岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/04/03 16:57今週のポイントは米中首脳会談!

日経225 現物指数 終値18909.26円(3月31日)
安値18909.26円(3月31日)/高値19251.30円(3月29日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/3/31
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 週初から「トランプラリーではなく、トランプスランプ」なんて言い回しも流行りそうな勢いで、日経225は19000円割れ。その悲観のピークも月曜日にあっさり通過しましたが・・・。先週の週間高値は29日(水)の19251円。この値段を付けたのは配当権利落ち日の寄り付き直後でした。やはり、威力抜群の“配当の再投資”が日経225を押し上げた1週間だったと総括できそうです。週末の後場に下げが加速し、週間安値を週末の終値で付ける(安値引け)展開で年度末を終了。後味悪い年度末ともなりました。


 週初27日(月)は、オバマケア代替法案をトランプ大統領が取り下げたことを嫌気して大幅安でスタート。看板政策でいきなり出鼻をくじかれたことを受けて、「他の税制改革などの公約が実現できるのか?」との見方が市場で広がりました。トランプラリーのアンワインドで日経225は売りなのですが、東京時間に想定以上に下げた(前日比276円安)のは、「今晩の米国株が大幅安になるのでは?」という恐怖感が理由。時間外で取引されているNYダウ先物が150ドル超の下げ幅になっていたこともあり、夜間の日経225先物下落を見越して先回る動きが広がったといえます。トランプラリーのアンワインドですので、個別株で下げが目立っていた業種も証券、保険といったラリー時に上昇が目立った業種でした。

 ただ、27日夜のNY株は下落(この時点で5年8カ月ぶりの8日続落)したとはいえ、NYダウで45ドル安どまり。オバマケア継続でヘルスケアセクターが買われたことも理由ですが、市場が警戒していたほど下げなかったわけで・・・。この日の米長期金利は2.38%に低下、原油も軟調でリスクオフ継続でした。ただ、過剰に前日売られ過ぎた日経225ですから、28日(火)は大幅反発で始まります。この日は、3月期末配当の権利付最終売買日。市場参加者が最も注目していたのが、大引け目掛けて発生する“配当の再投資”でした。配当込みTOPIXをベンチマークにするGPIFのようなパッシブファンドが、配当落ち分(今回は運用資産の約0.9%)に相当するTOPIX先物を事務作業的に買うという、確信度の高い需給イベントです。市場では3000億円規模の買いが同日大引け、翌29日(水)の寄り付き辺りで集中的に入ることが見込まれていました。実際、TOPIX先物はラスト10分程度に出来高を膨らませ、現物のTOPIXは大引け(15時)に向けて上昇して高値引け。ETFの運用者も配当再投資を行うため、日経225型ETFの運用者の配当再投資に伴う日経225先物買いも流入。日経225もほぼ高値引けとなりました。ちなみに、引け後に公表されたTOPIX先物の手口を確認すると、「野村証券が5176枚の大幅買い越し」でした。この分の大半が配当の再投資に伴う注文分と推測できます。

 29日(水)は配当の権利落ち日で、日経225の権利落ち分は約132円です。前日の米国市場では、久々のリバーサルが発生。3月の消費者信頼感指数が予想を上振れたことなどが理由と言われていましたが、これ自体が強い材料というより、買い戻しのきっかけになったという印象です。NYダウが9日ぶりに反発し、下げが続いていた金融株がとりわけ上昇。また、米長期金利が2.421%に、米ドル/円も111円台前半に、原油も上昇。外部環境の後押しに加え、前日に続いて配当再投資の残り分が寄り付きで流入しました。配当落ち日で132円安=実質前日比変わらず、の日でしたが、いきなり14円高でスタート。ただ、この特殊な買い需要の入った場面がこの日の(かつ先週通じた)ピークになりました。この日のTOPIX先物の手口でも、「みずほ証券が6283枚の大幅買い越し」で、配当再投資分と推測できそうです。

30日(木)は、前日まで2日間あった配当再投資という特殊な買い需給の無い通常デー。海外時間で米ドル/円が110円台に再突入したほか、米長期金利が2.382%に一夜で逆戻り。年度末が本格的に接近するなか、国内機関投資家は総見送り状態と想定されるなか、市場のメインプレーヤーは年度末など関係が無い海外ヘッジファンドや個人投資家だったと見られます。そのなかで、市場で気にされていたのが「年度末の日経225の陰線ジンクス」。前年度末まで、11年連続で「陰線(始値>終値)」となっている経験則への意識が働き、事前にロングポジション解消の動きが強く出たようでした。普段は無視していた「上海総合指数の下げ幅拡大を嫌気した」なる解釈が出ていたほど、理由もなく午後に下げ幅拡大。この日のTOPIX先物手口では、売り越し業者がモルガンスタンレー(-2818枚)、GS(-1643枚)、バークレイズ(-1215枚)、メリルリンチ日本(-1006枚)など、買い越し業者が野村(+1927枚)、みずほ(+1540枚)、大和(+643枚)など。外国人売りVS国内勢買いの構図で下落したと断定できます。

