岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/05/15 11:20夜間の日経225のトレンドに注目!

日経225 現物指数 終値19883.90円(5月12日)
安値 19705.13円(5月8日)/高値19989.94円(5月11日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2017/5/12
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 節目の2万円を毎日チャレンジ。惜しいところまでは近づくも、2万円タッチならず・・・そんな1週間でした。とはいえ、これは現物の日経225の話。東京時間中に日経225先物は2万円ジャストにワンタッチ、夜間で先週付けた高値は20030円でした。「近くて遠い2万円」「2万円の壁」「2万円は時間の問題」「2万円は通過点」など表現は様々でしたが、そんなことに大した意味はありません。そもそも、日経225が実体経済を反映しているわけではないですから、2万円と1万9000円に大きな違いもありません。それよりも、4週連続で日経225は上昇していて、その間の海外投資家の買い意欲はかなり強そうだということが肝でしたね。

 ゴールデンウィーク明けの週初8日(月)、日経225は大幅ギャップアップ(263円高)で始まります。5連休中の複数の海外イベントを全て無難に通過したことが手掛かり。FOMC(現状維持)、4月の米雇用統計(強い数字)、そして8日早朝のフランス大統領選挙の大勢判明(マクロン氏勝利)いずれも、サプライズの無い結果でした。それでも日経225の上昇が目立ったのは、GWで3営業日休みだった分の鬱憤を吐き出すカレンダー要因だったため。5連休前の米ドル/円がジャスト112円だったのに対し、早朝の時間帯には米ドル/円は113円台に乗せていました。寄り付きでの大幅な水準訂正は、手前で作られたショート筋の買い戻しを誘発します。また、フランス大統領選までポジションを縮小していたヘッジファンドなどの短期筋には、トレンド追随で買いから入る向きも相当数いたと思われます。この日の上昇は現物、先物とも商いを膨らませていました。そのなかでは、TOPIXの規模別指数を見たとき、大型、中型、小型のいずれの上昇率もほぼ一緒だったのが特徴でした。こういった現象からは、TOPIX先物に強い買いが入り、結果的に現物株が広く万遍なく押し上げられた構図を想像できます。ちなみに、この日のTOPIX先物の手口では、モルガンスタンレー(以下MS)の4304枚買い越し、ゴールドマン・サックス(以下GS)の1917枚買い越しが目立っていました。また、立会外でもGSが4904枚の大幅買い越し。この週の初動、日本株買いでいち早く動いたのは「米系の投資家」であることが先物手口から明らかだったように思われます。

 9日(火)は、前日の陶酔からは落ち着いた1日でした。2万円の節目を前に、売り買いが交錯し、値幅も狭い推移に。大台を付けるか、付けないか、それぞれの相場感が入り混じっているからこそ動きを止めているといった雰囲気でした。フランスのマクロン大統領が誕生したことについては、欧米株やユーロ売りの反応が示す通りで「事実で売り」になっています。ただ、米国市場ではアップルの大幅高が米国株の上昇をけん引。米ドルも上昇し、海外タイムでの日経225先物はつぶさに連動して上昇していました。ただ、東京時間に入ると上値が重たくなる・・・。東京時間に限って為替に連動せず重たくなっているところを見ても、2万円接近で国内機関投資家や日本の個人投資家は利益確定売りに動いていることが透けて見えます。一方、指数が大きく崩れないのは、その売りにぶつける買い手がいるから。この日の先物手口でも、前日と同じくTOPIX先物をGSが2484枚の大幅買い越しでした。

 10日(水)は、113円台後半への米ドル/円上昇を好感。夜間の日経225先物は20030円の高値を付けていたこともあり、現物指数も2万円挑戦!といった雰囲気から始まりました。ただ、上値を重くしたのが、米国時間の終盤に「北朝鮮が核実験の準備を進めている」と伝わっていたこと。また、日本時間の早朝には「トランプ大統領がFBIのジェームズ・コミー長官を更迭した」とも伝わっていました。夜間の高値から見ると物足りない展開で、結局は小幅な反発で終了。翌11日(水)も、頑張れば2万円といった雰囲気で始まります。米ドル/円が114円台で、米株市場ではナスダックが5日続伸で史上最高値を更新中。お膳立ては整いながらも、この日は前日に決算発表したトヨタ自動車(ガイダンスがアナリスト予想を大きく下回る)が軟調だったことで、他の自動車株にも売りが波及。同じく決算発表翌日のソフトバンク上昇の押し上げ分と相殺するような格好でした。

 週末12日(金)は、海外時間に米ドル/円の上昇が一服したことを受け、夜間に日経225先物が調整。前日比100円程度の下落スタートが予想されましたが、現物市場の寄り付きは意外にしっかりでした(19円安)。その理由は、先月に続き、2カ月連続で発生したミニSQ“波乱”。この日はオプションとミニ先物のSQでした。現物市場が始まる9時の直前、日経225先物は19880円でした。それが、現物のスタートと同時に先物が19940円まで急伸。なぜかといえば、現物が明らかに高く寄り付いたためでした。では、なぜ現物が高く寄り付いたかといえば、SQに関連する注文が日経225型は「大幅買い越し」だったためです。

