岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/04/17 11:24引き続き北朝鮮リスクが日経225の重石に

日経225 現物指数 終値18335.63円(4月14日)
安値18285.73円(4月14日)/高値18850.80円(4月10日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/4/14
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 嫌なニュースばかりの1週間。右も左もリスクだらけ、といった雰囲気を醸成した1週間でした。日経225は2万円になる!と言っていた強気の市場関係者も、かなりトーンダウン。米ドル/円についても同じでしょうか。ただ、市場関係者がトーンダウンし、ギブアップし、弱気に転じたところが「底」という経験則もあります。この経験則も意識しつつ、冷静な目で目先の底入れタイミングを、市場が発する雰囲気から図りたいところですね(チャート分析をいくらしても何も見えてきません)。

 先々週末にトランプ米大統領によるシリアへのミサイル攻撃が行われました(この決断自体はトランプ大統領の支持率を高めました)。無駄に行動力のあるトランプ大統領ですから、北朝鮮に対しても発言通り「単独行動してしまうのではないか?」と誰もが身構えます。しかも原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島に向けて出航したとも伝わります。否が応でも地政学リスク(万が一、米国が北朝鮮に刺激を与えることで北朝鮮有事になれば、地理的に近い日本に飛び火する最悪シナリオまで考えないといけないリスク)を意識する状況で始まった10日(月)ですが・・・、日経225は続伸でした。米ドル/円も111円台を回復。先々週末が荒れ模様だったこともあって、アンワインドが進んだことが市場を一旦落ち着かせました。上昇した業種も、先々週末に空売り比率が高く、業種別パフォーマンスが下位だった鉄鋼や金融株でした。とはいえ、日経225はこの日に付けた18850.80円を週間高値とします。

 米国市場においても、北朝鮮に関するニュースフローにネガティブ反応を示し始めたのが米国時間の10日からだったように思われます。原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島近海に急派されたことについて、北朝鮮外務省報道官が「超強硬に立ち向かっていく」と警告したと伝わるなど、日本人にとって気が気ではない話題はここから相次いでいきます。11日(火)は、北朝鮮で最高人民会議が開催されることも警戒ムードを誘う理由に。基本的に売買フローは閑散だったのですが、地政学リスクが覆っているなかでは「わざわざ買う理由はない」が共通認識(個別株では防衛関連銘柄を買うといったギャンブル的なデイトレードが活発化していましたが、こういうのは観賞用)。

 リスクオフの度合いが強まったのが、この日の米国時間に米ドル/円が110円の節目を割れたことを引き金にしたように思われます。トランプ大統領が「中国が助けないなら、米国が中国の手助けなしで解決する」とつぶやき、中国と北朝鮮に圧力を加えます。そもそも、トランプラリーのアンワインドが始まっていたなか、フランスの大統領選挙接近に伴うテールリスクへの意識、そこに北朝鮮を巡る地政学リスクが加わってきたわけです。森友学園問題発の日本の政治に対する不信感もあるなか、強気派の最終論拠が「業績が堅調ななか、割安感はある」でしたよね。これも110円割れであっけなく崩壊。節目になってきた110円を割れてくれたことで、110円をストップロスに設定さえすれば、ショートから入りやすくなるのは当然です。12日(水)の日経225は、ギャップダウンでスタートし、18500円の節目もあっさり割り込みます。円高を理由に輸出株は下げますが、米長期金利の明らかな低下基調が銀行株を押し下げ、マインド低下(信用評価損益の悪化)が日本の新興市場の大幅な下落にも連鎖していきました。東証1部の値下がり銘柄の比率が9割以上を超えていましたが、こういう局面はいわゆる「日本売り」です。

 13日(木)もギャップダウンで始まって18400円割れ。連日、米ドル/円下落(109円割れ)、アメリカの長期金利低下で返ってくるために下げて始まり、東京時間は北朝鮮リスク(を口実とした投機の売り)で下げに勢いが付く・・・これの繰り返し。トランプ大統領がインタビューで「ドルは強過ぎる」「低金利政策が大好きだ」といった発言をしたことに順方向で反応し、トランプ大統領の神通力だけは未だ健在なようです。各種メディアが、金日成国家主席生誕105周年の記念日である15日に「北朝鮮で地下核実験が行われる可能性がある」と伝えていたことも手控え要因。ただ、この日に限り、東京時間の大引けにかけて下げ幅を強めに縮小しました。明確な理由はないものの、この日の午後、NHKがこんなニュースを報じていました。北朝鮮の首都平壌で、高層ビルなどが完成し、金正恩も出席のもと竣工式が行われたというのです。この日、北朝鮮の平壌に世界のメディアが集められ(記者で200名とも)、重大ニュースが発表されるとされていました。重大ニュースに警戒が集まっていたなか、高層ビルのお披露目だったというところにある意味サプライズが生じ、地政学リスクをネタにした投機の売りの巻き戻しを誘ったのではないかと思われます(定かではありませんが)。