また、年度末の31日(金)も、米ドル/円が112円台に乗せてもおかまいなしで東京時間にジワジワ下げる展開に。とりわけ大引けにかけての下落はきつく、日中高値から300円幅で下落。ジンクス通りの陰線形成(かつ安値引け)となり、年度末最終売買日に19000円を割り込む展開になりました。なぜか?誰が売ったか?はわかりませんが、安値引けまでの経緯は「先物売り→引けで現物売り」でした。後場の時点で、市場参加者の間で「引けで大きな売りが来る」と伝わっていました。年度末は昨年まで11年連続「陰線」となっていたジンクスはみんなわかっていますから、「今年も下げるかもしれない」に意識が傾いています。そこに引けの大口売り観測が伝わったこともあり、先物売りでエントリーする短期筋が幅を利かせてきます。それで下げたところに、大引けで現物にまとまった売りがドカンと入ったことは間違いなさそうです。これは安値引けというところからも言えますが、東証1部の大引けラストの売買代金が5339億5300万円。昨年より約1000億円多く、年度末の大引けのタイミングで現物株のポジションを減らしたい向きがあったものと思われます。とはいえ、受け渡しベースでは既に新年度。新年度入りでポジションを減らしたいとすれば、国内の金融機関など機関投資家だと想像できます。

(今週の見通し)

 新年度に入る今週。「上がるのか下がるのか」というより「今強いのか弱いのか」も正直わかりにくいです。ただ、昨年度の日経225を振り返ると断言できることがあります。昨年度は年間で2年ぶりの上昇となり、年間騰落率は+12.8%です。強い上昇相場だったといえる1年でした。一方で、昨年度の同じ期間の米ドル/円は少しですが「円高」でした。それなのに、なぜ株は大幅高できたのか?は、本コラムを読んでくださっている方には簡単な質問だと思います。この期間で累計5兆4769億円買い越した日銀(ETF買い)の存在がそうさせたわけです。ETF買いのテーパリングが議論されるまで、この“忖度”が株式市場に影響を及ぼす事実は忘れず臨みたいものです。

 今週は、週初の日銀短観のほか、週末の雇用統計に向けた米経済指標などに関心が向かいます。強い米国経済、これが世界のリスク資産にとってのファンダメンタルズの根っこにあります。これは多くの市場参加者の総意でしょう。一方で、トランプ政権の保護主義の側面が日本にとっては足枷になっていますよね。米国経済の好調さをいくら確認しても、トランプ政権というトレンド阻害要因が存在することでレンジ相場になっている・・・シンプルですが、これが現状そのものです。

 となると、今週も、強い経済指標をいくら確認したところで、ドル高要因、株高要因として強材料とは言えません。となると、今週の一番の焦点は何か?となると、6~7日に行われる米中首脳会談といえそうです。フロリダのトランプ氏の別荘に中国の習近平主席を招き、ゴルフもするようです(安倍首相への待遇と同じ)。また、今回に関しては「関税についてまだ話したくない」と発言。これも日本のトップへの対応と同じです。そして、「(関税については)次回の会合で話になるだろう」とも発言。これも同じ。ただ、日本人目線でいえば、日米首脳会談のときの対応は何だったのだろう?と思えるほど、今なおマーケットにトランプリスクは滞留しています。

先週末、トランプ大統領は、貿易赤字の削減に向けて、2本の大統領令に署名しました。議会を通せないなら、大統領令乱発作戦に切り換えたのでしょうか・・・。ここで、日本の自動車や農業に対して「重大な障壁がある」と表明。こういった政治的リスクの部分はネガティブですが、米ドル/円も日本の自動車株や日経225も、あまり気にしなくなっているようにも見えます(今のところ)。バッド・トランプなニュースに対する抵抗力が強くなっているようですが、どうでしょうか。米中首脳会談通過後に米ドル/円が上昇するようなら、ひとまず日経225も強く上がるように思います。ここが目先のポイント。今週の想定レンジは18700円~19300円に、今後1カ月のレンジは18000円~19800円とします。

なお、次週4月17日号は筆者の都合により休載とさせていただきます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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