 5月限のSQ値は前日比29.72円高の19991.27円と、2万円まであと少しという高水準でした。前日に付けた今週の高値よりも上。直前の日経225先物が19880円だったことを考えれば、SQ関連の注文分で日経225を100円強持ち上げるほどの買い越しだったとのこと。市場推計によれば、今回のSQ関連の注文は953億円の買い越しだったといいます。一方で、TOPIX型は71億円の売り越しと観測。オプションの売買は日経225中心のため、日経225だけのSQ売買が膨らみ、傾きも大きくなるのはいつものことです。それにしても、953億円買い越しというのは結構な買い越し。1回当たり700億円超の日銀ETF買いよりも金額としては大きく、しかも寄り付きだけに入り、日経平均型だけなのでインパクトも大きくなります。この要因が寄り付きで加わったあとは、上値の重い展開に終始。ただ、前場にTOPIXが0.71%下げたことで、日銀ETF買いが5月初めて発動していました(1回当たりの買い付け額は727億円)。

(今週の見通し)

 2万円手前で足踏みとなった理由は、2万円手前で買いたい人が多かった一方、2万円手前で売りたい人も多かったから。まず、買いたい人は大雑把に海外投資家と想像されます。これは、連日の先物手口からも明らかですが、東証が発表した投資主体別売買動向からも確認できます。先週9日に発表された4月最終週分では、海外投資家が現物株を2849億円買い越しで金額は今年最大。先物も5697億円で8週ぶりの買い越しになり、こちらも今年最大。現物と先物を合算した海外投資家の買い越し額も当然今年最大となっていたわけです。フランス大統領選第1回投票の結果を受けて一気にリスクオン方向へ傾いた週ですが、初動で買ったのは海外投資家だったということ。一方で、日本の個人投資家は現物を4448億円売り越しで、今年最大の売り越しでした。いわゆる、個人投資家から外国人投資家への日本株バケツリレーの構図で、これはトランプラリーの初期と同じです。逆らっちゃダメな形であって、この構図がGW明けの先週も受け継がれたものと想像できます。

 先週GSがリリースしたレポートによれば、「海外ファンドは2017年3月末時点で日本株を8.7%の大幅アンダーウエートになっていた」と指摘していました。足元の日本株買いはその反動の部分が大きいと想像され、3月末にかけて先物が大幅売り越しだったことを思うと、その巻き戻しにより先物主導による足元の上昇も腑に落ちます。また、先週のSQで日経225型が大幅買い越しでしたよね。これも海外勢の買い意欲が強いと解釈できます。

先週のSQのように、明らかにSQ要因で日経225の現物が高いとき、買い気配でまだ寄り付いていない日経225採用銘柄を空売りするというのが常套手段です。先月に続き、このチャンスが今回のSQでもありました。では、なぜ、ここまでSQが買い越しだったのか?SQで外資系証券がインチキしているという解釈がよく聞かれますが、さすがにそんなことができるほど日経225の参加者は少なくありません。それよりも、オプションのポジションの中に、日経225のパッケージを欲しがっている投資家が売りたがっている投資家よりも多かったと解釈すべきです。オプションでポジションを持っていたものの、最終的には現物の日経225のパッケージに交換したい投資家が多く混じっていたということ。日本株のパフォーマンスが世界的にも高くなっていたことで、単純に日本株を欲しがっている海外投資家も多くなっていたのでしょう。

また、ちょうど4月末からこの時期にかけ、日本は3月決算企業の決算発表のタイミングでした。決算発表銘柄が翌日に異様なほど乱高下していましたので、日本の個別株の中で決算発表を終えていない銘柄を買いたくないタイミングだったといえます。そうであれば、決算リスクを回避できるインデックス(指数)にニーズが向かうのは当然で、今回のリバーサル相場がインデックス主導になったのは仕方ない部分がありそうです。

 2万円手前で売りたい人のほうに話を戻します。これは、個人投資家を代表とする国内投資家でしょう。日本の個人投資家がインデックスを売買するとき、現在最も流行っているのは、日経レバレッジETF(日経225の2倍動く)や日経ダブルインバースETF(日経225のマイナス2倍動く)を売買するやり方です。先週でいえば、2万円は超えないという逆張りの相場感を働かせた日本の個人投資家が、安値圏にあった日経ダブルインバースETFを買ったようです。同ETFの発行済み口数が先週11日時点で7744万口に膨らみ、これまでの過去最高(今年3月の7302万口)を大きく上回っています。もちろん、手持ち株の利食い売りを含め、売り手に回っていたのは国内勢だったことが容易に想像できます。

 セオリーは、シェアトップの海外勢の動きには逆らうべからず、です。海外勢の日本株買い余力がまだ続きそうであれば、逆張りで売り手側に回るべきではないでしょう。海外勢にとっての本国株式市場(米国株や欧州株市場)の動きを指針にし、海外投資家中心で価格形成される夜間の日経平均先物のトレンドを見ていきたいところ。もちろん、上昇一服感が出てきた米ドル/円の推移にも目配りすべきです。ただ、こちらにとっての鍵はトランプの税制改革なのですが・・・、FBI長官更迭の影響がどれくらいあるものか、正直、筆者にはわかりません。なお、先週末14日の早朝に北朝鮮が核実験をしたほか、世界的に大規模サイバー攻撃も起きました。こうした不透明要因がリスクオン一服の手掛かりになりやすいですが、日経225を過剰に売る理由にならないことがこれまでの教訓でもあります。

今週は、決算発表が一巡(これは米国も同様)し、イベントも少なく、先週までの過熱感をクールダウンさせるには適した週にも見えます。月前半と月後半で需給がひっくり返る傾向が今年強いこともあり、前半上がると後半下がるというサイクルも意識する必要はありそうです。だからといって、海外投資家が最大の売り主体だった4月前半までのような悲観シナリオを軸にする必要もありません。調整ムードに転じれば、日銀ETF買いという、日本株購入マシーンも作動し始めます。今週の想定レンジは前週比で上限のみ引き下げ、19400円~20000円とします。今後1カ月のレンジ19000円~20500円は据え置きます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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