岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/05/01 14:56マーケットリスクやトランプ要因以外の価格形成要因を考慮する必要も

日経225 現物指数 終値19196.74円(4月28日)
安値 18840.13円(4月24日)/高値19289.43円(4月26日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/4/28
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 「万が一」に備えて保険(日経225売りなど売りヘッジ)をかけていたものの、「万が一」の不測の事態とはならず、結果的に「売りヘッジ外し(=買い戻し)」や下落に賭けていたショート筋の反対売買(買い戻し)の力が強くかかりました。かなり強力なリターンリバーサルが発生し、2週続けて週間上昇に。前の週の安値から見ると、日経225の最大上昇幅は1000円超。リバーサルを想定していた市場参加者が多かったとは思いますが、現実の上げ方は想像の上をいっていました。

 フランス大統領選挙の第1回投票の出口調査で24日(月)の早朝、得票率でマクロン候補とルペン候補の1位、2位通過が確実と伝わると、ユーロ/米ドル、米ドル/円とも大きく上昇(米ドル/円の高値は110.39円)。直前の世論調査通りの無難な結果を受け、週初の日経225は高くスタート。ただ、買い戻し一巡後は上値の重い展開になりました。大勢判明の直後(早朝7時過ぎ)にCMEの日経225は19040円まで上昇していましたが、東京時間では19000円に届かず。東京時間は国内投資家の戻り売り圧力が高いことを示していましたが、この日のポイントは日経平均VIがジワジワ低下し続けたことにあったと思います。フランスの選挙を理由に売りヘッジしていた向きは、コンセンサス通りの結果になったということはオーバーヘッジですのでそのポジションを外します。その動きが1日中続いたということは、かなり売りヘッジをかけていた参加者が多かったということを表しています。事前の世論調査から、決選投票がマクロンVSルペンとなった場合、ルペン勝利の芽はほぼゼロとされていました。5月7日に第2回投票がありますが、もはやリスクイベントにあらずということだと思われます。なお、この日の先物手口では、モルガンスタンレーが日経225先物を2522枚、TOPIX先物を2073枚買い越しで両方とも買い筆頭でした(いち早く買いに回ったのは外国人、かつ先物経由だったということ)。また、同日の欧州市場で、フランスCAC指数の急騰ぶりは目を見張るものがありました(4%高で2年ぶり高値水準に)。

 日経225に関しては、ここから26日(水)まで3日連続で200円超の上げ幅を続けます。25日(火)の警戒は、北朝鮮が朝鮮人民軍創軍85周年の記念日を迎えることに伴い核実験をする可能性にありました。前の日のNYダウが大幅高しながらも、日経225は警戒ムードからか小動きでスタート。ただ、その後に上げ幅を拡大していきました。リバーサル継続が基本線ながら、上昇機運を妨げていたのが北朝鮮リスク。この日意識されていたのは、過去の核実験の実施時間。午前9、10時台が多く、遅くとも12時までには行われていたのが過去の慣行。核実験が行われたという情報が午前中入って来なかったことが、市場にとっての安心材料になり、19000円台の奪回に成功したように思われます。昼過ぎに、「北朝鮮が過去最大規模の軍事訓練(火力訓練)を実施したようだ」と複数のメディアが伝えた直後に19000円を割り込むも、すぐに上昇。なお、この日の日経225先物手口では、SBI証券が1885枚と大きな買い越しで買い筆頭でした。思いもよらない19000円回復で、一部の大口個人投資家が買い戻したのではないか?とプロの間でも関心が寄せられていました。

 先週の高値を付けたのが26日(水)。前日の米国株が連日で大きく上昇したうえ、第1四半期の決算を発表したキャタピラーが超絶好決算で7.8%の急騰。キャタピラーが今期予想を大きく上方修正したことを受け、世界景気の見晴らし良好を示す強いシグナルというポジティブ思考を膨らませる側面もありました。リバーサルの流れにキャタピラー好決算、さらにトランプ大統領の減税プラン発表を控え、日経225も売り方がギブアップした(損失回避の買い戻し加速)感じが強かったといえます。前の週の4月17日安値から、この日の高値まで、わずか7営業日で1000円超の上昇を達成。チャートを見ればわかりますが、上げ方が“雑”で、こういう上がり方は買い戻し殺到以外に他なりません。例えば、海外の年金系マネー流入で日本株が押し上がる場合、こんなチャート形状にはなりません。彼らは急いで買う必要がないため、ゆっくり時間をかけて日本株に資金を投入していきます(ジワジワ上昇していくわけです)。この週の上げ方は、急いで買った形跡そのもの。新興市場の株が急落モードに入り、追証がかかりそうになると、値段無視で売却を急ぐ個人投資家(担保が少ない個人投資家)がいますよね。その逆バージョンと思ってください、この日までの日経225の上昇に関しては。そこに、トランプ大統領の減税改革案の発表前での短期トランプラリーも交じり、日経225は高値引けとなりました。