 週末14日(金)も、地政学リスクは後退せず。米軍がアフガニスタンにあるイスラム国の施設に向け、「モアブ」と呼ばれる最大の破壊力を持つ爆弾を発射。さらに、15日に北朝鮮では金日成生誕105周年を祝う大規模な軍事パレードが行われるとも観測されるなか、週末のうちに手持ちのポジションを縮小させようとする動きが活発化します。万が一の事態が15日に起きた場合、週明けの日経225は暴落する可能性があるため、ロングのポジションは売っておきたいところ。ただ、この話はテールリスクですので、大事には至らず、週明け強めにリバーサルする可能性もあり、そちらの確率のほうが高い・・・。そのため、直前ではこの週に作られたショートポジションを買い戻しておく動きも同時に強まります。両方の綱引きですので、今週の安値圏とはいえ、18300円近辺で値段を固めるような雰囲気で先週の取引を終了。なお、この日は4月のオプション、ミニ先物のSQでした。日経225のSQ値は18613.29円と、前日比186.45円というバカ高い値段が付きました。現物市場の寄り付き直前、おそらく日経225銘柄に1銘柄当たり20万株近い買い注文が入り、日経225型だけ買い越しに。結果、日経225先物が18380円を付けているタイミングで、現物指数の始値は18531.91円と151円もの価格差が生じるハプニングとなりました。明らかにSQ注文要因で現物指数が割高なほうの異常値を付けていましたので、ここで日経225採用の高ウエイト銘柄などをショートしていれば、短時間で結構利益がとれたオイシイSQだったともいえそうです。

(今週の見通し)

 今週も、引き続き北朝鮮リスクが日経225の重石になりそうです。先週末16日(日)午前、北朝鮮は弾道ミサイルを発射するも打ち上げに失敗。この問題、話し合いで解決して欲しいと思うものの、米国大統領はトランプなわけで・・・。週末に米ドル/円も一段と下落。聖金曜日で米欧市場が休場のなか、発表された米3月CPIが前月比0.3%低下(予想0.0%)と弱い数値だったことを嫌ったような反応といえます。

とはいえ、本質的には地政学リスクを意識したドル売りが強いのだと思います。一部で警戒された米為替報告書では、日本も中国も為替操作国と認定されませんでした。こちらについては、トランプ大統領が「北朝鮮問題に取り組んでいるときに、なぜ中国を為替操作国に認定しなければならないのか」とツイート。本来であれば米ドルの買い戻し要因に思いますが、北朝鮮問題で中国にプレッシャーをかけている最中だから認定しなかっただけだと透けて見えるため手掛かりにならず。今週は、18日(火)に初となるペンス米副大統領との日米経済対話、20日(木)にG20が開催されます。こちらが為替の注目イベントと見られているようです。

 日経225は明確な下落トレンドが形成されていて、メディアでも下値メドはいくらか?といった企画が目に付くようになりました(2万円は余裕と強気な見方をしていた市場関係者に下値メドを聞いても意味がないように思いますが)。チャート上で下値メドを探しても何の意味もないでしょう。下がるときは下がるし、戻すときは戻す。現状、地政学リスクが大きく後退したからといって、日経225を長期前提でロングする理由は少ないため、何があればリバーサル(直近で作られたショートポジションの巻き戻し)につながるか?だけを考えておけばいいでしょう。トランプ大統領が先週、ドルは強すぎるとか、低金利政策が好きと発言。これが米ドル/円、日経225の下落要因になった部分はありますが、彼の考え方が短期的に変わるとは思えないため、この手の側面に一喜一憂するのは不毛でしょう。

 ここで、こんな質問をお持ちの読者の方がいらっしゃるかもしれません。地政学リスクばかり強調するけど、「先週の日経225は1.76%下落だが、韓国のKOSPIは0.78%しか下がっていないじゃないか?」。これはもっともな疑問で、北朝鮮リスクなのになぜ韓国のKOSPIより日経225のほうが下げているのか?となります。ただ、この答えは明確です。日経225先物がアジアの中で最も流動性が高いから、です。海外投資家にとって、北朝鮮有事のリスクを想定して何を売ろうか?となったとき、取引をしたこともない韓国のKOSPI先物を売るよりは日経225先物が選択されます。これは、ギリシャ危機のとき、ギリシャ株を売れない海外投資家がドイツやフランス株を売ったのと同じです。

 そういった要素で、余計に水準を切り下げた側面が日経225にはあると思います。とはいえ、日経225の抱える根深い問題は、売られ過ぎたとき、無駄に買い支えられる仕組みが築かれている点にあります。先週の需給を予想すると、外国人は先物売りや空売りなど仮需の売りを中心に大幅売り越しだったのでしょう(今週20日に東証が公表)。個人はロスカット(売り)と逆張り買いが混在でしょうか。国内機関投資家は様子見でしょう。まともに買っている主体は見当たらないなか、日経225はあれだけの逆風がありながら、329円(下落率で1.76%)しか下げていないともいえます。誰が買っているのか?でいえば、毎度の日銀です。先週は結局、1回当たり725億円のETF買いを11日~14日まで4日連続で入れました。これだけで2900億円もの買い越し。だから、本来下げるべき水準までまだ下げてないのではないか?と市場参加者が考えるのは当然で、結果的にプチリバーサルが発生しても、リバウンド狙いの買いが長続きしないという問題が生じています。

基本的には、今週日経225が上がるとき(リバーサル)は短期、しかも強い戻りには期待しづらいのが前提。下値については、先週の週間下落幅が329円、先々週が244円、その前が353円、さらに前が259円。直近4週間の週間下落幅の平均は約300円です。これだけリスクオフ一色に見えても、週間で下げるのはこの程度(日銀の無駄打ちのおかげで・・・)。今週の想定レンジは17900円~18600円に、今後1カ月のレンジは17500円~19000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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