も十分あります。また、トランプ弾劾リスクとか言われていますが、そもそもトランプ大統領誕生の時点ではトランプリスクでしたよね。弾劾リスクと騒いでショートしているのは、単に売りの口実を探していた投機筋ではないでしょうか。実際そこまで話が発展したら別の動きになるような気もします(ペンス副大統領が大統領になったほうが経済にとってプラス、というようなロジックへの急変で(笑))。

日経225は先週、19500円割れを見た段階で調整一巡しました。そこには、日銀のETF買い効果も介在していました。先週末19日(金)など、前場のTOPIXがわずか0.07%安だったにもかかわらず727億円のETF買いを発動させました。5月序盤に上昇が続き、ETF買いの発動ができなかった反動で、今月末まで、ごくわずかな下げでも枠消化の関係で買いにいく体制にあるようです。また、(東芝が巨額赤字から小幅増益に転じる要因の影響が過半ですが)日経225のEPSも約1400円と、見た目的には凄まじい高水準になりました。実質的には100円くらい割り引いてみないといけないとは思いますが、それでも業績アプローチでの下値抑止力が働いてもおかしくはありません。来週の米メモリアルデーに向けて海外勢の動きが弱まりそうなことも踏まえ、19500円割れは短期の買い場、20000円接近は短期の売り場と判断した短期のレンジトレードが主流とみます。今週の想定レンジは先週と同じ19400円~20000円、今後1カ月のレンジ19000円~20500円も据え置きます。

(おしまい)

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