 さて、注目されたトランプ政権の減税改革ですが、「基本方針」では法人税率35%から15%への引き下げや、個人の基礎控除2倍など「過去最大規模の税制改革」とトランプ大統領が自画自賛する内容が発表されました。ただ、その内容は選挙戦で掲げられていた内容そのままで、先行して報じられていた内容通りでノーサプライズ。普通に考えると出尽くし感が広がっても良さそうな27日(木)の日経225ですが、想像以上に底堅い動きを続け、ある意味こっちがサプライズ(?)。ちなみに、この日は日銀の金融政策決定会合の結果公表日でした。結果はコンセンサス通り「現状維持」でしたが、結果公表時間はいつもより少し遅い12時14分。市場の一部で長期国債の買い入れ「年間80兆円メド」が減額されるかもしれない、といった声が挙がっていた程度で関心は相当低かったのでしょう。日銀会合の結果が出たにもかかわらず、午後の日経225の上下値幅はわずか70円。日銀は影が相当薄くなってしまっていますね。上昇トレンドで迎えた週末28日(金)は、上昇した週の週末によく見られる直前までの逆の動きで終了するパターン。取引時間中には、トランプ大統領による「北朝鮮と衝突する大きな恐れがある」といった発言が伝わりましたが、反応は鈍め。地政学リスクに対する市場のリアクションも相当弱まった1週間でした。

(今週の見通し)

 有名なウォール街の格言「セル・イン・メイ」(5月に株を売ってどこか行け)の意識される5月に入りました。そういえば、昨年は6月に日経225が(Brexitで)大暴落。セル・イン・メイを実行していれば大正解でした(昨年は)。ただ、昨年がそうだから今年も警戒、で本当にどこかへ行ってしまうと単なる機会ロスです。スタンスは変えず、目先の需給や市場センチメントを考えつつ、5月相場に臨んでいくのみです。

 その目先の5月第1週については、大型連休の谷間により東京市場は2営業日だけ。よく言われますが、市場参加者が少なくなりがちのため売買は減りそうです。ということは、平常時以上にこういった期間での値動きには意味がない(相場感が働いていないため)ともいえます。

 昨年のこの時期、GWを挟んだ日経225は買い方には悪夢のような展開でした。昨年も新年度に入って崩れた日経225でしたが、今年と似ているのが4月中旬から月末にかけ急上昇した点。このときの目玉は、4月28日に予定されていた日銀の金融政策決定会合。事前の報道で、「金融機関に対する貸出にもマイナス金利適用を検討する案が浮上している」とか「ETFの買い入れを10兆円追加する」とか、後で振り返れば飛ばし記事だったのですが、強度の追加緩和を期待させるムードが広がっていました。日経225先物では、ニューエッジが2日間で1万枚強買い越したり、GSやメリルなど海外ブローカーの先物買いが連日目立ち、まさに「日銀プレー」炸裂状態でした。

そして、GWの直前である4月28日の日銀会合結果公表日、日銀は追加緩和を見送りました。ゼロ回答の形で市場の期待を突き放したことで、直前の日銀プレーのアンワインドが殺到。当日の日経225は624円安という急落でGWに突入しました。昨年は、GWの中日で5月2日に市場が開いていました。ここで、泣きっ面に蜂状態で、日経225はトドメの518円安となり、これが今年の市場参加者にとってもGWは下がるというネガティブなイメージを植え付ける理由になっているわけです。この5月2日の急落は、GW中の強烈な円高進行が理由で、海外の経済指標が悪かったこと、米国の為替報告書で監視リスト国に日本が挙げられたことが背景でした。

 休みが多いということは、オーバーナイトのリスクを複数抱えることになります。2日(火)の夜~週明け8日(月)の早朝までのマーケットリスク(地政学リスク、海外の経済指標などひっくるめて)が生じます。今年でいえば、北朝鮮情勢に対するリスクが多くなりますし、FOMCや米雇用統計などがあります。ただ、だからといって、昨年の再来を警戒する必要はなさそうです。先週の驚きは、前述の通りですが、わかりやすい出尽くし要因になりそうなトランプ大統領の税制改革案に対し、市場がネガティブに大きく反応しなかったことです。先週末28日に1-3月期のGDP速報値が出ましたが、市場予想1.2%増を下回る0.7%増という弱い数字でした。伸び悩みが想定されていたといっても、明らかにネガティブな数字。それでも、市場が極度にリスクオフに傾いていない点は無視できません。

 トランプ大統領の減税策に対し、市場関係者のほとんどは「その財源はどこにあるのですか?」、国境税も導入しないということで「実現できるのですか?」「減税案の下方修正するのではないですか?」といったリアクションをしていました。筆者もまったく同意見ですが、外野の意見とは裏腹に、マーケットはこの程度の誰でも言える(年初から散々議論されていた)シナリオは織り込み済みといった感じです。米ドル/円が底入れしたように見えることや、トランプ以外の要素で日経225が価格を形成するのではないかといったことを考える必要もありそうです。

 日本独自の需給要素では、前回コラムでも指摘しましたが、18500円割れ水準で公的年金(“クジラ“)が再始動した形跡があったことは下値抑制要因になります。この週の投資主体別売買動向では、信託銀行が先物を大きく買い越していました。また、先週は別の国内勢の話も浮上していました。大手生保が2017年度の運用計画を公表しましたが、そのなかで最大級の機関投資家である日本生命、そして大同生命が株のウエイト引き上げを発表していました。こういった投資家が株買いに名乗りをあげていること自体がアナウンス効果となり、市場参加者の投資行動を変化させることもあります。

 2営業日しかありませんが、今週の想定レンジは19000円~19400円とします。前回コラムの繰り返しになりますが、日本企業の決算発表が日経225に影響を及ぼすことはないでしょう(良い方にも悪い方にも)。今後1カ月のレンジは18500円~19800円と下限、上限とも引き上げます。

 では、よいGWをお過ごしください!

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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